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目次
財産分与の話し合いが当事者同士で進まない理由
離婚時には、これまでに築いた財産を夫婦でどのように分けるのかという財産分与についても決めることになります。
財産分与は、本来、当事者間の話し合いによって決めるものです。話し合いにより解決できる場合、どのような財産をどのように分けるかについて、自由にアレンジすることもできます。
しかし、実際の財産分与においては、以下のような理由から、話し合い自体ができない場合や、話し合いにより解決できない場合が多いのが実情です。
- そもそも当事者間の感情的な対立が激しく、話し合いを行うことが困難
- 相手側が自らの財産を開示せず、適切な分け方が判明しない
- 対象とする財産の種類が多く、全体を把握することが困難
- 自分名義の財産の方が多く、財産分与をすると自らの資産が減ってしまうという心理的抵抗
- 相続した財産など、どの財産を分けるべき範囲に争いがある
- 目ぼしい財産が自宅不動産しかなく、どのように分けたらいいかわからない
- 住宅ローンが残っている自宅不動産の扱いをどうすべきかわからない。
このため、当事者だけによる協議は、難航し、財産分与について解決で着ないケースが多くなっています。
参考:裁判所 夫婦(離婚等)
調停を申し立てるメリット・デメリットを考える
当事者間による話し合いが難航している場合、離婚調停は、解決を推し進めるための有力な選択肢になり得ます。
下記の調停申し立てのメリット、デメリットを踏まえて、調停申し立ての可能性を検討しましょう
離婚調停を申し立てることのメリット
① 調停委員を介して円滑に話し合いができる
調停手続においては、当事者同士で直接相手側と話すのではなく、家事調停委員2名が間に入り、当事者の話を交互に聞く形で話を聞いて進めていきます。
調停委員という第三者に対して、自分の主張や疑問点を伝え、相手側の主張も調停委員を介して伝えられるため、感情的な対立の低減や、冷静に意見を言うことができ、コミュニケーションの円滑化が期待できます。
また当事者間では、感情的な理由や、そもそもどのように資料を準備してよいかわからないなど様々な事情から、財産の開示がうまくいかない場合であっても、第三者である調停委員から、開示をする必要性や資料の準備の仕方などが説明されることによって、財産開示が円滑に進められるというメリットもあります。
② 調査嘱託により財産開示が認められることがある
どうしても相手が財産資料を開示しない場合には、調停であっても調査嘱託が認められることがあります。
調査嘱託とは、裁判所から、直接金融機関等に対して、財産資料を開示するようお願いする手続です。裁判所からの開示のお願いですので、開示に応じる金融機関も多く、強力な調査手段であり、当事者が任意に開示しない財産について、開示が認められ、財産分与の対象の詳細を把握できることもあります。
ただし、必ずしも全ての調査嘱託の申し立てが認められないことには注意が必要です。やみくもな探索的な調査嘱託は認めない傾向が強く、また、調査嘱託が認められる場合であっても、開示が認められる範囲は、あくまで財産分与の判断に必要な範囲に限定されます。
③ 調停調書が作成され、強制執行が可能になる
調停が成立した場合、裁判所はその合意内容が記載した調停調書を作成します。
調停調書に記載された内容は、確定した判決と同一の効果が認められます。
作成された調停調書は債務名義と呼ばれ、強制執行を行うために必要な書面です。財産分与で合意をしたけれど、結局相手が支払ってくれないということを防ぐという意味で重要な担保となり、万が一支払われない場合には、調停調書を用いた強制執行により、強制的に回収することが可能になります。
また、支払う側に対しては、支払いしない場合、強制執行がなされ、勤務先から支給される給与や預金口座が差し押さえされてしまうかもしれないという事実上のプレッシャーが発生するため、任意に履行される可能性が高まり、支払われないリスクを減らすことができます。
④ 将来、訴訟に進むための前提になる
当事者間の合意によって離婚が成立しない場合、離婚訴訟の判決によって離婚を認めてもらう必要がありますが、法律上、いきなり離婚訴訟を提起することはできません。離婚訴訟を提起する前には、離婚調停を申し立てる必要があると定められているためです(調停前置)。
また、調停段階での協議内容から、離婚訴訟において何が争点となる可能性が高いのか見込みが立ったり、財産資料の開示が進むことによって、訴訟段階で一から財産調査を行う必要がなくなり、結果的に訴訟の迅速な審理につながることもあります。
このため、離婚調停は、およそ話し合いができず、訴訟する以外に離婚はできないような場合であっても、無駄になるわけではありません。
離婚調停を申し立てることのデメリット
① 相手との関係が悪化する可能性がある
調停は、裁判とは異なり、当事者による話し合いの手続であるものの、裁判所が介入することへの抵抗が大きい方は少なくなくありません。また、当事者間による話し合いを拒否されたという印象を与えることもあります。
このため、当事者同士で話合いを進めていたのに、突然調停を申し立てると相手が感情的になり、これまでは認めていたことでも急に認められなくなったり、非協力的になったりすることで、話し合いが進めにくくなることもあります。
② 期日が入りにくく、時間がかかる
裁判所によって異なりますが、調停期日は、1か月から2か月に1回程度のペースで入ります。調停の場でしか協議ができない場合には、進み方が遅く、なかなか自分の希望するペースで話し合いができないと感じるでしょう。
離婚時の財産分与における時効についてはこちらをご確認ください。
③ 同居中の場合は精神的負担が大きい
同居をしている状態で調停を申し立てると相手と顔を合わせることもあるため、気まずい状況が数カ月~1年程度続く可能性もあります。
どのような場合に調停を申し立てるべきか
上記のとおり、調停手続にはメリットもあれば、デメリットもあります。
これらのメリット、デメリットを考え調停を申し立てるかどうかを決めた方が良いと言えます。
特に、相手と直接話し合いができない場合、相手が財産資料を開示せず話し合いの前提がなりたたない場合、別居しており同居中の調停申し立てのような精神的負担を避けられる場合等は、調停は有効に機能します。
他方で、当事者間による話し合いで解決できそうな場合には、調停を申し立てると相手の機嫌を損ねかねないことや、時間がかかることを踏まえ、注意をしましょう。
もっとも、このような判断は難しいので、弁護士に相談することをお勧めします。
婚姻中に相続で取得した財産は原則として財産分与の対象にならない
財産分与は、婚姻してから離婚(別居)するまでに、夫婦で協力して築いた財産を離婚時に分ける制度です。
夫婦で協力して築いた財産を「共有財産」と言います。
他方で、結婚前から保有している資産や、婚姻中に得た財産でも相続により得た財産は「特有財産」にあたり、夫婦で協力して築いた財産ではないため、財産分与の対象になりません。
もっとも、法律上、婚姻期間中に得た財産は、共有財産であると推定されます。そのため、特有財産であることは、特有財産と主張したい側が立証する必要があります。しかし、立証といっても、もともと離婚するつもりで結婚する人はいないでしょうから、離婚することを見据えて、相続財産であることを示すための客観証拠が残っていない場合も多く、特有財産であることの立証はハードルが高くなりがちです。
離婚後の住宅ローンは誰が負担するのか
財産分与の際に、住宅ローンが残っている不動産があるといったケースは珍しくはありません。
今回はその住宅ローンが残っている場合に、離婚後の住宅ローンについてお話したいと思います。
そもそも不動産は物理的には一つですので、どちらかが取得することとした場合、どちらを所有者とするか決める必要があります。しかし、住宅ローンが残っている場合で、不動産を取得するとした場合、少し対応が複雑になることがあります。以下少し細かく見ていきましょう。
不動産を取得する人がローンを支払っている場合
このケースはもっとも単純です。特に手続きをすることなく、そのままローンを負担すれば良いからです。
不動産を取得する人がローンを支払っていない場合
このケースに関しては、不動産の取得者がローンを支払っていないため、少し複雑です。考えられるパターンとしては以下の通りです。
a.取得者が住宅ローンを支払う
不動産の取得者がローンを支払うことが単純に考えられます。もっとも、支払い方はローンの借り換えをして支払いを行うという方法と離婚時に一括して返済をしてしまう方法とが考えられます。前者は、融資会社が認めれば可能ですが、十分な収入がないと与信が認められず、借り換えが認められないということも考えられます。後者は通常ローンを支払っているのが収入の多い夫側であるため、財産分与で得た資産等から支払ってしまうということが考えられます。
b.不動産を取得しない側が支払いを続ける場合
この場合、ローンの支払いに関してはそのまま相手方が続けることになりますが、相手方は支払いを行い、ローンを減らすことによって、不動産を得られる訳ではないので、通常考えられません。もし、行うとすれば、ローンの支払いが養育費に当たることや、ローンの借り換えができなかったため、取得者から金額を受け取り、体裁上元のまま支払っているといった特殊な事情の場合と考えられます。
ペアローンの場合
ペアローンの場合も上記②と同様です。もっとも、ペアローンを組むということ自体、単独ではローンを組むことができなかったということが多いため、単独のローンへの借り換えは難しいかと思います。
売却する場合
ローンの負担は原則として、取得者がするのが通常のケースですが、売却してしまえば、オーバーローンの場合を除けば、売却代金がローンに充てることによって、ローンを負担する必要はなくなります。
親権と高額の財産分与を受けた事例
性格の不一致を原因として、夫から離婚を申し立てられた30代女性が、親権と高額の財産分与を得て解決した事例です。
依頼者は無職で、4歳の子どもがおり、離婚後の生活や子どもの将来について強い不安を抱えていました。
当事務所では、子どもの年齢やこれまでの養育状況を踏まえ、親権について慎重に検討するとともに、夫婦の共有財産である品川のマンションについて財産分与の交渉を行いました。
その結果、依頼者が子どもの親権を取得し、マンション売却益の7割にあたる約2,300万円を財産分与として受け取る内容で離婚が成立しました。
親権と経済面の双方を確保することで、依頼者と子どもが安心して新たな生活をスタートできる解決となりました。
まとめ
財産分与は複雑な問題が絡み、当事者だけの話し合いにより解決することが難しいケースは多いです。
上述したように、調停には、第三者を介すこと、財産開示の円滑な進行などメリットもあれば、時間がかかるといったデメリットともあります。
もっとも、ご自身が調停を申し立てた方がいいのかは、協議の状況、相手方との関係、保有財産等によって変わり、その判断は難しい場合も多いため、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
財産分与の話し合いは専門家への相談が重要

丸の内ソレイユ法律事務所は2009年創業。
創業以来離婚に関するご相談を多くいただき、現在では年間1000件以上の離婚に関するお問い合わせを頂いております。
離婚における財産分与は、単純なようで複雑であり、弁護士の交渉力次第で結果は大きく変わってきます。
また、当事務所では、単なる法律相談ではなく、「心」と「頭」に満足いただくカウンセリング型相談を実施しております。
ご相談いただいた方々からは
「戦略的なアドバイスで、心強かったです」(50代会社員)
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「本当に親身になってくれました」(50代 主婦)
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