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目次
財産分与とは
財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を分けることをいいます。通常、夫婦が離婚に向けて別居を開始すれば、それ以降は夫婦の協力関係が消滅したと評価することができるため、別居開始時点を基準時として、基準時点における財産を双方が開示して、それを合算したものを2分の1ずつ分ける、というのが基本です。
離婚時によくある財産隠しの具体例
ところが、いざ開示された配偶者の財産を見ると、思っていたよりもずっと少ない、ということがあり得ます。具体的には、「半年前の会話では、預金は1000万円以上あるって言っていたのに、なんで300万円しかないの?」
「●●証券からの郵便物がうちに届いていたはずだけど、証券口座の開示がない」
「夫は●●銀行の通帳を持っていたはずなのに、●●銀行口座の残高の開示がない」
「夫は●●生命の保険に入っているって言っていたのに、財産一覧表の中に●●生命保険が入っていない」
離婚で財産隠しが行われやすい典型的なパターン
財産分与で相手が財産を隠す典型的なパターンは、次のとおりです。
① ネット銀行・地方銀行への分散
メインバンク以外のネット銀行や信用金庫に口座を開設し資産を移動。通帳がないため発見されにくい 。
② 親族名義口座への移動
親・兄弟名義の口座へ資金を移動。
③ タンス預金・貸金庫
自宅の金庫や市中の貸金庫に現金・貴金属を保管。記録が残らない
④ 浪費・借金返済への充当
離婚前に大きな買い物や自分の借金返済を急ぎ、帳簿上の財産を減らす
⑤ 暗号資産(仮想通貨)への換金
現金を仮想通貨に換えてウォレットで保有。外部から残高確認が困難
預貯金の引出しや別口座への移動
預貯金の引出しや別口座への移動は、最もよくある財産隠しの手法です。
この方法は、預金通帳や預金取引明細に記録が残るので、比較的発覚しやすいと思われがちです。
しかし、財産分与の基準時から10年以上前に移動された預金取引は追えませんし、長期間にわたって毎月生活費と共に少しずつ引き出し、別の預金口座に預け入れた場合にも財産隠しであると認識することが困難です。
現金化して自宅や貸金庫に隠す
預金からお金を引き出して自宅や貸金庫に隠すパターンも多いです。この場合、相手方が現金の存在を立証することが極めて難しいので、過去の預金取引履歴に大きな引出しがないか等、お金の流れを細かく追う必要があります。
保険や投資商品の未申告
本来、自らの名義の財産を全て申告した上で財産分与をするべきですが、(故意かどうかは別として)保険商品や投資商品を契約・保有しているのに未申告のままにする方もいます。
この場合、相手方が何かしらのきっかけで保険会社や証券会社等の情報を得ていないと、存在しなかったかのような扱いがされます。
退職金の隠匿
退職金についても、勤務先には退職金制度がないと主張する方がいます。勤務先に問合せをして初めて退職金の存在が判明することもあり、財産分与を請求する場合には常にチェックしておく必要があります。
自営業者・経営者による収入の操作
自営業者や経営者は、自らの収入をある程度操作することができ、離婚を意識してから給料を下げてしまう方もいます。
財産分与の観点からみると、その分経営する会社の純資産が増え、相手方の持つ株式の価値が増えるので財産分与の際に困らないようにも思えます。
しかし、評価額の変動する財産分与については、離婚時(訴訟であれば口頭弁論終結時)を基準時とします。そのため、例えば会社の債務が増えた場合には、株式の価値も下がってしまい、財産分与を求める時にリスクが高い状態となります。
不動産の名義変更や価値のごまかし
例えば、投資用不動産の名義を第三者(会社)に変えてしまうといった方法で財産隠しをする方もいますし、あえて評価額の査定書や鑑定書を取得して価値をごまかそうとする方もいます。
逆に、評価額の高い査定書や鑑定書を取得してより多くの財産分与を受けようとする方もいます。
査定書と鑑定書が存在する場合、証拠としての価値は鑑定書の方が高いです(事実上、鑑定書が優先されます)。
離婚時に財産を隠されたときの対処方法|調査嘱託や証拠収集
財産隠しを見抜くための証拠集めの方法
大前提として、全く手がかりがない状態で証拠集めをすることは難しいです。
些細なものでも構わないので、何かしらの根拠資料が必要です。
財産隠しを見抜くための証拠集めをするためには、同居している方が有利です。
最もポピュラーな方法は相手方の郵便物を確認し、封筒の外からでもよいので写真を撮影しておくことです。また、相手方がアカウントを共有しているデバイスに来るメール通知がきっかけになることや、掃除中に確定申告書の控えを見つけたことで財産が判明した事案もあります。他にも、相手方の通帳や給与明細が自宅から見つかった例もありますし、多額の領収書が見つかり、浪費や不貞が判明することもあります。
別居後は、限られた手段しかなくなってしまうので、注意が必要です。
財産隠しの調査嘱託を利用するための条件・注意点
調査嘱託は、一般的には離婚訴訟の中で、裁判所に対して銀行や保険会社等への財産調査を依頼する手続です。利用するためには、何かしらの根拠資料が存在し、財産分与を考える上で影響があると考えられるものであることが必要です。注意点としては、全く根拠がないと裁判所が実施しないことです。画像でもなんでもよいので、相手方名義の財産が存在する可能性を示す必要があります。
なお、金融機関等が個人情報保護を理由として、調査嘱託に回答しない場合があります。そのような場合は、文書提出命令の申立てをすることで証拠が得られることがほとんどです。
既に財産隠しをされ、あるいはされた可能性がある場合の対処
既に財産隠しをされていたり、されてしまった可能性が高い場合の対処としては、とにかく相手方の預金取引や証券取引等の履歴をなるべく長く遡って確認し、目出す金銭の移動を見つけることが重要です。
また、通常、人は預金口座を複数保有していることが多く、会社員で給与引落口座がない方も少ないでしょうし、経費用の口座を持っていたり、住宅ローンの引落口座を給与引落口座と別に持っていることも多いです。
まずは口座を特定し、裁判所に調査嘱託を申し立てる等して、できる限り長期間にわたる取引履歴を入手することが必要です。
離婚時の財産隠しを弁護士に相談することで得られるメリット
大型事件の財産分与には特有の着眼点や手法があり、常に財産隠しがされていないかをチェックしてきた弁護士でないと気付けないことが多いと思います。
また、タイミングを間違えると相手方に財産隠しの暇を与えてしまうこともあります。
証拠収集の方法や相手方が開示してこない場合に証拠収集するタイミング(場合によっては保全をするタイミング)については、離婚を専門的に取り扱っている弁護士に相談しなければ取り返しのつかないことになるおそれがあります。
証拠収集や調査嘱託が円滑に進められる
別居前に弁護士に相談・依頼することにより、同居中にできる証拠収集の方法を財産の種類ごとに実践することができます。
実際にそのようにして財産隠しを防げたことが多いと感じます。
また、別居後であっても、少ない証拠から芋づる式に財産を見つけていった事例もありましたし、弁護士会照会、調査嘱託、文書提出命令、情報開示命令の申立て、債権仮差押え申立て、不動産に関する仮処分等の法的手続をとることにより、手持ち証拠の少なさを補ったことも多々あります。
相手方との交渉や調停・訴訟で有利に進められる
相手方の財産に関する情報が得られれば、当然ながら財産分与額は増えますし、交渉・調停・訴訟に共通して圧倒的有利な状況となります。
離婚時の財産隠しの対処法まとめ
相手方がどのくらいの規模の財産を有しているのか、ある程度把握していなければ、そもそも財産隠しがされたのかどうか、それすらわかりませんよね。そして、全くわからないからといって、闇雲に「もっとあるはずだ!夫は財産を隠している!」などと主張しても、それを裏付ける根拠資料(例えば、相手方が開示していない金融機関の通帳等)がなければ、裁判所は取り合ってくれません。
結局のところ、配偶者との離婚を意識したその時から、配偶者がどこの銀行のどの支店に口座を持っているのか、どの証券会社を使っているのか、どの保険に入っているのか等、配偶者の財産のありかの把握に努めることが、財産隠しに対する有効な対策となります。
財産分与の割合についてはこちらでも解説しておりますので、ぜひご確認ください。
離婚における財産分与のお悩みは
丸の内ソレイユ法律事務所へご相談ください
丸の内ソレイユ法律事務所は2009年創業。
創業以来離婚に関するご相談を多くいただき、現在では年間1100件以上の離婚に関するお問い合わせを頂いております。
離婚における財産分与は、単純なようで複雑であり、弁護士の交渉力次第で結果は大きく変わってきます。
また、当事務所では、単なる法律相談ではなく、「心」と「頭」に満足いただくカウンセリング型相談を実施しております。
ご相談いただいた方々からは
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