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親権停止とは?子どもの利益を守るための制度

親権停止とは、子どもの生命・安全や福祉を守るために、家庭裁判所が親の親権行使を一時的に制限できる制度です。
親(父または母)による親権の行使が難しい、あるいは不適切であり、その結果として子どもの利益が害されてしまう場合に適用されます。
親権は親のための権利ではなく、子どもの監護養育や財産管理など、子どもの幸せを守るための義務とされています。
まずは、親権停止の概要や親権喪失との違いについて、詳しく見ていきましょう。
親権停止が認められる要件
親権停止が認められるには、子どもの安全に明確な危険性がある状況が必要です。単に「育児が大変」等の事情だけでは、家庭裁判所は親権停止を認めません。
民法834条の2には、親権停止の審判申し立てについて、以下のように記載されています。
(親権停止の審判)
第八百三十四条の二 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。引用:民法|834条の2
| 要件 | 意味 | 状況の例 |
|---|---|---|
| 子の利益を害する | 親権の行使により子どもの心身の健康や財産に重大な悪影響を及ぼしている状態である。 | 児童虐待や長期にわたるネグレクトなど。 |
| 親権を行うことが困難又は不適当であること | 親の行為が、第三者から見て親権者として、不適切なものである。 | 服役や精神疾患によって子どもの監護が不可能であるなど。 |
「子の利益を害する」とは、親権者の行動が子どもにもたらす損害を指します。具体的には、以下のような行為が挙げられます。
- 子どもに対して殴る・蹴るなどの暴行
- 言葉で自尊心を傷つけて精神的に追い詰める行為
- 必要な食事を与えない
- 病気になっても受診させない
- 親権者が子どもの手当てや養育費を不当に浪費する
また、「親権を行うことが困難又は不適当である」とは、親権者自身の事情によって子どもの養育が不可能な状態です。
自身や子どもの世話すらできない状況が続いていた場合、監護の義務を果たす能力がないと判断されるでしょう。
親権停止の期間
民法第834条の2第2項に基づき、親権停止の期間は「2年を超えることができない」とされています。
よって家庭裁判所は、この範囲内で必要な停止期間を決定します。
(親権停止の審判)
第八百三十四条の二 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
ただし、親権停止の期間中であっても、原因が解消されれば、停止が取り消されます。
親権を停止された父母は、事情が改善したとき自ら家庭裁判所に停止取消しを申し立てることが可能です。
裁判所が改善を認めれば、期間途中でも裁判所の審判によって親権は回復します。
しかし、停止期間満了後に、親権者の問題行動が再発した場合、再度親権停止が申し立てられることも考えられるでしょう。
「親権停止」と「親権喪失」との違いは?
「親権停止」と「親権喪失」は、親の親権を制限する法的な制度です。
どちらも子どもの利益を守ることが目的であり、親権の制限期間や程度が大きく異なります。
それぞれの違いを、下記の表にまとめました。
| 比較項目 | 親権停止 | 親権喪失 |
|---|---|---|
| 目的・効果 | 子どもの利益を一時的に守る | 子どもの利益を永続的に守る |
| 制限期間 | 最長2年 | 無期限(原則として) |
| 親権者の地位 | 失わない | 失う |
親権停止は、一時的に親権の行使を制限する制度で、最長2年の期間が定められていますが、期間が満了すれば親権は復活します。
親権喪失は、「父又は母による親権の行使が著しく困難、または不適当であることにより子の利益を著しく害するとき」に適用される重い処分です。
親権停止よりも要件が厳格で、期間の定めがない点が大きな違いです。(参照:第4 親権喪失、親権停止、管理権の喪失の審判及び審判の取消し)
親権停止を申し立てる3つのメリット

親権停止の申し立ては、親子関係に大きな影響を与えますが、子どもにとってメリットがある場合があります。
裁判所による申し立てが認められた際のメリットは、以下のとおりです。
1. 子どもを虐待やネグレクトから法的に隔離し、安全な環境を確保できる
親権停止により重視するメリットは、子どもの生命・身体の安全を確保できる点です。
親権が停止されると、親は子どもの監護に関する重要な決定権を一時的に失います。虐待や育児放棄(ネグレクト)を行っている親から、子どもを法的な力をもって引き離すことが可能です。
危険な環境からの隔離は子どもの命を守り、医療行為への同意を親権者以外の者が行えるため、必要な治療をすぐに開始できるでしょう。
親権停止を申し立てることで、被害に遭っている子どもに対して、安全で適切な生活環境を速やかに整えられる点がメリットといえます。
2. 親権者の不適切な財産管理(使い込みなど)を止めさせ、財産を守れる
親権者には、子どもの財産を管理する「財産管理権」もあるため、不適切な財産管理を避けられます。
親が子どもの預貯金を勝手に使い込んだり、子どもの名義で高額な借金をしたりするなど、不当な財産管理を行うケースも少なくありません。
不適切な財産管理が行われると、子どもの将来の経済基盤が大きく損なわれます。
特に、問題となる不当な行為の具体例とそのリスクは、以下のとおりです。
| 不当な行為 | リスク |
|---|---|
| 預貯金の不正流用 | 子どもが将来利用するはずの教育資金などが失われる。 |
| 子どもの名義での借金 | 子どもに多額の負債を負わせ、将来の生活設計に深刻な影響を与える。 |
| 相続財産の独断的な処分 | 子どもが本来受けるべき貴重な資産が失われる可能性がある。 |
親権停止が認められれば、親権者の財産管理権も停止されるため、子どもの大切な財産が法的に守られます。
3. 子どもの法定代理人が「未成年後見人」となり、適切な意思決定が可能になる
親権が停止されると、親権者が行使していた契約などの法律行為の代理権も停止し、未成年後見が開始します。(参照:民法|第841条)
親権停止の審判を受けた父または母は、民法第840条に基づき、遅滞なく家庭裁判所に未成年後見人の選任を請求しなければなりません。
未成年後見人は、親権者に代わり、子どもの教育や医療、財産管理などの法律行為を代理で行うことができます。
例えば、親が重度の精神疾患や長期服役などで監護が困難な場合でも、未成年後見人がつくことで、子どものために必要な手続きや同意を代わりに行えます。
また、子どもの財産管理についても代理権を持つため、親が子どもの監護を行うことが難しい場合でも、必要な手続きへの対応が可能です。
未成年後見人は、親権者がいない間、子どもの健やかな成長を支え、最善の利益を考えるセーフティーネットとして機能しています。
親権停止によって生じる3つのデメリット

親権停止は子どもの安全を守る制度ですが、手続きを行う側や子ども自身にも負担やリスクが伴うため、慎重に進める必要があります。
また、親権停止により生じうる3つのデメリットは、以下のとおりです。
1. 親子関係に亀裂が生じ、子どもの精神的負担になる可能性がある
親権停止は、親を法的に訴え、親子関係を一時的に断ち切る行為のため、築いてきた親子関係に亀裂が生じてしまう可能性が高いといえます。
たとえ不適切な親であったとしても、子どもにとってはかけがえのない親です。
手続きの過程で、子どもの心が傷ついて、精神的な負担やトラウマとなる可能性が考えられます。
親権停止の申し立てを行う際は、子どもの気持ちを最優先し、カウンセリングなどの精神的なケアも並行して進めていかなければなりません。
法的な解決と情緒的なケアの両面を整えることが求められるため、スクールカウンセラーや児童相談所との連携した行動を心がけましょう。
2. 手続きに時間や費用がかかり、申立人の負担が大きい
親権停止の申し立ては、家庭裁判所での「審判」という正式な手続きが必要です。
ただし、申し立てから審判が下されるまでには、家庭裁判所調査官による事実調査や、関係者への聞き取りが行われるため、数ヶ月程度の期間を要することがあります。
裁判所のスケジュールや事案の複雑さによって、審理期間は大きく変動するため、申立書の提出前に自身のスケジュール調整をしておきましょう。
また、弁護士費用や裁判所に納める実費として、印紙代や郵便切手代などもかかります。
申立人にとって時間面・経済面・精神面にも大きな負担を強いられるでしょう。
3. 親族間で感情的な対立が激化するリスクがある
親権停止の申し立ては、親権者の責任を問う行為と見なされ、関係者の間に深い溝が生まれてしまいがちです。
特に、申し立てを行う人が祖父母や兄弟姉妹などの近しい親族である場合、問題は深刻化する可能性があります。
裁判所の判断によって親権が停止されたとしても、その後、親族間の憎しみや激しい感情が残るかもしれません。
感情的なしこりが残ると、その後の家庭内・親族間の関係修復が難しくなるリスクもあります。
子どもの安全が最優先ではありますが、親権停止の手続きは、申立人だけでなく親族全体に大きな精神的負担を与えます。
親権停止の申し立てに、反対される可能性を考えて事前に話し合っておくなど、慎重に進めましょう。
親権停止が認められやすい4つのケース

親権停止は「親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」に認められると定められています。(参照:民法834条の2)
実際に裁判所が親権停止を認めやすい具体的なケースは、以下4つです。
ケース1. 身体的・精神的な「虐待」が続いている
親権停止が認められやすいケースとして、親が子どもに対して身体的な暴行を加えたり、精神的に追い詰める言動を繰り返している状況があげられます。これらは、子どもの心身の安全を脅かしていると判断されるためです。
具体的には、以下のような「虐待」が該当します。
- 殴る・蹴る・火傷を負わせるなどの「身体的虐待」
- 「お前なんていらない」「生まれてこなければよかった」などの言葉で自尊心を傷つける「精神的虐待」
また、身体的虐待と精神的虐待が複合的に発生しているケースや、他の家族へのDVを見せつけて委縮させるケースも少なくありません。
特に、虐待が一時的なものでなく、継続的に行われていると認められる場合、親権の不適切な行使として親権停止が認められやすくなります。
虐待で受診した際の診断書や患部の写真、音声データなどは有効な証拠になるため、必ず申立書と合わせて提出しましょう。
ケース2. 食事や医療を十分に与えない「ネグレクト(養育放棄)」がある
ネグレクトとは、親が子どもに必要な養育をしないことを指し、「養育放棄」とも呼ばれます。
ネグレクトは、直接的な暴力がなくとも、子どもの生存や発達を妨げる深刻な行為です。
具体的には、以下の行為がネグレクトとみなされる可能性があります。
| ネグレクトとみなされる行為 | 内容 |
|---|---|
| 病気・怪我の放置 | 病気や怪我をしても、病院へ連れて行かない。 |
| 生活環境の不備 | 十分な食事を与えなかったり、不衛生な環境で生活させたりする。 |
| 義務教育の放棄 | 学校へ通わせなかったり、必要な学習機会を妨げたりする。 |
子どもに必要な衣食住の世話を怠る行為や、病気や怪我をしても病院に連れて行かない「医療ネグレクト」が典型例でもあります。
また子どもが不衛生な環境に置かれているだけでなく、長期間一人で家に放置されているなどもネグレクトです。
学校の欠席状況や児童相談所への連絡・相談記録があれば、有力な証拠として提出できるため、あらかじめ準備しておきましょう。
ケース3. 親の浪費やギャンブルによって、子どもの財産が不当に処分されている
親権には、子どもの財産を管理する財産管理権が含まれます。
しかし、子どもの財産を子どもの将来のために使用しないことは権利の濫用とみなされ、親権停止の申し立てが認められる場合があります。
具体的には、以下のように親が個人的な目的で子どもの財産を不当に浪費するケースです。
- 子ども名義の貯金を勝手に使い込む、契約をする
- 子どもが相続した不動産や財産を、ギャンブルや借金の返済に充てる
このような行為は、親権者が財産管理権を不適切に行使し、子どもの経済的な利益を害しているため、親権停止の対象となります。
財産管理権を濫用している証拠としては、子ども名義の通帳や明細書などが有効です。
ケース4. 親が重い精神疾患や服役により、子どもの監護が著しく困難である
親権の行使が困難な状況(服役、重度の精神疾患等)も、親権停止の対象です。
親に虐待等の不適切な行為がなくとも、物理的・精神的理由により継続的な養育が不可能であれば、民法第834条の2第1項に基づき、子の利益を害すると判断されます。
物理的・精神的な理由で、継続的な養育が不可能になった状況を指すケースが多く、子の利益を守るため、親権の適正な行使を確保する必要があります。
養育の困難に当てはまる状況は、以下のとおりです。
| 親の状況 | 状況例 | 懸念される影響 |
|---|---|---|
| 重度の精神疾患 | 親が長期入院や治療を要し、子どもの世話が継続的にできない。 | 日常生活や住居の確保が困難になります。 |
| 長期の服役 | 親が刑事事件で刑務所に長期収監され、子どもの監護ができない。 | 進学や学校生活への必要な手続きができません。 |
| 行方不明 | 親が長期にわたり行方不明となり、監護の意思表示ができない。 | 緊急時や重要な治療に関する同意ができません。 |
裁判所が親権停止の審判や、未成年後見人などの代行者を選任するうえで、在監証明書や精神疾患の診断書は、重要な証拠となるため提出しましょう。
親権停止が却下される可能性がある3つのケース

親権停止は子の利益を守る強力な手段ですが、申し立てれば必ず認められるわけではありません。
家庭裁判所は、子の利益を害する証拠が不十分な場合や、親の態度が改善し停止の必要がないと判断した場合など、特定の状況下で申し立てを却下することもあります。
ここでは、親権停止が却下される可能性がある、主な3つのケースを解説します。
1. 証拠が不十分で「子の利益を害する」と認められない
親権停止は、親が持つ強い権利を一時的に止める、非常に重い処分です。 そのため、家庭裁判所は極めて慎重に判断を下します。申し立ての根拠が曖昧な場合、親権停止は認められません。
具体的には、以下のような証拠能力の低い主張は却下される可能性が高いです。
- 「しつけが厳しすぎる」といった申し立て側の主観的な不満
- 「〜らしい」という伝聞や、裏付けのない噂話
- 憶測に基づいた「不適当な親だ」という主張
親権停止を認めてもらうには、客観的な証拠が不可欠です。「親権の行使が不適切で、子の利益を明確に害している」事実を証明する必要があります。
信頼性の高い客観的な証拠として、以下のようなものが挙げられます。
| 証拠の種類 | 内容・概要 |
|---|---|
| 診断書・意見書 | 医師や臨床心理士が作成した、子の心身の状態を示す書類 |
| 警察への相談記録 | DVや虐待について、警察に相談・通報した履歴がわかる資料 |
| 児童相談所の記録 | 児童相談所が一時保護や指導を行った経緯がわかる資料 |
| 陳述書 | 学校の教員や親族など、第三者が状況を説明する書面 |
| 写真・音声・動画 | 怪我の痕跡がわかる写真や、暴言を録音したデータなど |
これらは第三者が作成・記録したものであり、証拠として重視されます。有効な証拠を体系的に収集し、法的な主張と結びつける作業が重要です。証拠収集の段階から、専門家である弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。
証拠収集にお悩みの方は、丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。親権や離婚問題に精通した弁護士が丁寧にサポートいたします。
2. 親権者の態度が改善され、停止の必要性がないと判断される
親権停止の申し立ての原因となった問題がすでに解消・改善していると判断された場合、申し立てが却下される可能性もあるでしょう。
親権停止の申し立てが受理されると、家庭裁判所の調査官は、親権者の生活状況や子の養育環境を詳しく調査を行います。
調査の結果、親権者の態度などが改善されており、それが一時的なものではなく、継続的であると認められれば、親権停止は却下される可能性があります。
家庭裁判所の調査官が重視しているポイントは、以下のとおりです。
- 専門家の支援を自ら受けているか(例:カウンセリング、治療プログラム)
- アルコールや薬物などの依存症から回復する措置を講じているか
- 親族や公的機関など、養育をサポートする環境が整っているか
- 改善に向けた具体的な努力を継続しているか
これらの事実から「再発の可能性が低い」と判断された場合、裁判所は「現時点で親権停止の必要性はない」と結論付けるでしょう。
3. 申し立ての動機が不純だと見なされる
親権停止制度は、あくまで「子の利益と福祉」を守るために設けられています。
よって、親権停止の申し立ての動機が、本来の目的から逸脱していると判断された場合は、却下される可能性があります。
例えば、親権者への報復感情や嫌がらせが目的であるケースです。裁判所が、申し立ての動機が不純であると判断すれば、手続きは進められません。
これは、親権停止制度が濫用されることを防ぐためです。以下のように、子の福祉とは異なる目的での利用は認められません。
| 不純と見なされる動機 | 具体的な目的の例 | 裁判所が却下する理由 |
|---|---|---|
| 報復・嫌がらせ | 離婚した相手方(親権者)に精神的苦痛を与える。 | 子の福祉とは無関係な、申立人の私的な感情に基づくため。 |
| 離婚訴訟の有利化 | 離婚調停や訴訟で、親権や財産分与の交渉材料にする。 | 制度の趣旨を逸脱し、訴訟戦術として利用しているため。 |
| 金銭的な圧力 | 養育費の増額や、面会交流の条件変更を強要する。 | 子の健全な育成を保護するという、本来の目的ではないため。 |
申し立てが認められるのは、あくまでも親権者の不適切な養育から子を保護する必要がある場合のみです。
親権は「子の安全と健やかな成長を守るための責務であること」を理解した上で、停止の申し立てをすべきか検討しましょう。
親権停止の申し立て手続きの流れ【4ステップ】

親権停止の申し立ては、家庭裁判所で行う手続きです。これは「家事審判手続」と呼ばれる正式な手続きに分類されます。
本章では、親権停止の申し立ての準備から審判が下されるまでの流れを、以下4つのステップで解説します。
ステップ1. 申し立ての準備|申立人・管轄裁判所・必要書類を確認する
まず、親権停止の申し立てに必要な準備を整えます。誰が申し立てできるのか、どこに提出するのか、何が必要かを確認しましょう。
親権停止の申し立てが可能なのは、法律で定められた以下の人たちです。(参照:民法第834条の2第1項、児童福祉法第33条の7)
- 子ども本人
- 子の親族(もう一方の親、祖父母、兄弟姉妹など)
- 未成年後見人
- 未成年後見監督人
- 検察官
- 児童相談所長
離婚して親権者にならなかった親も、「子の親族」として申し立てが可能です。
申立先は、原則として「子どもの住所地」を管轄する家庭裁判所です。管轄の裁判所は、裁判所のホームページで検索できます。
提出には、主に以下の書類が必要となります。
- 親権停止審判申立書(裁判所のウェブサイトで書式を入手可能)
- 子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
- 親権者(相手方)の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 申立人の戸籍謄本(申立人が親族の場合)
- 申立手数料(収入印紙)と連絡用の郵便切手
- 証拠資料(診断書、写真、録音データ、陳述書など)
必要な書類は事案によって異なる場合があります。裁判所の案内を確認し、不備がないよう入念に準備してください。
ステップ2. 家庭裁判所に親権停止審判の申立書を提出し、手続きを開始する
ステップ1で準備した書類一式を、管轄の家庭裁判所に提出します。提出方法は、窓口への持参または郵送のどちらでも可能です。
書類が受理されると、裁判所から相手方(親権者)へ申立書のコピーが送付されます。
ここから、家庭裁判所での審判手続きが正式に開始されます。
申立書は、裁判官が事態を把握するための最も重要な書類であり、「なぜ親権停止が必要なのか」を具体的かつ客観的に記載する必要があります。
以下の項目を整理して記載すると、裁判官に事案の核心が伝わりやすくなるため、、記入時の参考にしてください。
| 申立書の主な記載項目 | 記載のポイント |
|---|---|
| 申立の趣旨 | 「相手方の親権を停止する」という審判を求める旨を明記します。 |
| 申立の理由 | 親権者のどのような行為が「困難または不適当」なのかを具体的に記述します。 |
| 子の利益を害する状況 | その行為により、子の心身や福祉にどのような悪影響が出ているかを説明します。 |
| 親権停止の必要性 | なぜ他の手段(指導など)ではなく、親権停止という措置が必要なのかを述べます。 |
| 証拠(疎明資料) | 主張を裏付ける証拠(診断書、写真、相談記録など)を提示します。 |
申立書の作成は、法的な主張を組み立てる専門的な作業です。書き方に不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
ステップ3. 事実調査|調査官による面談や家庭訪問に対応する
申し立てが受理されると、裁判所による事実調査が開始されます。家庭裁判所調査官が、申立人と相手方の双方から事情をヒアリングしたり、子ども本人(一定の年齢以上の場合)の意向も確認したりと、実態を詳しく調べます。
必要に応じて家庭訪問や学校への聞き取りが行われることもあるでしょう。
この調査結果は、審判の結論に大きな影響を与えるため、調査官からの面談や質問には、感情的にならず誠実に対応することが重要です。
調査と並行して、裁判官が当事者双方の意見を直接聞く「審問」が行われる場合があります。審問期日は、事前に裁判所から通知されます。
審問で質問される主な項目は、以下のとおりです。
| 審問での主な確認事項 | 質問の意図・背景 |
|---|---|
| 親権者の具体的な問題行動 | 親権の行使が不適当とされる事実(虐待、ネグレクトなど)の有無や程度を確認します。 |
| 子どもの現在の心身の状態 | 子が受けている具体的な不利益や、安全が脅かされていないかを確認します。 |
| 申立書の内容の確認 | 申立の理由について、より詳細な説明や証拠との関連性を問われます。 |
| 相手方の反論に対する意見 | 相手方(親権者)の主張や弁明に対し、申立人としての見解を述べます。 |
| 停止後の監護体制 | 親権停止が認められた場合、誰がどのように子を監護するのかを確認します。 |
審問では、提出した証拠に基づき、客観的な事実を簡潔に回答するよう心がけてください。
ステップ4. 最終判断|家庭裁判所から「審判」が下される
すべての調査と審問が終わると、裁判所は最終的な判断(審判)を下します。
審判の種類は大きく分けて以下の2種類です。
| 審判の種類 | 意味 |
|---|---|
| 認容 | 申立人の主張を認め、親権を停止する審判 |
| 却下 | 申立人の主張を退け、親権停止を認めない審判 |
裁判所が「親権停止の要件を満たす」と判断すれば、認容審判が下されます。一方、要件を満たさないと判断されれば、却下審判となり、親権停止は認められません。
審判の結果に不服がある当事者(申立人または相手方)は、告知を受けた日の翌日から2週間以内に「即時抗告」という不服申し立てが可能です。
即時抗告とは、高等裁判所に再度の判断を求める手続きです。
この2週間の期間内に誰も即時抗告をしなければ、審判は確定し、親権停止(または却下)の法的な効力が発生します。
【緊急の場合】審判を待たずに子どもの安全を確保する「審判前の保全処分」
親権停止の申し立てを行う際、虐待などで子の生命や身体に重大な危険が迫っているケースもあるでしょう。
このように緊急性が極めて高い状況では、「審判前の保全処分」を申し立てることができます。
「審判前の保全処分」は、親権停止の最終判断が出るまでの間、暫定的に親権の行使を停止させる仮の措置です。
保全処分が認められるのは、以下のような深刻な状況です。
- 深刻な身体的虐待が継続しており、直ちに子を分離する必要がある
- 親権者が子の財産を不当に処分し、子の生活基盤が失われる危険がある
- 親権者が子を連れ去り、監護状況が一切不明になる恐れがある
裁判所が緊急の必要性を認めれば、迅速に決定が出されます。これにより、審判が確定するまでの間、子どもの安全を最優先で確保することが可能になります。
親権停止の申し立てにかかる費用・内訳

親権停止の申し立てにかかる費用は、大きく2種類に分けられます。1つは裁判所に納める「実費」、もう1つは弁護士に依頼する場合の「弁護士費用」です。
実費はご自身で手続きする場合でも必ず発生します。それぞれの内訳と相場を詳しく見ていきましょう。
実費(収入印紙・郵便切手)
実費とは、裁判所の手続きを利用するために納める最低限の費用です。主な内訳は、申立書に貼る収入印紙と、裁判所からの書類送付に使う郵便切手です。
家庭裁判所に納める実費の目安は以下のとおりです。(2025年10月時点)
- 収入印紙代:800円(子ども1人つき)
- 郵便切手:数千円程度
郵便切手の金額や内訳(何円切手を何枚か)は、裁判所ごとに異なります。申し立て先の家庭裁判所のウェブサイトで最新の情報を確認するか、事前に電話で問い合わせましょう。
(参照: 申立時に必要な収入印紙・郵便切手等一覧表(主なもの)/申立時に必要な収入印紙・郵便切手等一覧表(主なもの))
親権停止の申し立てを弁護士依頼するときの費用・内訳
親権停止の申し立てを弁護士に依頼する場合、実費とは別に弁護士費用が必要です。
弁護士費用の体系は事務所によって様々ですが、一般的に以下の内訳で構成されます。
| 費用の種類 | 相場(目安) | 内容・支払うタイミング |
|---|---|---|
| 着手金 | 30万~50万円程度 | 弁護士に依頼を決定した時点で支払う費用です。結果にかかわらず返金されません。 |
| 報酬金 | 30万円~ | 事件終了時に支払う費用です。親権停止が認められた場合など、成果に応じて、基本額に加算されることがあります。 |
| 日当・実費 | 別途規定 | 弁護士が裁判所へ出廷する際の日当や、交通費、通信費などの実費です。 |
着手金は、審判が却下された場合でも原則として返金されません。報酬金は、事件終了時に発生する報酬です。事案の難易度や、相手方との交渉の有無によって金額が変動することがあります。
これらの費用は法律で一律に決まっているわけではありません。事務所ごとに料金体系が大きく異なるため、必ず事前に確認をしておきましょう。複数の事務所に相談し、費用総額や内訳を比較検討することをおすすめします。
弁護士費用が払えない場合の対処法「法テラス」
経済的な事情で弁護士費用を支払うのが難しい場合、「法テラス(日本司法支援センター)」の利用を検討できます。
法テラスでは、「民事法律扶助制度」という制度を設けています。これは、経済的に余裕のない方でも法的な支援を受けられるようにする仕組みです。
制度を利用するには、収入や資産が一定の基準以下である必要があります。基準を満たすと、主に以下のサポートを受けられます。
- 弁護士などによる無料の法律相談
- 弁護士・司法書士費用の立替え
立替え制度は、着手金や実費などを法テラスが一時的に立て替えてくれるものです。利用者は、立て替えてもらった費用を原則として月々5,000円〜1万円程度の分割で返済します。
また、生活保護受給者など、事情によっては返済が免除される場合もあります。
親権停止の申し立ては、子の利益を守るための重要な手続きです。費用面で諦める前に、お近くの法テラスに相談できないか確認してみましょう。
親権停止が認められたその後の流れはどうなる?
親権停止の審判が確定した際の今後の流れは以下のとおりです。
- 親権停止の審判が確定
- 親権停止し、親権者は一時的に行使できなくなる
- 親権者が家庭裁判所に未成年後見人の選任を請求する
- 停止期間の終了による親権の回復
親権停止の審判が確定すると、親権者は子の監護や財産管理といった親権を一時的に行使できなくなります。
この時点では、子の法定代理人が法的に不在の状態です。
そのため、親権を停止された父または母は、家庭裁判所に対し、速やかに「未成年後見人」の選任を請求する必要があります。(参照:民法841条)
未成年後見人は、裁判所が自動で選任するわけではない点に注意しましょう。
家庭裁判所は、子の利益を最優先に考え、最も適任と判断した人を未成年後見人に選任します。
選任された未成年後見人は、停止された親権者に代わり、子の法定代理人として身上監護や財産管理を担います。
具体的に行うのは、以下のような生活全般に必要な法律行為です。
- 子の住環境の整備
- 契約行為
- 財産の保全 など
審判で定められた親権停止期間(最長2年間)が満了すると、民法834条の2第2項に基づき、親権は回復します。
また、親権停止期間中であっても、親権者の状況が改善し停止の理由がなくなった場合は、家庭裁判所への申立てにより、停止の審判を取り消してもらうことも可能です。
ただし、以下のようなケースでは、再度親権停止の審判が申し立てられたり、あるいは親権喪失の申し立てへ移行したりすることもあります。
- 停止期間が終了する時点でも親権停止の原因が改善されていない場合
- 再び親権を行使させることが子の利益に著しく反すると判断された場合
親権停止申し立ての成功率を上げる5つのポイント

親権停止の申し立てを成功させるには、法的な観点からの綿密な準備が不可欠です。
感情的な訴えだけでは、裁判所の判断を動かすことはできません。「子の利益を害している」という客観的な事実に基づき、申立ての要件を満たす必要があります。
ここでは、家庭裁判所に申し立てを認めてもらう確率を高める、5つの重要なポイントを解説します。
1. 客観的な証拠を十分に集める
親権停止は親の権利を強く制限する処分のため、裁判所は客観的な証拠を最も重視します。証拠が不十分な場合、「子の利益を害する」とまで断定できず、申し立ては却下されてしまうでしょう。
どれだけ具体的かつ客観的な証拠を揃えられるかが、手続きの成否を分けます。
虐待やネグレクトなどの立証に有効な証拠の例は、以下のとおりです。
| 証拠の種類 | 具体例 | 証明できる内容 |
|---|---|---|
| 医療記録 | ・子の怪我に関する診断書、カルテ ・精神科医によるPTSDなどの診断書 | ・暴力による身体的被害の程度や頻度 ・精神的虐待による深刻な影響 |
| 写真・動画・録音 | ・怪我の痕跡(あざ、火傷など)の写真 ・ゴミが散乱した劣悪な住環境の写真 ・親権者による暴言や罵倒の録音データ |
・虐待の事実そのもの ・ネグレクト(育児放棄)の具体的な状況 ・子の人格を否定する言動の存在 |
| 公的機関の記録 | ・児童相談所への相談 ・通報記録 ・警察へのDV相談や通報の記録 ・学校の欠席記録、面談記録 |
・問題が以前から発生し、公的機関が介入していた事実 ・家庭環境が子の生活に支障をきたしている状況 |
| 第三者の証言 | ・学校の教員、保育士、親族による陳述書 ・近隣住民による目撃証言 |
・家庭外での子の様子や、家庭での異変を客観的に裏付ける証言 |
| 金銭関連資料 | ・子名義の預金通帳の不自然な出金履歴 ・親権者の浪費を示す資料 |
・子の財産を親権者が不当に使い込んでいる事実(財産管理権の濫用) |
また、証拠を収集する際は、全ての証拠は、日付や状況を詳細に記録し、確実に保存することが大切です。例えば、児童相談所や学校とのやり取りは、日時と担当者名、会話内容を記録しましょう。
また、第三者の証言は、有力性を高めるために、可能な限り署名入りの陳述書の形で残すことをおすすめします。
2. 陳述書で具体性と一貫性を示す
申立人や関係者が作成する陳述書は、裁判官に事実を伝えるための重要な文書です。「ひどい親だ」など感情的な非難を記述する場所ではありません。客観的な事実に焦点を当て、法的な要件を満たしていることを示す必要があります。
特に重要なのは、主張の具体性と時系列に沿った一貫性です。「いつ・どこで・誰が・何を・どのように」したかを明確に記述します。
例えば、ネグレクトを主張する場合の記述のポイントは以下のとおりです。
| 記述のポイント | 例 |
|---|---|
| 時期の特定 | 「2024年10月頃から」、親権者はA(子)に食事を与えなくなった。 |
| 事実の描写 | 冷蔵庫は常に空で、Aは学校で空腹を訴えるようになった。 |
| 子の状況 | 2024年11月5日、空腹で衰弱しているAを学校の教員が発見し、保護した。 |
| 親権者の行動 | その間、親権者は自宅に帰宅せず、連絡も取れない状態が3日間続いた。 |
このように時系列で事実を積み重ねることで、主張に説得力を持たせることができます。また、陳述書の内容と、提出する証拠(写真や診断書など)が一致していることも極めて重要です。
3. 調査官の調査に協力的な姿勢を見せる
申し立てが受理されると、家庭裁判所調査官が申立人、相手方(親権者)、子ども本人と面談し、事実調査を行います。
必要に応じて、家庭訪問や学校への聞き取りを行うこともあるでしょう。
調査官は、中立な立場で子の利益のために調査する専門家であり、調査官の報告書は裁判官の判断に非常に大きな影響を与えます。
調査には隠し立てせず、誠実かつ協力的な姿勢で臨んでください。調査官の信頼を損なうと、不利な心証を与えかねません。
調査官からの質問には感情的にならず、客観的な事実を冷静に伝えることが大切です。
また、自分の主張に不利になることでも、虚偽の説明は絶対にしてはいけません。
真摯に協力的な姿勢を示すことが、「子どものことを第一に考えている」という信頼感と評価につながるでしょう。
4. 子どもの意見や気持ちを尊重する
家庭裁判所は、親権に関する審判において子の意思を尊重します。
特に子どもが10歳程度以上の場合、調査官や裁判官が直接意見を聴取することが多く、15歳以上の子どもの場合は、その意見を特に重視しなければならないとされています。
親権停止の申し立ての際は、以下の点に配慮し、子の気持ちを尊重する姿勢を貫きましょう。
- 子に過度な精神的負担をかけないよう配慮する
- 親が望む答えを言わせようとする「誘導」をしない
- 子が安心して自分の気持ちを話せる環境(調査官との面談など)を整える
子どもの意見が、親権停止を求める親の意向と異なる場合もあるかもしれません。その場合であっても、ありのままの気持ちを受け止める姿勢が重要です。
5. 早い段階で弁護士に相談する
親権停止は、法的な要件が厳格に定められた専門的な手続きであり、個人だけで対応し、裁判所を説得する主張と立証を行うのは非常に困難です。
手続きの成功率を上げるためには、早い段階で弁護士に相談することが賢明といえるでしょう。
弁護士は、法的観点から以下のような強力なサポートを提供しています。
| 弁護士によるサポート内容 | 詳細 |
|---|---|
| 証拠の精査 | 親権停止の要件を満たすために有効な証拠を選別します。 |
| 収集の助言 | 不足している証拠の集め方(診断書の依頼方法など)を助言します。 |
| 書面作成 | 説得力のある申立書や陳述書を、法的に構成して作成します。 |
| 調査官対応 | 調査官の面談で、何をどのように伝えるべきか具体的にアドバイスします。 |
| 精神的負担の軽減 | 複雑な手続きや相手方とのやり取りを代行し、申立人の負担を減らします。 |
特に証拠収集は、手続きの初期段階での対応が重要です。「証拠が揃ってから」ではなく、「申し立てを考え始めた」時点で相談することをおすすめします。
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親権停止に関するよくある質問
親権停止によって戸籍記載はどうなりますか?
親権停止の審判が確定すると、裁判所書記官の嘱託により、子の戸籍(身分事項欄)に審判確定日や親権停止者(父又は母)が記載されます。(参照:法務省|戸籍記載例)
ただし、親権停止はあくまで親権の行使を一時的に制限する措置です。親権が停止された親の氏名が戸籍から削除されたり、親子関係が解消されたりするものではありません。
子の戸籍には実の親としての情報が引き続き残り、戸籍上も親子関係は維持されます。
片親が親権停止になった場合、もう一方は親権者になれるのでしょうか?
片親が親権停止になった場合、所定の手続きを行うことで、もう一方が親権者になることが可能です。
手続きの内容は、元の親権の状況によって異なります。具体的には、離婚後の「単独親権」か、婚姻中の「共同親権」かで対応が変わります。
| 親権の状況 | 親権停止後の状態 | もう一方の親がすべきこと |
|---|---|---|
| 単独親権(離婚後など) | 親権者が法的に不在となる | 家庭裁判所への「親権者変更の申立て」が必要 |
| 共同親権(婚姻中など) | もう一方の親が単独で親権を行使 | 特段の手続きは不要 |
離婚などで唯一の親権者(単独親権)が親権停止になると、子の法定代理人が不在となるため、もう一方の親は家庭裁判所へ「親権者変更の申立て」をしなければなりません。
申立てを受けた家庭裁判所は、子の利益を最優先に、もう一方の親の監護能力や意欲、生活環境などを総合的に判断したうえで、適任と認めれば親権者に選任します。
一方で、婚姻中などで「共同親権」だった場合は、特別な申立ては不要です。片方の親権が停止されても、もう一方の親は引き続き親権者となるためです。親権停止期間中は、残ったもう一方の親が単独で親権を行使することになります。
親権停止の申し立ては誰ができますか?子どもからは可能?
親権停止の申し立てができる人は以下のとおりで、親権停止の申し立ては、子ども自身(未成年者)も可能です。(参照:民法834条の2、児童福祉法第33条の7)
- 子ども本人
- 子の親族
- 未成年後見人
- 未成年後見監督人
- 検察官
- 児童相談所長
実際に、子ども本人によって申し立てが行われたケースも報告されています。
子ども本人が親権停止を申し立てる場合は、家庭裁判所調査官が子どもと直接面談し、その真意を丁寧に確認しながら慎重に手続きを進めます。
まとめ|親権停止の申し立ては弁護士に相談して適切に進めよう
親権停止は、親による不当な親権の行使から、子どもの利益を一時的に守るための大切な制度です。
親権停止の申し立ては、手続きが複雑であり、証拠の収集や法的要件の立証に高度な専門性が求められます。
「親権停止が必要かもしれない」と感じたら、まずは弁護士に相談し、法的な観点から状況を整理することが、子どもを守るための最初の一歩です。
弁護士のサポートを得て、迅速かつ適切に手続きを進めましょう。
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