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親権がないデメリットとは?できないことや後悔しない対策法を解説【弁護士監修】

親権がないデメリットとは?できないことや後悔しない対策法を解説【弁護士監修】

「親権を失うと、もう子どもとは会えなくなるのだろうか?」
「離婚後、親権がないことで、生活にどのような不都合が生じるのか?」
離婚の際、親権をめぐる問題は、当事者にとって深刻な課題の一つです。
親権が認められなかった場合、今後の子どもの生活や自分自身の人生にデメリットが生じるのではないかと、不安に感じている方も多いでしょう。
この記事では、親権がない場合の具体的なデメリットと対策、親権がなくても維持される親子間の権利・義務などについて解説します。

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親権がないことで起こりうる7つのデメリット

親権とは、未成年の子どもの利益のために「監護及び教育をする権利義務」と「財産を管理する権利義務」を行使する総称です。(参照:法務省|親権者

離婚時に父母の一方が親権を持たない「非親権者」になると、親として法的に行使できる権利が制限されます。

親権がないことで起こりうるデメリットは、以下のとおりです。

1. 子どもの重要事項(進学・治療・引越し等)を単独で決定できない

親権がない親(非親権者)は、子どもの将来に関わる重要な決定を単独で行えません。これは、法律上、子どもの「身上監護権(しんじょうかんごけん)」と「財産管理権」が親権者に属するためです。

具体的には、以下のような事項の最終決定権は親権者が持ちます。

  • 進学先(幼稚園、小中学校、高校、大学など)の決定
  • 病気や怪我の治療方針(手術の同意など)の決定
  • パスポートの取得申請
  • 居住地の決定(引越し)
  • 宗教や習い事に関する決定

例えば、子どもが「お父さん(非親権者)の家の近くの学校に通いたい」と希望しても、親権者(母親)が同意しなければ実現は困難です。

親権者と良好な関係を築き、相談の上で決定に「関わる」ことは可能ですが、法的な最終決定権は親権者にある、という点がポイントとなります。

2. 子どもとの同居や日常の世話(監護)が原則困難になる

親権には、子どもの世話や教育を行う「身上監護権」が含まれています。

離婚によって親権者が決まると、その親権者が子どもと同居し、日常の世話(監護)を行うのが原則です。

非親権者になると、後述するように、親権と監護権を分けた上で自身が監護権者になる(親権と監護権の分属)といった例外的な場合でない限り、子どもと一緒に暮らす権利は法的には失われます。

もちろん、親権者との合意があれば、子どもが非親権者の家に宿泊することは可能です。 しかし、それはあくまで親権者の同意に基づく一時的な「面会交流」の一環です。

非親権者が「自分が育てる」と主張して、親権者の同意なく子どもを連れて行くことは、法的な問題(民事上は不法行為、刑事上は未成年者略取誘拐罪など)に発展するリスクさえあります。

日常的に子どもの成長をそばで見守り、世話をすることが難しくなるのは大きなデメリットといえるでしょう。

3. 子どもの財産管理や法律行為の代理人になれない

未成年の子どもは、原則として単独で法律行為(契約など)を行えません。

親権者は、子どもの「法定代理人」として、財産管理や契約行為を代行する権利と義務(財産管理権)を持ちます。

しかし親権がない場合は、この法定代理人としての地位を失うことになります。

項目 親権者 非親権者
財産管理権 あり(子ども名義の財産の管理を行う) なし
法定代理権 あり(子どもに代わって契約等の法律行為や訴訟などを行う) なし

具体的には、以下のような行為ができなくなります。

  • 子ども名義の銀行口座の開設
  • 子どもが相続した遺産の管理や遺産分割協議への参加
  • 子ども名義の携帯電話や賃貸物件の契約
  • 子どもが受け取る保険金や損害賠償金の管理

例えば、祖父母が子どもに残した遺産があっても、非親権者はその管理や相続の手続に関与できず、すべて親権者が法定代理人として行うことになります。

親権がないと、子どもの財産を守り、適切に運用する役割を法的に担えなくなるのです。

4. 子どもの戸籍や氏の変更手続に単独で関与できない

離婚後、子どもの戸籍や氏(姓)を変更する手続にも、親権者の関与が必須となります。

離婚しても、子どもの戸籍は原則として婚姻中の戸籍(多くは父親が筆頭者)に残ったままです。

例えば、離婚後に旧姓に戻った母親が、子どもを自分と同じ戸籍に入れ、同じ姓を名乗らせたい場合、以下の手続が必要です。

  • 家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てる。
  • 裁判所の許可を得た後、役所に「入籍届」を提出する。

この「子の氏の変更許可」の申立ては、子どもが15歳未満の場合は法定代理人(通常は親権者)が行います。非親権者は、この手続の申立人になることができません。(参照:裁判所|氏の変更許可

親権がない場合、子どもの戸籍や氏という、アイデンティティに関わる重要な手続に関与できない点もデメリットです。

5. 児童扶養手当など公的扶助の受給資格がなくなる

親権がない場合、児童扶養手当をはじめとする公的扶助の受給資格を失う可能性があります。

公的扶助の受給資格は、親権の有無ではなく「誰が実際に子どもを監護・扶養しているか」で判断されます。

したがって、親権がなくても子どもと同居して養育している場合は受給対象になることもありますが、別居している場合は、監護している親(多くは親権者)が受給者となります。

代表的な公的扶助と受給資格・支給対象は以下のとおりです。

公的扶助の例 詳細 受給資格・支給対象
児童扶養手当 ひとり親家庭の生活の安定と自立を助けるための手当。 父母が婚姻を解消した児童、父又は母が死亡した児童、父又は母が一定程度の障害の状態にある児童、父又は母の生死が明らかでない児童等を監護していること等
(引用:子ども家庭庁|児童扶養手当制度の概要
ひとり親家庭等医療費助成制度 ひとり親家庭の医療費の自己負担分を助成する制度(名称は自治体による)。 1. 児童を監護しているひとり親家庭等の母又は父
2. 両親がいない児童などを養育している養育者
3. ひとり親家庭等の児童又は養育者に養育されている児童で、18歳に達した日の属する年度の末日(障害がある場合は20歳未満)までの方
引用:東京都福祉局|ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)
児童手当 原則として、子どもを養育し生計を同じくする親が受給者になる。 児童(0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子をいいます。以下同じ。)を養育している方
引用:子ども家庭庁|児童手当制度のご案内

6. 周囲からの誤解や偏見・喪失感が精神的負担になる可能性がある

法的な問題だけでなく、精神的な負担も大きなデメリットです。

日本ではまだ「親権=親としての適性」と見なす風潮が残っている場合があります。 親権を失った場合、周囲から「何か問題があったのでは」「親失格だ」といった誤解や偏見の目で見られるケースもあります。

また、親権を持てなかったこと自体が、深刻な喪失感や罪悪感につながることもあります。

子どもと日常的に会えない寂しさや、成長を見届けられない無力感が、長期的な精神的ストレスとなる可能性も考えられます。

こうした社会的なプレッシャーや内面的な葛藤も、親権がない側が直面する現実的な問題です。

7. 子どもと心理的な距離ができる

非親権者になると、子どもと接する機会が減り、日常の出来事を共有する時間が少なくなります。

こうした時間的・物理的距離の拡大が、やがて心理的距離の広がりにつながりうる点もデメリットといえるでしょう。

親権者でなければ、原則として子どもとの同居や日常の世話(監護)ができません。面会交流の取り決めをしても、月1回や2回程度の面会では、子どもの日々の細かな成長や変化を見逃しがちです。

特に子どもが幼い場合、会う頻度が低いと、非親権者に対して心理的な距離を感じるようになる可能性があります。

また、親権者(同居親)が非親権者に対して否定的な感情を持っていると、子どももその影響を受けることも少なくありません。

非親権者としては、養育費の支払いや面会交流を通じて懸命に関わろうとしても、子どもとの間に見えない壁ができてしまうリスクがあります。

時間的・物理的な距離が、そのまま心理的な距離につながらないよう、努力と工夫が求められるでしょう。

親権がなくても認められる4つの権利・義務

法律上、親権がない場合でも、非親権者にも認められている重要な権利と義務があります。

親権の有無に関わらず、子どもの幸せのために果たすべき4つの責任は、以下のとおりです。

1. 法律上の親子関係

離婚によって親権がなくなっても、法律上の親子関係が消滅することはありません。 離婚は、夫婦関係を解消するものであり、親子関係を断ち切るものではないからです。

離婚しても、法律上の親子関係が継続することは、戸籍にも明確に記載されます。

親子関係における、親権の有無による影響は以下のとおりです。

親子関係の側面 親権の有無による影響
戸籍上の関係 影響なし
血縁の事実 影響なし
義務と権利の継続 養育費・相続権は継続

例えば、父親が非親権者、母親が親権者となった場合でも、子どもの戸籍には「父」として父親の氏名が記載され続けます。 実の親であるという事実は生涯変わらず、法的に保護されるのです。

また、親権がなくても、子どもの扶養義務(養育費の支払い)や、親子間の相続権は法律上当然に存続します。

親権はあくまで「未成年の子どもを監護・養育し、財産を管理するための法的な役割」に過ぎません。

親子であるという事実は、親権の有無によって左右されるものではないのです。

2. 子どもと会う権利(面会交流権)

親権を持たない親にも、子どもと定期的・継続的に会って交流する機会(親子交流、面会交流)が認められています。

これは非親権者の権利であると同時に、子どもが両方の親から愛情を受けるための重要な権利(子の利益)でもあるとされています。(参照:法務省|親子交流(面会交流)

親権者が「会わせたくない」と感情的に拒否しても、法的に正当な理由(子どもへの暴力や虐待の恐れなど)がなければ、面会交流を一方的に拒否することはできません。

面会交流の具体的な取り決め(頻度、時間、場所、方法など)は、まずは夫婦間の話し合いで決定します。もし話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立て、第三者(調停委員)を交えて協議することが可能です。調停で話し合っても合意に至らない場合は、「審判」という手続に移行し、裁判所が面会交流の内容を決定します。

3. 子どもの生活を支える義務(扶養・養育費の支払義務)

親には、子どもが経済的に自立するまで扶養する義務(扶養義務)があります。 この義務は、親権の有無とは一切関係ありません。

離婚後、子どもと離れて暮らす非親権者は、この扶養義務を「養育費」という形で果たし続ける必要があります。

養育費は、子どもの生活費、教育費、医療費など、子どもが健やかに成長するために不可欠な費用です。 「親権がないから払わない」「面会させないから払わない」といった主張は、法的には認められません。

養育費の支払いは、親権者に対するものではなく、子どもに対する「親としての最低限の責任」です。

4. 子どもの財産を相続する・自分の財産を相続させる権利(相続権)

法律上の親子関係が続くため、親権の有無にかかわらず、互いの相続権はそのまま存続します。

相続のパターン 詳細
親が亡くなった場合 非親権者である親が亡くなった場合、子どもは「実子」として相続権を持つ。
子が亡くなった場合 子どもが亡くなった場合、非親権者である親も相続権を持つ(子どもに子や孫がいない場合)。

例えば、非親権者である父親が亡くなった場合、その子どもは常に法定相続人となります。

親権者である母親が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をしたとしても、実の父親との親子関係は消えないため、相続権は維持されます。

このように、親権がない場合であっても、互いの相続権は法的に保障され続けるのです。

親権がないデメリットを最小限に抑える3つの対策

親権が取れない可能性が高い場合でも、法的なデメリットを理解した上で、子どもとの関係性を維持し、成長を支えるためにできることは多くあります。

重要なのは、親権という「法的な役割」に固執しすぎず、「親としての実質的な関わり」をどう続けるかを考えることです。

ここでは、非親権者として取るべき3つの具体的な対策を紹介します。

1. 面会交流の機会を確保し、充実させる

まずは、面会交流の機会を確保し、子どもの話や成長に関心を示すなど、一緒に過ごす時間を充実させましょう。

子どもとの時間的・物理的な距離は、心理的な距離につながりやすいため、面会交流の機会を確実に確保し、その「質」を高める努力が不可欠です。

離婚時には、以下のような面会交流の具体的なルールを必ず書面(離婚協議書や公正証書、調停調書など)で残しておきましょう。

面会交流に関する項目 詳細
頻度 「月1回」など具体的(最低限のライン)に決める。
時間 「毎月第〇土曜日の10時から17時まで」など
方法 直接会う以外にも、電話、ビデオ通話、手紙、メール、SNS等を用いた間接交流を認めるかなど
行事 誕生日、クリスマス、入学式、卒業式、運動会といった学校行事への参加など
連絡 子どもの体調不良時や緊急時の連絡方法、通知表や健康診断の結果など、子どもに関する情報をどこまで、どのように共有するかなど

単に会って遊ぶだけでなく、勉強を見たり、悩みの相談に乗ったりするなど、子どもの成長段階に合わせた関わり方を工夫することが、信頼関係の維持につながります。

2. 適切な額の養育費を誠実に支払う

養育費の支払いは、法的な義務であると同時に、子どもへの愛情と責任を示す最も具体的な行動でもあります。

養育費を滞りなく誠実に支払い続けることは、親権者(同居親)と子どもからの信頼を得るためにも極めて重要です。

養育費が滞ると、親権者(同居親)は経済的に困窮するだけでなく、非親権者に対して強い不信感を抱きます。 その結果、「お金も払わないのに子どもに会わせたくない」と、面会交流がスムーズに行えなくなるケースも少なくありません。

裁判所が公表している「養育費算定表」を基準に、双方の収入に応じて適切な金額を取り決め、誠実に履行しましょう。

経済的に子どもの生活を支えているという事実は、たとえ親権がなくても、親としての責任と役割を果たしていることを示す大きな柱となります。

3. 親権が難しい場合「監護権」を分けることを交渉する

原則として、親権者が身上監護権も持ちます。しかし、法的には「親権」と「監護権(子どもと暮らし世話をする権利)」を分離することも可能です。

例えば、「親権は父親が持つが、監護権は母親が持ち、実際に子どもと暮らすのは母親」といった形です。

ただし、これはあくまで例外的な措置であり、実務上認められるケースは多くありません。

父母の対立が激しい場合、重要事項を決定する者(親権者)と日常の世話をする者(監護権者)が別々だと、かえって子どもの生活が混乱し、不安定になると判断されやすいためです。

もし、親権は譲らざるを得ないが、どうしても自分が子どもを育てたい(監護したい)という強い希望がある場合は、弁護士に相談し、交渉の余地があるかを検討しましょう。

【2026年施行予定】共同親権制の導入で「親権がないデメリット」はどう変わる?

現在、日本の民法では離婚後の親権は父母のどちらか一方だけが持つ「単独親権」が原則です。

2024年5月に民法が改正され、公布から2年以内(2026年5月24日まで)に「共同親権」制度が導入されることになりました。(参照:法務省|民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

制度 親権の帰属 権利行使の原則
現行(単独親権) 父母のどちらか一方 親権者の一方が単独で重要事項を決定
改正後(共同親権) 父母双方が持つことが可能 原則共同行使、急迫時などは単独行使も可

この改正により、「親権がないデメリット」は大きく変わる可能性があります。

共同親権を選択できるようになれば、父母双方が重要事項を決定できる仕組みになるため、単独親権下で非親権者が受けていた制約は大幅に緩和されます。

ただし、制度はまだ施行前であり、実際の運用や具体的な決定権の分担方法は今後の政令・実務運用によって定められていく予定です。

この新しい制度がどのように運用されていくか、今後の動向に注目しておきましょう。

親権と高額の財産分与を受けた事例

実際に弊所にご相談いただき解決した事例を紹介します。

ご依頼の経緯

Aと夫は性格が合わず、夫から離婚の申し立てがありました。

当事務所の対応

Aさんは弁護士に相談し、4歳になる子供の親権と共有財産である品川のマンションの売却益の7割(2300万円)を条件に離婚しました。

関連記事:親権と高額の財産分与を受けた事例

上記のようなトラブルの際は、ぜひ弊所にご相談ください。女性の初回相談は無料ですので、離婚時の財産分与にお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

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親権がないデメリットに関するよくある質問

親権がなくても一緒に暮らす方法はありますか?

親権者が「監護権」を非親権者に委ねることに同意すれば可能ですが、実際には困難なケースが多いと考えられます。

例えば、親権者は父親だが、監護権者は母親に指定し、子どもは母親と暮らす、という合意(親権と監護権の分属)が成立すれば、非親権者である母親が子どもと暮らすことは実現します。

ただし、これは双方の円満な合意が前提であり、意見が対立している場合、家庭裁判所が非親権者と子どもの同居を認める可能性は低いでしょう。

親権が無くても子どもと一緒に暮らす方法として、現実的な解決策は、親権者が同意した上での「長期の宿泊」や「一時的な同居」といった形が考えられます。

親権者である母親が親権がない父親に子どもを会わせないのは違法ですか?

面会交流の取り決め(調停調書や公正証書など)があるにもかかわらず、親権者(母親)が正当な理由なく面会を拒否し続ける場合、それは法的な「義務の不履行」にあたります。

「違法」と一概に言い切るのは難しいものの、非親権者(父親)は家庭裁判所に対して以下のような法的手段を講じることが可能です。

  • 面会交流調停の申立て:裁判所で調停委員を介し、面会交流の具体的なルールを改めて話し合って決める手続
  • 履行勧告:家庭裁判所が、調停や審判で決まった面会交流のルールを守るよう相手方に促すこと
  • 間接強制:面会交流を実施しない親に対し、裁判所が金銭の支払いを命じることによって心理的圧迫を加え、自発的に面会交流に応じるよう促すこと

まずは感情的にならず、家庭裁判所を通じて冷静に話し合いの場を持つことが推奨されます。

相手方との直接交渉が難しい場合は、丸の内ソレイユ法律事務所へぜひご相談ください。当事務所は、離婚や親権問題に精通した弁護士事務所です。ぜひ気軽にご相談ください。

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シングルマザーが亡くなったら親権はどうなりますか?

親権者である母親が亡くなった場合、あくまで「親権者がいなくなった」状態になります。よって、自動的にもう一方の親(父親)に親権が戻るわけではありません。

この場合の対応方法としては、主に以下2つの選択肢があります。

選択肢 詳細
未成年後見人の選任 ・親族などが家庭裁判所に申し立てることにより、子どもの「未成年後見人」が選任される
・後見人が親権者と同様の役割を果たすことになる
(参照: 裁判所|未成年後見人選任
親権者変更の申立て 非親権者(父親)が、家庭裁判所に「親権者変更」の申立てを行い、裁判所が父親を親権者として適格と認めれば、父親が親権者となる(参照:裁判所|親権者変更(親権者行方不明(死亡)等)

どちらの手続を選択するかは、子どもの利益を最優先に検討する必要があります。

いずれにしても、親権は自動的に切り替わるものではないため、速やかに法的な手続をとることが必要です。

離婚した後、子どもの戸籍はどうなるのですか?

離婚届を提出して親権者になったとしても、「親権者になること」と「子どもが自分と同じ戸籍に入ること」は、法律上イコールではありません。

離婚届を提出しただけでは、子どもの戸籍は、原則として婚姻中の筆頭者(多くは父親)の戸籍に残ったままです。

そのため、例えば母親が親権者となり旧姓に戻って新しい戸籍を作った場合、以下のような状態になります。

  • 親権者:母親
  • 子どもの戸籍:父親の戸籍
  • 子どもの氏(姓):父親と同じ(婚姻中のまま)

このように、親権者である母親と、子どもの氏(姓)が異なってしまう事態が起こります。

子どもを親権者と同じ戸籍・同じ氏(姓)に移すことを希望する場合は、離婚届とは別に、裁判所への子の氏の変更許可の申立て、役所への「入籍届」の提出など、法的な手続が別途必要になる点を覚えておきましょう。

まとめ|親権問題で悩んだら弁護士への相談も検討しよう

親権がないことには、子どもに関して、親としての法的な決定権を失うという点で、デメリットが生じます。

ただし法律上の親子関係は続き、面会交流権や相続権は保障され、養育費の支払いという重要な義務も続きます。

親権がないデメリットを最小限に抑えるためには、養育費の誠実な支払いや、面会交流の充実といった、親としての「実質的な関わり」をより充実させ、継続していくことが大切です。

もし相手方との話し合いが難しい場合や、法的にどうなるか不安をお持ちの方は、感情的・時間的な消耗を避けるためにも、早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。

法的な視点から、ご自身とお子様にとって最善の道筋を整理することが、後悔のない選択につながるはずです。

親権争いで不利になることが不安な方は、離婚問題に強い丸の内ソレイユ法律事務所へご相談ください。

女性の初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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