離婚・男女問題などでお悩みの方は
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【この記事で分かること】
- 離婚時の財産分与の基本ルール
- 離婚時の財産分与でも渡さなくていい「特有財産」にあたる貯金について
- 離婚時の「財産隠し」のリスク
- 離婚で渡したくない財産を守るための対策
- 離婚時に貯金を渡したくない人が弁護士に相談すべき5つのケース
自分の大切な貯金を守るためにも、本記事で特有財産について理解を深めましょう。
離婚時の財産分与でお悩みの方は、ぜひ丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。財産分与をはじめとする離婚問題に精通した弁護士が、あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案し、大切な財産を守るための手続きを力強くサポートします。まずはご相談ください。
離婚時に貯金を渡したくない人が知っておくべき財産分与の基本ルール
離婚時に「この貯金は渡したくない」と考えるなら、まずは財産分与について知る必要があります。
ここからは「2分の1ルール」「共有財産の範囲」「貢献度の考え方」という3つの基本ルールを解説します。
感情的な主張だけでは、法的に認められません。まずは基本をしっかり押さえておきましょう。
財産分与の割合は原則「2分の1」
離婚時の財産分与で基本になるのは、「2分の1ルール」です。
これは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産の分与割合は、原則として双方等しく2分の1になるという考え方で、すべての財産分与は基本的にこのルールに沿って行われます。
財産分与では、収入の多い・少ないにかかわらず、財産形成に対する夫婦双方の貢献を等しく評価します。この原則は長年の判例から確立されたものです。
ただし例外として、婚姻期間が極端に短い場合や、一方の浪費・借金などが原因で財産が減少した場合には、2分の1ルールが修正されることがあります。
なお、2024年5月に成立した改正民法(2026年5月までに施行予定)では、財産分与の考慮要素がより明確に例示されることになりました。(参照:法務省|父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました)
したがって、「自分が稼いだお金だから多くもらえるはずだ」という主張は、原則として通用しないと心得る必要があります。
財産分与の対象は結婚後に夫婦で協力して築いた「共有財産」
法律では夫婦を経済的なパートナーと考えます。そこで、婚姻期間に夫婦で協力して得た財産を「共有財産」とし、離婚時に公平に分けることを原則としています。
共有財産の例は、以下のとおりです。
- 夫婦の給与から貯めた預貯金(へそくりやタンス預金も含む)
- 婚姻中に購入した不動産や自動車
- 株式、投資信託などの有価証券
- 生命保険や学資保険の解約返戻金(婚姻期間に対応する部分)
ここで重要なのは、これらの財産が「誰の名義であるか」は一切問われない点です。夫名義の給与振込口座の預金も妻名義の保険も、その元手となったお金が夫婦の収入であれば共有財産とみなされます。
民法では、夫婦のどちらに属するか明らかでない財産は共有財産と「推定する」と定めています。(参照:民法|第762条第2項)
原資が曖昧な財産は共有財産となることを理解しておきましょう。
「専業主婦(主夫)だから不利」は間違い!貢献度の考え方
収入に差がある場合、「稼いだのは自分だから、相手に渡す必要はない」と考える方は少なくありません。
しかし、法的には、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産は双方の貢献によって得られたものと解釈されます。
ここでは給与などの直接的な収入だけでなく、専業主婦(主夫)による家事や育児といった日々の支えも「財産形成への貢献」として明確に評価されます。
よって「収入がなかったから貢献度は低い」という主張で、専業主婦(主夫)側の分与額を減らすことは原則できません。
>関連記事:専業主婦に財産分与するのはおかしい?減額の余地や不公平にならない交渉ポイントを弁護士が解説
「特有財産」の貯金なら離婚の財産分与でも渡さなくてよい
財産分与の2分の1ルールは強力ですが、すべての財産に適用されるわけではありません。
法律では、夫婦の協力とは無関係に得た固有の財産を「特有財産」と定め、財産分与の対象から除外しています。
ご自身の渡したくない貯金が「特有財産」にあたることを客観的に証明できれば、その貯金を離婚時に渡す必要はありません。
ここからは、財産分与の対象外である「特有財産」について解説していきます。
特有財産にあたる貯金とは?
特有財産とは、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産」および「婚姻中であっても、夫婦の協力とは無関係に自己の名で得た財産」を指します。(参照:民法|第762条)
重要なのは、財産の名義でなく、その財産の取得時期や、原資がどこから来たのかという本質的な部分です。
具体的には、以下のような貯金が特有財産に該当します。
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特有財産の例 |
具体例 |
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結婚前から持っていた貯金 |
独身時代に働いて貯めた預貯金 |
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婚姻中に親などから相続した遺産 |
親が亡くなって相続した預貯金や不動産 |
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婚姻中に親などから贈与されたお金 |
親からの住宅購入資金援助 |
また、これらの特有財産を原資として購入した資産(例えば、相続したお金で買った株など)も、その資金の流れを証明できれば、同様に特有財産として扱われます。
共有財産と特有財産を見分ける方法
特有財産を守るうえで最大の注意点は、「共有財産」と「特有財産」が同じ口座で混ざる「財産の混在」です。
例えば、独身時代から使っている口座に、結婚後も給与が振り込まれ、そこから生活費が引き落とされているようなケースです。
一度財産が混在してしまうと、どの部分が特有財産で、どの部分が共有財産なのかを客観的に区別することが極めて困難になります。
特有財産であることを客観的に証明できなければ、渡したくない貯金は全て共有財産とみなされる可能性が高いでしょう。(参照:民法|第762条第2項)
このリスクを避ける確実な方法は、財産を明確に「分別管理」することです。
独身時代の貯金や相続した遺産は、生活費を管理する口座とは別の専用口座で保管し、むやみに入出金しないようにしましょう。
共有財産と特有財産の違いや見分け方については、以下の記事もあわせてご覧ください。
>関連記事:【一覧表あり】財産分与の対象にならないものとは?見分け方や特有財産の主張方法を弁護士が解説
自分の貯金を特有財産と認めさせるために必要な証拠とは
特有財産の証明で大切なのは、主張を裏付ける客観的な証拠を揃えることです。
口頭での説明だけでは、残念ながら法的に特有財産と認めてもらうのは難しいのが実情です。証拠が不十分な場合、たとえ結婚前の貯金や相続財産であっても、共有財産とみなされるリスクがあります。
特有財産を主張する側に立証責任があるため、通帳の取引履歴や遺産分割協議書などの書面を確実に揃えておく必要があるのです。
どのような証拠が必要になるかは、以下のように守りたい財産の種類によって異なります。
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守りたい財産の種類 |
必要となる客観的証拠の例 |
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結婚前からの貯金 |
・結婚した日付時点での口座残高がわかる取引明細書 ・結婚した日付時点での金融機関発行の残高証明書 |
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親や祖父母から相続した財産 |
・遺産分割協議書 ・遺言書 ・被相続人の戸籍(除籍)謄本 ・相続財産が振り込まれたことがわかる通帳の写し |
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親や親族などから贈与されたお金 |
・贈与契約書(あれば理想的) ・贈与金が振り込まれた記録のある預金通帳の写し ・贈与者の口座からの出金記録 |
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特有財産を原資に購入した資産 |
・不動産売買契約書 ・頭金の出所が特有財産であることを示す通帳の取引履歴 |
離婚を考え始めた段階から、これらの証拠を意識的に準備・確保しておくことが、自分の財産を守るための最大の防御策です。
特有財産の証明に不安がある方は、丸の内ソレイユ法律事務所までご相談ください。当事務所では、離婚問題に精通した弁護士が、現在の状況において法的に妥当な財産分与額の見積もりや、特有財産の証拠集めをお手伝いいたします。
女性は、初回60分間の無料相談をご利用いただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。
離婚時に渡したくない貯金を隠す「財産隠し」のリスクとは?
離婚にあたり、ご自身で築いた貯金を少しでも手元に残すため、「貯金があることを隠したまま財産分与を進めたい」と考える方もいるかもしれません。
しかし、財産の一部を開示しない「財産隠し」は、かえってご自身を不利な状況に追い込んでしまう可能性があります。
具体的なリスクは以下のとおりです。
- 隠し口座は裁判所の調査手続きで発覚する可能性がある
- 損害賠償請求や、想定以上の財産開示のリスクがある
- 専門家や裁判官の信頼を失い交渉が困難になる
ここからは、財産隠しをするとどうなるのかを解説します。
1.隠し口座は裁判所の調査手続きで発覚する可能性がある
財産分与の話し合いがまとまらず、調停や裁判に移行した場合、法的な手続きを通じて隠し口座が発覚する可能性があります。
具体的には、以下の「調査嘱託」や「文書提出命令」といった手続きが用いられます。
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調査方法 |
概要 |
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調査嘱託 |
・離婚調停や裁判といった裁判所の手続きの中で、裁判所を通じて金融機関などに情報開示を要請する制度 ・裁判所からの命令であるため、金融機関がこれに応じる可能性は極めて高く、非常に強力な調査方法 |
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文書提出命令 |
裁判所が、口座を管理する金融機関などに対し、文書(取引履歴など)の提出を直接命令する制度。正当な理由なく拒否できない強力な手続き。 |
これらの手続きによって隠していた口座が発覚すれば、正直に財産を開示しなかった事実が裁判所に知られてしまいます。
誠実な対応を怠ったと見なされ、その後の話し合いで不利な立場に置かれることにもなりかねません。
財産隠しは、裁判所の調査嘱託や文書提出命令といった制度により高い確率で発覚します。発覚すれば損害賠償請求や信頼失墜につながり、むしろ不利な条件で離婚が成立する恐れがあります。
2.損害賠償請求や、想定以上の財産開示のリスクがある
財産隠しは、相手方の正当な財産分与請求権を侵害する「不法行為」にあたる可能性があります。(参照:民法|第709条)
裁判所に悪質だと判断されると、高額な損害賠償の支払いを命じられるケースも否定できません。
また、財産隠しが発覚した場合、民法709条に基づく損害賠償請求の対象となるだけでなく、裁判で不利な判断が下されたり、過去にさかのぼって財産の開示を命じられたりする可能性があります。場合によっては、財産分与額が増えるなど逆に損をする結果にもなりかねません。
さらに、一度財産を隠した事実が明らかになると、他の財産についても開示を厳しく追及される可能性があります。
相手方や裁判所から「他にも隠している財産があるのではないか」という疑念を抱かれ、想定以上の範囲の財産まで調査されることもあるでしょう。
調査により、親族名義の口座で、実質的にご自身の財産だと判断された預金があれば、分与の対象に含まれる可能性もゼロではありません。
財産隠しは、当初隠そうとした金額以上の財産を失う結果につながりかねない、リスクの高い行為といえます。
3.専門家や裁判官の信頼を失い交渉が困難になる
財産隠しにより、調停や裁判の場において信頼性が失われるリスクもあります。
相手方はもちろん、代理人として交渉を進める弁護士や、中立な立場で判断を下す調停委員・裁判官からの信頼も失うことになるでしょう。
一度「嘘をつく人物」という印象を持たれてしまうと、その後の主張や提出する資料の信憑性まで疑われるリスクがあります。
財産を隠す行為が発覚すれば、たとえ正当な主張をしていたとしても、疑いの目で見られ、交渉が長期化したり、不利な条件で決着したりしてしまう可能性も考えられます。
信頼を失い、自分に不利になるリスクが高いため、財産を隠す行為は避けましょう。
離婚で渡したくない財産を守るための合法的な対策法
離婚時に自分の財産を守るための最善の方法は、渡したくない貯金が夫婦の協力とは無関係な「特有財産」であることを客観的な証拠で証明することです。
「これは親からもらったお金だ」と口頭で伝えるだけでは法的な証明になりません。主張を裏付けるためには、以下のような客観的な証拠が不可欠です。
- 結婚した日付時点での口座残高がわかる取引明細書や通帳
- 遺産分割協議書
- 贈与の事実がわかる振込記録 など
もし渡したくない貯金があるのであれば、その原資が何であるかを証明できる証拠を、離婚を考え始めた段階から意識的に準備・確保しておきましょう。
離婚時に、どこまでが特有財産でどこからが共有財産になるのかお悩みの方は、丸の内ソレイユ法律事務所までご相談ください。
当事務所では、離婚問題の相談を年間900件以上受け付けており、経験豊富な弁護士が最大限に有利な条件での離婚をお手伝いいたします。
女性は60分の初回相談が無料となっております。ぜひお気軽にご相談ください。
離婚時に貯金を渡したくない人が弁護士に相談すべき5つのケース
財産分与の交渉は、法律知識だけでなく手続きに関する専門的な知見や交渉力も求められます。
特に以下のケースに当てはまる場合は、ご自身だけで対応するより早期に弁護士に相談すべきといえます。
- 自分の貯金が「特有財産」であることを証明したい
- 財産分与額や方法について意見が対立している
- 仕事や家事で忙しく財産分与の交渉や手続きに時間を割けない
- 相手が感情的になり、冷静な話し合いができない
- 少しでも有利な条件で離婚・財産分与を成立させたい
財産分与で自分の貯金を渡したくない人は、本章の内容に当てはまるかをチェックした上で、弁護士に相談することも視野に入れましょう。
1.自分の貯金が「特有財産」であることを証明したい
自分の貯金が特有財産と確信していても、それを法的に有効な形で証明するのは想像以上に困難です。
特有財産であることの証明責任は、主張する側にあります(立証責任)。そのため、ご自身で「これは親からもらったお金です」と説明するだけでは、調停や裁判でその主張が認められることはほとんどありません。
特に、結婚前の口座を生活費口座として使い続け、共有財産と特有財産にあたるお金が混在してしまった場合、客観的に切り分けるのは難しくなります。
弁護士は、どのような証拠があれば特有財産であることを証明できるか、法的な観点から分析し、証拠集めをサポートしてくれます。
本来守れるはずだった財産まで分与対象とされてしまうリスクを避けるためにも、弁護士の助言は欠かせないといえるでしょう。
2.財産分与額や方法について意見が対立している
財産分与の対象となる財産の範囲や、不動産・株式などの評価額、具体的な分け方など、夫婦間で意見が対立する点は数多くあります。
特に不動産は、査定業者によって評価額が数百万円単位で異なることも珍しくありません。どの評価額を基準にするか、夫婦間で激しく対立することもあるでしょう。
また、退職金や生命保険のように、計算方法が複雑な財産についても、どの時点を基準にするかで見解が分かれ、交渉が行き詰まる原因となります。
弁護士が代理人として交渉すれば、過去の判例や裁判実務に基づいた客観的な評価額や計算方法を提示し、法的な根拠に基づいた冷静な議論が可能になります。
また、相手方も弁護士を立ててきた場合は、自分だけで有利に交渉を進めるのはほぼ不可能であるため、こちらも弁護士への依頼が必須です。
感情的な対立を避け、双方にとって公平で現実的な解決を目指すなら、法的な交渉のプロである弁護士に相談しましょう。
3.仕事や家事で忙しく財産分与の交渉や手続きに時間を割けない
財産分与の手続きには、想像以上に多くの時間と労力がかかります。
夫婦双方の財産をすべてリストアップし、預貯金、保険、不動産、有価証券など、それぞれの評価額を算出するための資料を収集する必要があります。
また、金融機関や役所での手続きは平日の日中に限られることが多く、仕事を持つ方にとっては大きな負担です。
調停や裁判となれば、申立書の作成や期日への出廷も必要になります。
弁護士は、こうした煩雑な手続きの大部分を代行可能です。
財産調査から資料収集、各種書類の作成、相手方との交渉窓口、裁判所への出廷まで一任できるため、ご自身の精神的・時間的な負担を大幅に軽減し、日常生活を守ることができます。
手続きの漏れやミスを防げれば、経済的な利益を守ることにも繋がるため、できるだけ早めに弁護士に相談しましょう。
4.相手が感情的になり、冷静な話し合いができない
離婚の話し合いでは、相手が感情的になり、論理的な対話が一切成り立たないケースも少なくありません。
特に、相手にDVやモラハラの傾向がある場合、直接交渉することは精神的な苦痛が大きく、身の危険を感じることも考えられます。
このような状況で無理に話し合いを続けると、精神的に追い詰められるだけでなく、相手のペースで不利な条件を飲まされてしまうリスクもあるでしょう。
弁護士に依頼することで、相手との交渉窓口をすべて弁護士に一本化できます。
相手からの直接の電話やメールはすべて弁護士が受け、法的な知識を持って冷静に対応してくれるため、相手と直接顔を合わせる精神的ストレスから解放され、安全な距離を保てるのがメリットです。
5.少しでも有利な条件で離婚・財産分与を成立させたい
財産分与のルールは原則2分の1ですが、個別の事情によっては、その割合を修正できる可能性があります。
例えば、婚姻期間中にご自身の特別な努力や貢献が財産形成に大きく寄与した場合、「寄与分」として2分の1以上の分与を主張できるケースがあります。
しかし、この寄与分を法的に認めてもらうには、非常に高度な主張と立証が必要なため、個人で対応するのは非常に困難です。
離婚問題に精通した弁護士は、現在の状況を詳細に分析し、寄与分のような専門的な主張が可能かどうかを判断します。
また、不動産の評価方法や退職金の計算方法など、専門知識の有無が最終的な受取額に大きく影響する論点においても、過去の判例や実務を踏まえ、最も有利になる解決策を提示してくれるでしょう。
少しでも有利な条件で、離婚や財産分与を進めたいと考えている場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
離婚に関するトラブルにお悩みの方は、丸の内ソレイユ法律事務所へご相談ください。
当事務所は離婚問題に精通した弁護士集団で、年間900件以上のご相談をいただいております。
女性は初回60分の相談が無料となっております。ぜひお気軽にご連絡ください。
離婚で貯金を渡したくない人によくある質問
円満離婚すれば財産分与なしで貯金を渡さずに済みますか?
財産分与をしないことで同意している場合は、貯金を渡さないことも可能です。
財産分与は法律で認められた「権利」であり、「義務」ではありません。したがって、話し合いのうえで「財産分与は行わない」とお互いが合意すれば、財産分与なしで離婚することもできるのです。
ただし、後々のトラブルを避けるため、その合意内容は口約束ではなく、必ず「離婚協議書」などの書面に残しておくことを強くおすすめします。
財産分与の対象になる貯金を離婚時に払わないとどうなりますか?
財産分与の支払いが合意されたにもかかわらず、約束通りに支払わない場合、相手方は法的な手段に訴えることができます。
もし、その合意内容が調停調書や審判書、あるいは「強制執行認諾文言付公正証書」で定められている場合、相手方は裁判を起こすことなく、あなたの給与や預金口座などを差し押さえる「強制執行」を申し立てることが可能です。
財産分与の対象になる貯金を渡さずに済むことはできない、と覚えておきましょう。
隠し口座がバレずに離婚すれば貯金を渡さずにすみますか?
一時的には可能かもしれませんが、口座を隠したことによる長期的なリスクを背負い続けることになります。
離婚後に財産隠しが発覚した場合、相手方は「不法行為」として損害賠償を請求できます。この請求権の時効は、財産隠しの事実を知った時から3年です。
つまり、離婚が成立して2年以上経過していても、隠し口座の存在が発覚すれば、その時点から訴訟を起こされる可能性があるのです。また、裁判所の「調査嘱託」や「文書提出命令」といった強力な手続きによって、離婚前に隠し口座が見つかる可能性も十分に考えられます。
不要なリスクを負うのを避けるために、財産の公開は適切に行いましょう。
離婚前にお金を下ろせば貯金を渡さずにすみますか?
離婚前に多額の預金を引き出しても、財産分与の基準は『別居時点での財産』とされるのが原則です(参照:民法|第762条)。そのため、引き出した金額も“存在する財産”として計算に持ち戻されるため、分与額を減らすことはできません。
また、たとえ別居前の引き出しであっても、別居直前の不自然な多額の出金は、財産を不当に減らす「使い込み」と見なされる可能性があります。その場合、引き出した額も計算に加えられるため、分与額は減らせません。
貯金を引き出しても、その金額分をすでに受け取ったものとみなされるだけです。残りの財産から受け取れる分が減るだけで、何の得にもなりません。
まとめ|大切な貯金を守るためにも信頼できる弁護士に相談しよう
離婚時の財産分与は、夫婦が協力して築いた共有財産を原則2分の1ずつ分けるルールです。よって、結婚生活中に貯めた貯金も、離婚時に夫婦で分ける必要があります。
ただし、財産分与の対象は「共有財産」に限られるため、結婚前の貯金や相続した財産などの「特有財産」は、客観的な証明ができれば分与の対象外です。
なお、「財産隠し」は発覚時に損害賠償請求の対象となり得るため、絶対に避けましょう。
離婚時に貯金を渡したくない場合、まずはご自身の財産状況を冷静に振り返り、特有財産にあたるものがないか、証明する資料は手元にあるかを確認してみてください。
もし、少しでも財産分与に不安や疑問を感じたり、相手との交渉が困難になったりしそうな場合は、一人で抱え込まずに専門家である弁護士に相談しましょう。
離婚時の財産分与に関する手続きや証拠収集でお悩みの方は、離婚問題に豊富な実績を持つ丸の内ソレイユ法律事務所にぜひご相談ください。女性は、初回60分の無料相談もご利用いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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- 離婚の話し合いをするに当たって、直近ですべきことがわかるようになります
- 将来の経済的な生活設計(経済面、子どもの養育面など)を視野に入れた上で、
ご相談者様にとって最適の方法をご提案します。 - ご相談者のお話を丁寧に聞き、「心」の満足を得ていただくことができます









