離婚・男女問題などでお悩みの方は
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養育費の具体的な計算や相手方との交渉に不安な方は、離婚問題に精通した弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所へご相談ください。専門家があなたの状況に合わせた最適な解決策を提示します。
養育費の定義
養育費とは、子どもが社会人として経済的に自立するまでに必要となる、あらゆる費用を指します。親は離婚によって夫婦関係を解消しても、子どもを扶養する義務がなくなるわけではありません。
”養育費は、子どもの面倒を見るのに必要な費用のことをいいます。一般的には、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当てはまります。子どもの面倒を見ている親は、もう一方の親から養育費を受け取ることができます。”
(引用:法務省|養育費って何?)
離婚後の養育費の一般的な相場
養育費の相場を知る上で参考になる、2つの公的な統計データがあります。1つは全体の平均額、もう1つは実際に取り決められた金額の分布です。両方を見ることで、より現実的な相場感がつかめます。
平均額は母子家庭で約5万円前後(厚労省調査)
厚生労働省が実施した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」の結果が公表されています。母子家庭が受け取っている養育費の平均月額は50,485円でした。ただし、この数値は子どもの人数や年齢、親の年収などを問わない全体の平均値です。
(参照:厚生労働省|令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告)
平均額5万円は「多い」と感じる方もいれば、「これでは足りない」と感じる方も少なくありません。例えば、文部科学省の調査では高校卒業までに必要な教育費だけでも公立で数百万円、私立ではさらに多額に上ります。生活費や医療費を含めれば、養育費の平均額だけで十分に賄うのは難しいのが実情です。そのため、実際には親の収入や公的支援、児童扶養手当などと組み合わせて子育て費用を補う必要があります。
実際の支払額で最も多いのは約2万〜4万円(司法統計)
裁判所の司法統計(令和4年)によると、家庭裁判所の調停や審判で養育費の金額が決定したケースでは、月額「2万円を超え4万円以下」の層が全体の約21%を占め、最も多くなっていました。
統計情報の平均値だけを見ると、金額としては高い印象を持つかもしれません。しかし、実際の分布では、比較的低い金額で合意されているケースが多くなっています。
子どもの人数別|離婚後の養育費の相場の目安
養育費の金額は、子どもの人数に比例して増額します。しかし、単純に人数によって金額が倍になるわけではありません。裁判所の「養育費算定表」を基にした、子どもの人数別の相場目安を解説します。
(※以下は、両親がいずれも給与所得者である場合の算定表を基にした目安です)
子ども1人の場合の養育費相場
子どもが1人(子どもが14歳以下)の場合、養育費の相場は比較的幅広くなっています。例えば、支払う側の年収が500万円で、受け取る側の年収が150万円というケースを考えてみましょう。この場合、算定表における養育費の目安は、月額4万円~6万円の範囲です。
子どもが1人のケースでは、教育費や医療費などの負担が集中するため、家計に占める養育費の比重は比較的大きくなります。幼少期は医療費や保育費が中心ですが、小学校以降は教育費が急激に増加し、中学・高校では塾代や進学費用が大きな負担となります。養育費の取り決めにおいては「今は小さいから安くて良い」ではなく、将来的な費用の増加を前提に金額を設定し、必要に応じて見直す取り決めをしておくことが安心です。
子ども2人の場合の養育費相場
子どもが2人になると、養育費の総額は増加します。先ほどと同じ年収条件(支払う側500万円、受け取る側150万円)で、子どもが2人(両方14歳以下)の場合を想定します。算定表における目安は、月額6万円~8万円となります。総額は増えますが、1人あたりの負担額は少し減る計算です。
子どもが2人いる場合、教育費・生活費が同時並行でかかるため、家庭の経済的な負担は一層大きくなります。ただし、算定表の基準では「食費や住居費など、子どもが増えてもまとめて賄える費用」が考慮されるため、1人あたりに単純換算した場合の養育費は下がるのが一般的です。
>関連記事:子ども2人の養育費の相場はいくら?年収別の目安と計算方法を解説
子ども3人以上の場合の養育費相場
子どもが3人の場合、養育費はさらに増額されます。同様の年収条件で子どもが3人(全員14歳以下)の場合、算定表の目安は月額8万円~10万円です。
子どもが3人以上の家庭では、教育費や生活費が一気に膨らむ一方で、養育費を支払う側の収入に限界があるため、1人あたりの金額はさらに抑えられる傾向があります。
また、裁判所の算定表は3人までしか用意されていないため、4人以上の場合は個別の事情を基にした試算が必要です。
年収別|離婚後の養育費の相場早見表
養育費の金額に最も大きく影響するのが、支払う側の年収です。子どもの状況を特定の条件に固定し、支払い側の年収別に養育費相場の早見表を紹介します。
【早見表の前提条件】
- 子どもは1人(0歳~14歳)
- 受け取る側(権利者)の年収は150万円(給与所得者)
- 支払う側(義務者)も給与所得者
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支払う側の年収 |
月額養育費の目安 |
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300〜400万円 |
2万〜6万円 |
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500〜700万円 |
4万〜10万円 |
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800〜1000万円 |
8万〜14万円 |
年収300〜400万円の場合
支払う側の年収が300万円台〜400万円台の場合、養育費の相場は月額2万円〜6万円が目安となります。
年収500〜700万円の場合
支払う側の年収が500万円台〜700万円台の場合、養育費の相場は月額4万円〜10万円が目安です。
年収800〜1000万円の場合
支払う側の年収が800万円台〜1000万円台の場合、養育費の相場は月額8万円〜14万円が目安になります。
離婚後の養育費が相場よりも高くなるケースとは?
裁判所の算定表が示す相場は、あくまで一般的な公立学校に通う子どもを想定しています。そのため、特別な事情がある場合は、相場よりも高い金額で合意することもあり得ます。
相場を超えて養育費が上乗せされやすいケース
- 私立学校への進学
公立に比べて学費・施設費・寄付金などがかかるため、合意次第で相場より高額になる。 - 大学等高等教育機関への進学
高等教育機関に進学した場合は、公立であっても学費の負担があるため、学費分が上乗せされることがある。 - 持病や障害による医療費の負担
定期的な通院・薬代・リハビリ費用などが発生する場合、算定表に含まれていない部分を加算できる。 - 習い事・スポーツ活動の継続
子どもが小さい頃から継続してきた音楽・スポーツなどの活動を続けるために、実費を一部養育費に上乗せするケースもある。ただし、合意がある場合に限られる。 - 生活環境の維持を優先する合意
離婚前と同じ地域・生活水準を維持することが子どもの利益になると双方で認めた場合、相場より高く設定されることがある。
相場よりも養育費が高くなる代表的なケースは、子どもが私立の学校に通っている場合です。双方の親が私立進学に合意していれば、標準的な教育費を超える部分を養育費に上乗せして計算します。
相場を元にした離婚後の養育費の計算方法
養育費の相場は、裁判所の算定表を基に、いくつかのステップを踏んで計算します。ご自身の状況に当てはめながら、適正額を算出してみましょう。
ステップ1:父母双方の年収を把握する
まず、ご自身の年収と相手の年収を正確に把握する必要があります。給与所得者の場合は源泉徴収票の「支払金額」、自営業者の場合は確定申告書の「課税される所得金額」が基本的な算定資料です。
主な確認資料は以下の通りです:
- 給与所得者:源泉徴収票の「支払金額」
- 自営業者:確定申告書の「課税される所得金額」
- その他収入:不動産収入や副業収入も加味される場合あり
注意点として、給与の場合は「手取り」ではなく「総収入額(税引前)」をベースに算定します。
ステップ2:養育費算定表を確認する
次に、裁判所のウェブサイトで公開されている公式の「養育費算定表」を用意してください。PDF形式で誰でもダウンロードできます。
(参考:裁判所|養育費・婚姻費用算定表)
算定表は、父母双方の収入を基準に「標準的な生活費・教育費」を反映した相場を一覧化しています。PDFで印刷して手元に置くと、後のステップで確認がしやすくなります。
>関連記事:養育費算定表の見方を弁護士が徹底解説|計算例・金額が変動するケースも紹介
ステップ3:子どもの人数と年齢を当てはめる
算定表の中から、ご自身の子どもの人数と年齢区分に合った表を選びましょう。例えば「子1人表(0歳~14歳)」などの人数と年齢に応じた表です。表の縦軸と横軸から双方の年収を探し、交差する部分の金額を確認します。
算定表には、子どもの人数と年齢区分ごとに複数の表が用意されています。
算定表の見方
- 縦軸に「受け取る側(権利者)」の年収を確認
- 横軸に「支払う側(義務者)」の年収を確認
- 交差する部分に、月額養育費の目安が表示されています
ステップ4:特別な事情を加味する
算定表で確認した金額は、標準的な生活費や教育費を想定したものです。もし私立の学費や高額な医療費など特別な事情がある場合は、算定表の金額をベースに、上乗せする金額を話し合いで決定します。
例えば、子どもが私立学校に進学している場合や、子どもに持病や障害があり、高額な医療費が継続的に発生する場合などが代表的な条件です。特別な事情も考慮して決定します。
ステップ5:シミュレーションツールで確認する
弁護士事務所などがウェブサイトで提供している、養育費の自動計算ツールも便利です。年収や子どもの情報を入力するだけで、算定表に基づいた目安額を手軽に確認できます。検算として利用するのもよいでしょう。

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所では、簡単に養育費のシミュレーションができるページを公開しています。親の年収や子どもの人数や年齢区分など、条件を入力するだけで養育費の計算が可能です。
(参考:弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所|養育費シミュレーション)
相場を元に養育費が決まらない場合は弁護士事務所に相談しよう
「相手が話し合いに応じてくれない」「提示された金額が相場とあまりに違う」など、当事者だけで養育費を決めるのが難しいケースは少なくありません。
こうした場合、単に算定表の数値を当てはめるだけでは解決できないこともあります。例えば、子どもの私立進学や特別な医療費の負担といった「相場を超える事情」がある場合や、双方の収入が不安定で将来の見通しが立ちにくい場合です。
弁護士は客観的かつ専門家の目線で、状況にあった対応を依頼できます。
1.相場に基づいた適正な養育費を算出できる
弁護士は収入資料や家計状況を法的な観点から精査し、算定表に基づいた妥当な養育費を提示してくれます。これにより「感情論ではなく数字で説明」できるため、交渉の土台が明確になり、相手も納得しやすくなります。
特に「特別な事情(私立学費や医療費など)」がある場合は、上乗せが認められるかどうかを専門的に判断してもらえるのもメリットです。
2.公正証書や調停の手続きをサポートしてもらえる
養育費の話し合いで合意した内容を、法的に有効な「公正証書」として作成する際の手続きを代行してもらえます。交渉がまとまらない場合の「調停」の申し立てや、裁判所での主張立証をサポートします。
また、話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での「調停」や「審判」への移行もスムーズに進められます。弁護士は必要書類の準備から主張立証の組み立てまで代行してくれるため、精神的な負担を大幅に軽減できます。
3.未払いトラブルへの対応も任せられる
離婚後に養育費の支払いが滞るトラブルは、残念ながら頻繁に発生します。弁護士に依頼しておけば、万が一支払いが止まった場合でも、給与の差し押さえといった「強制執行」の手続きを迅速に進めることが可能です。
>関連記事:養育費が未払いになったときの解決策|受け取る側が知っておくべきこと
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所では、離婚後のアフターフォローにも力を入れており、万が一のトラブル時にも迅速に対応します。
離婚後の養育費の相場に関するよくある質問
養育費の金額は途中で変更できる?
変更できます。 離婚後にどちらかの収入が大幅に減少・増加した場合や、子どもが進学して教育費が増えた場合など、「事情の変更」と認められる事実があれば、養育費の増額または減額を相手に請求できます。
実際の変更は家庭裁判所に調停を申し立てて行うのが一般的で、一方的に支払い額を減らすことは認められません。裁判所は収入の変動が一時的か恒常的かを重視し、教育費や医療費などの特別な支出が継続的に必要かどうかも判断材料となります。
未婚で出産した場合の養育費の相場は?
婚姻関係になくても、相手の男性が子どもを「認知」していれば、法律上の親子関係が成立します。そのため、離婚した場合と全く同じ基準(養育費算定表)で養育費を請求することが可能です。婚姻関係の有無によって、養育費の相場が変わることはありません。
ただし、認知がされていない場合には養育費を請求できないため、まずは家庭裁判所で「認知調停」を行う必要があります。認知が確定した後は、収入証明書や算定表を基に養育費を算出し、協議や調停で取り決める流れとなります。
相場よりも少ない金額で合意してしまったら?
一度合意した養育費の金額でも、不相当に低い場合や、合意後に予期せぬ事情の変更(子どもの病気など)があった場合は、増額を求める調停を申し立てられます。ただし、最初の合意内容が尊重される傾向にあるため、最初の取り決めが非常に重要です。
例えば、養育費を月1万円程度に設定してしまった場合でも、算定表に照らして著しく低ければ、家庭裁判所は「子どもの利益を害する」と判断して増額を認める可能性があります。取り決め時には弁護士に相談し、将来の生活費増加も見据えた現実的な金額を設定することが大切です。
まとめ|離婚後の養育費は相場を参考にして適正な金額を決めよう
離婚後の養育費の相場は、最終的には裁判所の「養育費算定表」を基準に決めていきましょう。統計データも参考になりますが、双方の年収と子どもの状況に応じて決めるのが最も確実な方法です。
養育費の相場を知ることは、不当に低い金額で合意してしまうリスクや、逆に過大な要求をして交渉をこじらせる事態を防ぐために不可欠です。算定表でご自身の目安を把握し、それを土台として相手との話し合いを進めましょう。
もし、ご自身での計算や相手との交渉に少しでも不安があれば、専門家である弁護士の力を借りるのが賢明です。弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所が、あなたとお子さんの輝かしい未来のために、適正な養育費の実現を最後までサポートします。
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