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モラハラは離婚原因として認められる?民法770条のポイントを解説
モラハラは、民法770条に定められた法定離婚事由として、認められる可能性がある離婚原因の一つです。同条第1項第5号では「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」を離婚事由として規定しており、モラハラがこれに該当するかが判断されます。民法770条第1項で定められている離婚事由は、以下の5つです。(なお、第4号は令和8年4月1日に施行される民法においては削除されます。)
| 離婚事由 | 内容 |
|---|---|
| 第1号 | 配偶者に不貞な行為があったとき |
| 第2号 | 配偶者から悪意で遺棄されたとき |
| 第3号 | 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき |
| 第4号 | 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき |
| 第5号 | その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき |
モラハラは主に第5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」として判断されるのが基本です。裁判所は、配偶者の言動が精神的苦痛を与え、夫婦関係が修復不可能なほど破綻しているかを総合的に評価します。
ただし、単に「性格が合わない」「価値観が違う」といった程度では認められません。継続的な人格否定、過度な束縛、経済的支配、社会的孤立の強要など、客観的に見て精神的苦痛が明白であることが必要です。
モラハラによる離婚が認められやすいケース

モラハラを理由とした離婚が認められるには、精神的苦痛の存在を客観的に証明することが重要です。裁判所は具体的な証拠や状況を総合的に判断して、婚姻関係の破綻を認定します。
1.「精神的苦痛」が明確に認定される場合
精神的苦痛が客観的に認められる場合、モラハラによる離婚は認められやすくなります。裁判所は、被害者が受けた精神的ダメージの程度を重視するためです。
具体的には、日常的な人格否定や侮辱的な発言の記録、配偶者の支配的な言動による自由の制限、経済的な支配や生活費の制限などが該当します。「お前は何もできない」「誰もお前なんか相手にしない」といった継続的な人格否定の発言は、精神的苦痛として認定されやすい典型例です。
メールやLINEでの侮辱的なメッセージ、録音による暴言の記録などがあれば、精神的苦痛の証拠として有効となります。日記やメモに日時と具体的な内容を記録しておくことも重要です。
2.周囲の証言や第三者の記録がある場合
家族や友人、職場の同僚などの証言があると、モラハラの事実が客観的に裏付けられるため、離婚が認められやすくなります。被害者本人の主張だけでは主観的と見なされる可能性がありますが、第三者の証言により信憑性が高まるためです。
以下のような証言や記録が有効となります。
- 友人や家族に相談した際の記録や証言
- 配偶者の暴言を聞いた第三者の証言
- 職場の同僚や上司による観察記録
- カウンセラーや医師への相談記録
- 警察への相談記録や被害届
特に、医療機関やカウンセリング機関の記録は客観性が高く、裁判所でも重視されます。精神的な不調を感じたら、早めに専門家に相談し、記録を残しておくことが大切です。
3.モラハラ行為が長期間・継続的に行われている場合
モラハラが長期間にわたり継続的に行われている場合、婚姻関係の破綻が明確と判断されやすくなります。一時的な言い争いや喧嘩ではなく、日常的に繰り返される精神的な攻撃であることが重要です。
数年間にわたる継続的な人格否定、日常的に繰り返される侮辱や罵倒、長期間の無視や冷淡な態度などが該当します。継続期間が長いほど、被害者が受けた精神的ダメージが大きいと評価されるのが一般的です。
証拠として、継続性を示すことで、モラハラの深刻さを裁判所に伝えられます。日記やメモに日付と内容を記録しておくこと、メールやLINEの履歴を保存しておくこと、録音データを日付ごとに整理しておくことが有効です。
4.被害者が心身の不調をきたしている場合
モラハラにより被害者が心身の不調をきたしている場合、精神的苦痛が深刻であると認定されやすくなります。具体的な健康被害が発生していることで、モラハラの影響が明確に示されるためです。
うつ病や適応障害などの診断を受けている場合、不眠や食欲不振などの身体症状が出ている場合、心療内科やカウンセリングに通院している場合などが該当します。医師の診断書や通院記録は、モラハラによる被害を証明する強力な証拠の一つです。
診断書には、症状の内容だけでなく、原因が配偶者との関係にあることを記載してもらいましょう。継続的な通院記録があれば、被害の深刻さがより明確に示されます。
モラハラによる離婚が認められにくいケース

モラハラを理由とした離婚が認められるには、客観的な証拠と明確な精神的苦痛の立証が重要です。証拠が不十分な場合や、モラハラと断定できない程度の言動である場合は、離婚が認められにくくなります。
1.モラハラの言動や状況を客観的に証明する証拠がない場合
モラハラの事実を証明する客観的な証拠がない場合、離婚は認められにくいケースとなります。裁判所は被害者の主張だけでなく、具体的な証拠に基づいて判断するためです。主に以下のようなケースでは、証拠がないと判断されてしまう可能性があります。
- 口頭での暴言や侮辱のみで、録音やメモがない
- 第三者の証言が得られない
- 医療機関への相談記録がない
- 日記やメモなど、被害の記録が一切ない
「配偶者から毎日暴言を浴びせられている」と主張しても、具体的な証拠がなければ、相手方が否定した場合に立証が困難になります。モラハラは密室で行われることが多いため、意識的に証拠を残すことが重要です。
2.単なる夫婦喧嘩など、モラハラと断定できない程度の場合
単なる夫婦喧嘩や一時的な言い争いは、モラハラとは認定されにくい傾向にあります。夫婦間で意見の対立や言い争いが発生すること自体は、ある程度は通常の範囲と見なされるためです。以下のような内容は、モラハラと認定されにくい言動の例となります。
| 言動の内容 | 認定されにくい理由 |
|---|---|
| 一度限りの強い口調での叱責 | 継続性がなく、一時的な感情の爆発と見なされる |
| 喧嘩の際の言い過ぎた発言 | 双方に非があり、モラハラとは言えない |
| 価値観の違いによる意見の対立 | 夫婦間の通常の意見交換の範囲内 |
| 生活習慣への注意や指摘 | 建設的な意図があると判断される可能性がある |
ただし、これらの言動でも継続的に繰り返され、被害者が深刻な精神的苦痛を受けている場合、モラハラと認定される可能性があります。重要なのは、言動の内容、頻度、継続期間、被害者への影響を総合的に判断することです。
モラハラ離婚で請求できるお金は?

モラハラを理由に離婚する場合、慰謝料だけでなく、財産分与、養育費、年金分割など、複数の金銭的な請求が可能です。それぞれの請求には法的な根拠と条件があり、適切に主張することで経済的な保障を得られます。
受けた精神的苦痛に対して「慰謝料」を請求できるか
モラハラによる精神的苦痛に対して、慰謝料を請求することは可能ですが、裁判所が請求を認めることは非常に稀です。
モラハラの慰謝料の金額は、モラハラの期間、言動の悪質性、被害者の精神的ダメージの程度、婚姻期間の長さなどを総合的に考慮して決定されますので、以下のような要素がある場合には、慰謝料が認められることもあり得ます。
- モラハラが長期間(数年以上)継続している
- 被害者がうつ病などの診断を受けている
- 暴言の内容が極めて悪質である
- 子どもの前でモラハラが行われていた
慰謝料を請求するには、モラハラの事実を証明する証拠が不可欠です。録音データ、メールやLINEの記録、医師の診断書、第三者の証言などを準備しておくことが重要になります。
婚姻期間中に築いた財産に対して「財産分与」を受け取れるか
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を離婚時に分配する制度です。モラハラの有無にかかわらず、離婚する夫婦は財産分与を請求する権利があります。財産分与の対象となる主な財産は以下のとおりです。
| 財産の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 預貯金 | 銀行口座、郵便貯金 |
| 不動産 | マイホーム、土地、投資用物件 |
| 有価証券 | 株式、投資信託、国債 |
| 退職金 | 婚姻期間に対応する部分 |
| 自動車 | 婚姻期間中に購入した車両 |
| 保険の解約返戻金 | 婚姻期間中に積み立てられた部分 |
財産分与の割合は、原則として2分の1ずつが基本です。特別な事情として、モラハラにより被害者が就労できなかった期間がある場合、被害者に有利な割合で分与される可能性は考えられますが、そのような判断がなされる場合は極めて限定的です。
相手方が財産を隠している疑いがある場合は、弁護士を通じて財産調査を行うことが重要です。預金口座の照会、不動産の登記情報、退職金の見込額などを正確に把握することで、適切な財産分与を実現できます。
出典:法務省|財産分与
子どもがいる場合は「養育費」を請求できるか
子どもがいる場合、親権者となった側は、相手方に対して養育費を請求できます。養育費は、子どもが経済的・社会的に自立するまでの生活費や教育費を分担するためのものです。
養育費の金額は、裁判所が公表している「養育費算定表」を基準に、両親の収入、子どもの人数、子どもの年齢などを考慮して算定されます。養育費の請求に関する主なポイントは以下のとおりです。
- 養育費は子どもの権利であり、親権者の都合で放棄できない
- 一度決まった養育費も、事情の変更があれば増額・減額の請求が可能
- 相手方が支払を怠った場合、強制執行による回収が可能
- 養育費は原則として20歳まで
モラハラにより被害者が精神的に追い詰められ、養育費の請求を諦めてしまうケースもありますが、養育費は子どもの権利です。適切に請求し、子どもの生活を守ることが重要になります。
出典:裁判所|平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
厚生年金の保険料納付実績に対して「年金分割」を受け取れるか
年金分割は、婚姻期間中に納付した厚生年金の保険料納付実績を分割する制度です。将来受け取る年金額を公平に分配するための仕組みになります。
年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。合意分割は、夫婦の合意または裁判所の決定により、分割割合(最大50%)を決めて分割する方法です。3号分割は、2008年4月以降の第3号被保険者(専業主婦・主夫)期間について、請求により自動的に2分の1ずつ分割されます。
年金分割の主なポイントは以下のとおりです。
- 離婚後2年以内に請求する必要がある
- 婚姻期間中の厚生年金の納付実績が対象
- 国民年金のみの場合は対象外
- 将来受け取る年金額が増える可能性がある
年金分割の手続きは、年金事務所で行います。離婚時に忘れがちな手続きですが、将来の生活設計に大きく影響するため、必ず請求しておくのが賢明です。
モラハラを原因に離婚をする際の手続きの流れ

モラハラを理由に離婚する場合、安全かつ確実に手続きを進めるために、適切なステップを踏むことが重要です。別居による安全確保、離婚条件の整理、そして段階的な交渉という流れで進めることで、有利な条件での離婚実現を目指せます。
ステップ1|安全確保のために別居をする
モラハラ離婚を進める最初のステップは、安全を確保するための別居です。配偶者と同居したまま離婚の話を進めると、モラハラがエスカレートする危険性があります。別居する際の主な注意点は以下のとおりです。
- 事前に転居先を確保しておく
- 重要な書類(戸籍謄本、通帳、印鑑など)を持ち出す
- 別居の際は配偶者に知らせずに転居することも検討する
- 転居先の住所を相手に知らせる必要はない
- 別居後は一人で相手と接触しない
別居により、冷静に離婚の準備を進める時間と心理的な余裕が生まれます。配偶者からの精神的な圧力から解放されることで、適切な判断ができるようになるでしょう。別居中は婚姻費用(生活費)を請求できるため、経済的な不安がある場合は、弁護士に相談して婚姻費用の請求手続きを進めることが重要です。
ステップ2|離婚条件を整理して要求を明確化する
別居後は、離婚条件を整理し、相手方への要求を明確にすることが必要です。感情的にならず、冷静に自分の権利と相手方への請求内容を整理します。整理すべき主な離婚条件は以下のとおりです。
| 項目 | 検討すべき内容 |
|---|---|
| 慰謝料 | モラハラの証拠をもとに請求額を算定 |
| 財産分与 | 夫婦の共有財産を洗い出し、分配割合を決定 |
| 養育費 | 子どもの人数と年齢、双方の収入をもとに算定 |
| 親権 | 子どもの親権者をどちらにするか |
| 面会交流 | 子どもと非親権者との面会方法 |
| 年金分割 | 婚姻期間中の厚生年金の分割 |
これらの条件を明確にすることで、交渉の際に具体的な主張ができるようになります。弁護士に相談することで、法的に妥当な条件を設定し、交渉を有利に進めましょう。
ステップ3|離婚の交渉(協議・調停・裁判)をする
離婚条件が整理できたら、相手方との交渉を開始します。離婚の交渉には、協議離婚→調停離婚→裁判離婚の3段階があり、以下のように各手続きを段階的に進めるのが一般的です。
| 手続き | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 協議離婚 | 夫婦間の話し合いで合意 | 数週間〜数ヶ月 |
| 調停離婚 | 家庭裁判所の調停委員を介した話し合い | 6ヶ月〜1年 |
| 裁判離婚 | 裁判官が判決により離婚を認める | 1年〜2年以上 |
協議離婚が成立すれば最も早く、費用も抑えられます。しかし、モラハラのケースでは相手方が離婚に応じないことも多く、調停や裁判に進むことも珍しくありません。
調停では、調停委員が双方の意見を聞き、合意形成をサポートします。調停でも合意に至らない場合は、裁判で離婚を求めることも検討しましょう。裁判では、モラハラの証拠や別居期間の長さ等に基づいて離婚の可否が判断されます。
安全にモラハラ離婚を進めるうえで大切な4つの準備
モラハラ離婚を安全かつ有利に進めるには、事前の準備が不可欠です。証拠の収集、身の安全の確保、経済的な基盤の整備、そして専門家への早期相談が重要なポイントになります。
1.必要な証拠を集める
モラハラ離婚を成立させるには、客観的な証拠を集めることが最も重要です。証拠がなければ、裁判所にモラハラの事実を認めてもらうことが難しくなります。有効な証拠の種類と収集方法は以下のとおりです。
| 証拠の種類 | 具体的な収集方法 |
|---|---|
| 録音データ | スマートフォンやICレコーダーで暴言を録音 |
| メール・LINE | 侮辱的なメッセージのスクリーンショット保存 |
| 日記・メモ | 日時と具体的な言動を詳細に記録 |
| 医師の診断書 | 心療内科やカウンセリングの受診記録 |
| 第三者の証言 | 家族や友人に相談した記録 |
| 警察への相談記録 | 被害届や相談記録の写し |
証拠を集める際は、日付と具体的な状況を明確に記録することが重要です。「いつ、どこで、どのような言動があったか」を詳細に記録しておくと、裁判所での信憑性が高まります。配偶者との会話を録音する際は、自分が会話の当事者である場合、相手の同意なく録音しても違法ではありません(秘密録音の適法性)。
ただし、自然な会話の中で録音することが望ましく、わざと挑発するような行為は避けましょう。なお、第三者間の会話を盗聴する行為は違法となるため注意が必要です。
2.身の安全を確保する(避難・別居など)
モラハラ離婚を進める際は、身の安全を最優先に考える必要があります。離婚を切り出すことで、モラハラがエスカレートする危険性があるためです。以下のような具体的な方法で安全を確保しましょう。
- 信頼できる家族や友人の家に避難する
- 公的なシェルターや民間の支援施設を利用する
- 別居先の住所を相手に知らせない
- 配偶者からの接触を避けるため、連絡は弁護士を通して行う
- 必要に応じて保護命令の申立てを検討する
別居する際は、事前に周到な準備をしておくことが重要です。転居先の確保、重要書類の持ち出し、子どもの転校手続きなどを計画的に進めましょう。公的な支援として、各自治体には配偶者暴力相談支援センターが設置されており、心理的DVやモラハラに関する相談を受け付けています。危険度が高いと判断された場合には、一時保護施設の利用が検討されることもある支援制度です。具体的な対応内容は自治体や事案の状況によって異なるため、身の危険を感じた場合はまずは各自治体へ相談をしましょう。
3.当面の生活費と住居を確保する
離婚後の生活を安定させるため、当面の生活費と住居を確保しておくことが重要です。経済的な不安があると、不利な条件で離婚に応じてしまう可能性があります。生活費と住居を確保するための方法は以下のとおりです。
- 別居中の婚姻費用を請求する
- 親族や友人に経済的な支援を依頼する
- 公的な支援制度(生活保護、児童扶養手当など)を調べる
- パートやアルバイトで収入を確保する
- 離婚後の住居を事前に確保する
婚姻費用は、別居中であっても配偶者に請求できる権利です。収入の少ない側は、多い側に対して生活費の分担を求めることができます。婚姻費用の金額は、裁判所の算定表を基準に決定される仕組みです。
公的な支援制度として、児童扶養手当、住宅手当、生活保護などがあります。自治体の窓口や社会福祉協議会に相談することで、利用可能な制度を案内してもらいましょう。
4.早めに弁護士に相談する
モラハラ離婚を安全かつ有利に進めるには、早めに弁護士に相談することが重要です。法的な知識と経験を持つ弁護士のサポートにより、適切な準備と戦略的な対応が可能になります。弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 証拠収集のアドバイス | 効果的な証拠の種類と収集方法を指導してもらえる |
| 安全な別居の支援 | 別居のタイミングや方法を具体的にアドバイス |
| 相手方との交渉代行 | 配偶者と直接やり取りせずに済む |
| 法的手続きのサポート | 調停や裁判の手続きを代行してもらえる |
| 精神的な負担の軽減 | 専門家に任せることで心理的な安心感が得られる |
弁護士に依頼することで、相手方との直接のやり取りを避けられるため、精神的な負担が大きく軽減されます。モラハラの被害者は、配偶者との接触自体がストレスになるため、弁護士を介した交渉は非常に有効です。
「弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所」では、モラハラ離婚の豊富な解決実績があります。証拠収集から別居の支援、調停や裁判の対応まで、トータルでサポートいたします。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
モラハラを原因に離婚をする際の3つの注意点

モラハラ離婚を進める際は、タイミングや相手の反応、手続きの長期化など、いくつかの重要な注意点があります。これらを理解しておくことで、より安全かつ確実に離婚を実現できます。
1.離婚を切り出すタイミングに注意する
離婚を切り出すタイミングは、モラハラ離婚の成否に大きく影響します。準備が不十分な状態で離婚を切り出すと、相手方が警戒して証拠の隠滅を図ったり、モラハラがエスカレートしたりする危険性があるためです。以下の準備は、離婚を切り出す前に整えておきましょう。
- 十分な証拠を収集し終えている
- 別居先が確保できている
- 経済的な目処が立っている
- 弁護士に相談し、戦略が固まっている
離婚を切り出すタイミングとしては、別居の準備が完全に整ってから、または別居後に弁護士を通じて伝える方法が安全です。直接対面で伝えると、感情的になって危険な状況になる可能性があります。相手方が暴力的になる恐れがある場合は、直接会わずに書面や弁護士を通じて離婚の意思を伝えることをおすすめします。身の安全を最優先に考えましょう。
2.相手の一時的な態度に惑わされないようにする
モラハラの加害者は、離婚を切り出されると一時的に態度を改めることがあります。「これから変わる」「もう二度としない」といった約束をして、離婚を思いとどまらせようとするのです。
しかし、こうした変化は一時的なものであることが多く、離婚を取り下げると再びモラハラが始まる可能性も否定できません。モラハラの加害者によく見られる行動パターンは以下のとおりです。
| 行動パターン | 目的 |
|---|---|
| 謝罪と反省の態度 | 離婚を回避するための演技 |
| 優しい態度や贈り物 | 被害者の心を揺さぶる |
| カウンセリングに通う約束 | 真剣に変わろうとしているように見せかける |
| 泣いて懇願する | 同情を引いて離婚を思いとどまらせる |
モラハラは、加害者の性格や思考パターンに深く根ざしているため、短期間で根本的に変わることは極めて困難です。一時的な態度の変化に惑わされず、冷静に判断することが重要になります。弁護士に相談しながら、客観的な視点で状況を評価するようにしましょう。過去のモラハラの記録や証拠を見返すことで、冷静な判断を保てます。
3.長期戦になることも覚悟しておく
モラハラ離婚は、相手方が離婚に応じない場合、長期化することも珍しくありません。調停や裁判に進むと、1年以上かかるケースもあります。長期化する主な理由は以下のとおりです。
- 相手方がモラハラの事実を否定する
- 財産分与や親権で争いが生じる
- 証拠の収集や提出に時間がかかる
- 調停や裁判の期日が数ヶ月先になる
長期化に備えて、精神的・経済的な準備をしておくことが重要です。カウンセリングやサポートグループを活用して、精神的な健康を保つことを心がけましょう。
経済的には、婚姻費用の請求や公的支援の活用により、生活の安定を図ることが大切です。弁護士費用についても、分割払いや後払いを相談してみるとよいでしょう。長期戦になっても、最終的に安全で自由な生活を取り戻すためと考え、諦めずに手続きを進めることが重要です。弁護士のサポートを受けながら、一歩ずつ前に進みましょう。
夫のモラハラで離婚を決意し解決金を獲得した事例
実際に弊所にご相談いただき解決した事例を紹介します。
ご依頼の経緯
夫のモラルハラスメントが原因で別居せざるを得ない状況におかれたため、夫からの離婚請求は信義則に反し認められないと主張し、離婚自体を争った。裁判所から離婚はやむを得ないとの心証開示を受け、解決金額によっては離婚に応じることとしたため、最大の争点は扶養的財産分与の金額であった。
当事務所の対応
これまでの経緯や夫の言動を詳細に記載した準備書面の作成。録音テープやメールなどの膨大な証拠の整理と証拠化。依頼者への説得。
【結果】
主張書面を読んだ裁判所が、これまでの経緯に理解を示し、裁判所が解決金として当初提案した金額以上の金額を相手方に再度提案してくれた。その後の交渉により、結果として、裁判所が当初提案した金額の倍以上の金額で和解が成立した。
解決事例:夫のモラハラで離婚を決意、結果提示額の倍の解決金を獲得した事例
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モラハラ離婚に関してよくある質問
証拠が全くない場合、モラハラ離婚は難しい?
証拠が全くない場合でも、モラハラ離婚が不可能というわけではありませんが、立証が困難になるのは事実です。裁判所は客観的な証拠を重視するため、証拠がないと相手方が否定した際に立証が難しくなります。証拠がない場合の対応策は以下のとおりです。
- 今からでも証拠収集を始める(録音、日記の記録など)
- 過去に相談した機関の記録を取得する
- 家族や友人に証言を依頼する
- 医療機関で診断書を取得する
- 弁護士に相談して証拠収集の戦略を立てる
完全な証拠がなくても、複数の状況証拠を組み合わせることで、モラハラの事実を立証できる場合もあります。諦めずに弁護士に相談し、可能な証拠収集方法を検討することが重要です。
子どもへのモラハラも離婚理由になる?
配偶者が子どもに対してモラハラを行っている場合も、離婚理由として認められます。子どもの福祉を害する行為は、婚姻を継続し難い重大な事由に該当するためです。子どもへのモラハラの具体例は以下のとおりです。
- 子どもに対する継続的な人格否定や侮辱
- 過度な叱責や恐怖を与える言動
- 子どもの前で配偶者への暴言を繰り返す
- 子どもを利用して配偶者を攻撃する
- 子どもの意思を無視した支配的な教育
子どもへのモラハラは、児童虐待に該当する可能性もあります。子どもの安全と健全な成長を守るために、早急に対処することが必要です。児童相談所や学校、医療機関などに相談し、記録を残しておくことが重要になります。
離婚を切り出す最適なタイミングはいつがいい?
離婚を切り出す最適なタイミングは、十分な準備が整ってからです。具体的には、証拠の収集が完了し、別居先が確保でき、経済的な目処が立ち、弁護士との戦略が固まった段階が理想的です。離婚を切り出すタイミングは以下を判断の基準にしましょう。
| 準備項目 | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 証拠収集 | 録音、メール、診断書など十分な証拠が揃っているか |
| 別居先 | 安全な転居先が確保できているか |
| 経済的準備 | 当面の生活費の目処が立っているか |
| 弁護士相談 | 法的な戦略が固まっているか |
準備が整っていない段階で離婚を切り出すと、相手方が警戒して証拠隠滅を図ったり、モラハラがエスカレートしたりする危険性があります。焦らず、確実に準備を整えてから行動することが重要です。弁護士に相談しながら、最適なタイミングを見極めることをおすすめします。状況によっては、別居後に弁護士を通じて離婚の意思を伝えるのも安全です。
離婚後の生活で利用できる公的支援はある?
離婚後の生活を支援する公的制度はいくつか用意されています。経済的な不安を軽減するため、積極的に活用していきましょう。主な公的支援制度は以下のとおりです。
| 支援制度 | 内容 | 対象者 |
|---|---|---|
| 児童扶養手当 | ひとり親家庭への経済的支援 | 18歳以下の子どもを養育しているひとり親 |
| 児童手当 | 子育て世帯への経済的支援 | 中学生以下の子どもを養育している世帯 |
| ひとり親家庭医療費助成 | 医療費の自己負担分を助成 | ひとり親家庭の親と子ども |
| 住宅手当 | 家賃の一部を補助 | 収入が一定基準以下のひとり親家庭 |
| 生活保護 | 最低限度の生活を保障 | 収入が最低生活費に満たない世帯 |
これらの制度は、自治体によって内容や条件が異なる場合があるため、お住まいの市区町村の福祉窓口に相談しましょう。申請手続きや必要書類についても丁寧に案内してもらえます。また、ハローワークでは、公的支援の一つとして、ひとり親家庭向けの就労支援プログラムを実施しています。職業訓練や資格取得の支援を受けることで、経済的な自立を目指せます。
まとめ|モラハラ離婚は一人で悩まず、弁護士に相談して適切に準備しよう
モラハラは、民法770条の「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因になり得ます。ただし、精神的苦痛を客観的に証明する証拠が不可欠です。録音データ、メールやLINEの記録、医師の診断書、第三者の証言など、複数の証拠を準備することで、離婚の実現可能性が高まります。
モラハラ離婚では、慰謝料だけでなく、財産分与、養育費、年金分割など、複数の金銭的な請求が可能です。適切に主張することで、離婚後の生活基盤を確保できます。
離婚を進める際は、安全確保のための別居、離婚条件の整理、段階的な交渉という流れで進めることが重要です。離婚を切り出すタイミングや相手の一時的な態度の変化、手続きの長期化などに注意しながら、冷静に対応しましょう。
モラハラ離婚は、一人で抱え込まず、早めに弁護士に相談することが成功への近道です。証拠収集のアドバイス、安全な別居の支援、相手方との交渉代行など、専門家のサポートにより、精神的な負担を軽減しながら有利な条件での離婚を実現できます。
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- 離婚の話し合いをするに当たって、直近ですべきことがわかるようになります
- 将来の経済的な生活設計(経済面、子どもの養育面など)を視野に入れた上で、
ご相談者様にとって最適の方法をご提案します。 - ご相談者のお話を丁寧に聞き、「心」の満足を得ていただくことができます







