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離婚公正証書とは?作成するメリット・デメリット・費用を弁護士が徹底解説

離婚公正証書とは?作成するメリット・デメリット・費用を弁護士が徹底解説

「協議離婚で合意したけれど、養育費を本当に払ってもらえるのだろうか」
「口約束だけで離婚して、後から財産分与を踏み倒されないか不安」
養育費や財産分与の未払いリスクから身を守る手段のひとつが「離婚給付等契約公正証書」です。公正証書には(強制)執行力があり、相手が約束を破った場合でも、新たに訴訟を提起して確定判決をもらわなくても給与や預金口座等の財産を差し押さえることができます。
養育費や財産分与の確実な履行を求めるなら、公正証書の作成は賢明な判断です。しかし、公正証書には「書いてはいけないこと」や「書けないこと」も存在します。適切な内容で公正証書を作成し、離婚後のトラブルを未然に防ぐためにも、事前に知識を得ておくことが重要です。
本記事では、離婚公正証書とは何か、離婚協議書との決定的な違いなど、弁護士が実務的な視点から解説します。

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離婚給付等契約公正証書とは?離婚協議書との決定的な違い

離婚給付等契約公正証書と離婚協議書は、どちらも協議離婚における合意内容を文書化するものですが、法的効力に違いがあります。両者の違いを正しく理解することで、離婚後のトラブルを防ぐ適切な選択を行いましょう。

離婚給付等契約公正証書の定義と法的効力

離婚給付等契約公正証書とは、協議離婚における養育費・財産分与・慰謝料などの合意内容を、公証人が公正証書として作成する公文書です。公証役場で作成され、法律の専門家である公証人が関与することで、高い証明力と法的効力を持ちます。

公正証書の最大の特徴は、裁判所の確定判決と同等の効力を持つ「債務名義」となることです。相手が約束を破った場合、新たに裁判を起こすことなく、給与の差押え等が可能になる「強制執行」の手続きに移ることができます。

公正証書は、原則として20年間にわたって、その原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。当事者には「正本」と「謄本」が交付され、強制執行を行う際には正本が必要となります。

出典:日本公証人連合会|Q1. 公正証書とは、どのようなものですか?

公正証書と離婚協議書の最も大きな違いは「強制執行力」

離婚協議書は当事者間で作成する私文書であり、合意内容を記録する証拠としての価値はありますが、それだけでは強制執行することができません。相手が約束を破った場合、改めて裁判を起こして判決を得る必要があります。

一方、離婚給付等契約公正証書は公文書として作成され、執行認諾条項を付けることで、相手が支払いを怠った場合に直ちに強制執行が可能です。裁判を経ずに相手の給与や預金口座、不動産などを差押えることができます。両者の違いを整理すると以下のとおりです。

項目 離婚公正証書 離婚協議書
作成者 公証人(公文書) 当事者(私文書)
強制執行力 あり(執行認諾条項付き) なし
未払い時の対応 直ちに強制執行可能 裁判が必要
証明力 非常に高い 証拠にはなるが証明力は限定的
作成費用 数万円程度 自分で作成すれば無料
保管 公証役場で原本保管 自己責任

養育費や財産分与など、長期にわたる金銭的な約束を確実に履行させたい場合は、離婚給付等契約公正証書の作成が強く推奨されます。

公正証書が持つ「執行認諾条項」の重要性

執行認諾条項とは、「債務者が約束を守らない場合、直ちに強制執行を受けても異議がない」という内容を公正証書に記載する条項です。この条項があることで、公正証書は強制執行が可能な「債務名義」となります。

執行認諾条項がない公正証書では、強制執行を行うことはできません。公正証書を作成する際は、必ずこの条項を入れるよう公証人に依頼しましょう。執行認諾条項の一般的な記載例は以下のとおりです。

「債務者が本公正証書記載の金銭債務を履行しないときは、債務者は直ちに強制執行に服する旨陳述した。」

この条項の記載により、養育費の不払いが発生した場合など、債権者は公正証書を債務名義として、相手の勤務先に給与差押えの申立てを行うことができます。給与差押えは継続的に行われるため、一度手続きをすれば毎月自動的に養育費が支払われる仕組みです。

出典:法務省|公正証書によって強制執行をするには

公正証書を作成する「目的の価額」とは

公正証書作成の手数料は、「目的の価額」に応じて計算されます。目的の価額とは、公正証書に記載する金銭的給付の総額を指します。

養育費の場合、支払期間全体の総額ではなく、5年分の金額を目的の価額とする取扱いが一般的です。たとえば、月額5万円の養育費を子どもが20歳になるまでの15年間支払う場合、総額は900万円ですが、目的の価額は5年分の300万円として計算されます。

財産分与や慰謝料については、その全額が目的の価額です。複数の項目がある場合は、それぞれの目的の価額を合算して手数料を算出します。

目的の価額により手数料が発生しますが、一般的な離婚給付等公正証書の作成費用は3万円から5万円程度です。相手が支払わない場合に裁判を起こす場合、弁護士に依頼すると少なくとも数十万円程度の費用がかかりますから、この費用で将来の未払いリスクを大幅に軽減できるのは魅力的です。

出典:法務省|公証事務

離婚給付等契約公正証書を作成するメリット

離婚給付等契約公正証書を作成することは、養育費や財産分与の履行を確保する上で、大きなメリットがあります。特に、相手の支払能力や誠実さに不安がある場合は、公正証書の作成を検討すべきです。

1.養育費や財産分与の未払い時に給与や財産を差押えできる

離婚給付等契約公正証書の最大のメリットは、相手が約束を破った場合に、裁判を経ずに直ちに強制執行ができることです。養育費や財産分与、慰謝料などの支払いが滞った場合、公正証書を債務名義として、相手の給与や預金口座、不動産などを差押えることができます。

特に養育費の場合、給与差押えは非常に有効な手段です。勤務先が判明していれば、給与の2分の1まで継続的に差押えることができます。差押え可能な財産と上限額は以下のとおりです。

差押え対象 差押え可能な範囲 特徴
給与 手取り額の2分の1まで 継続的に差押え可能(一般債権は4分の1まで)
預金口座 全額 複数の金融機関を調査可能
不動産 全額 競売手続きが必要
生命保険の解約返戻金 全額 保険会社への照会が必要
退職金 2分の1まで 退職前でも差押え可能な場合あり

養育費や婚姻費用の差押えは、一般の債権よりも保護されており、給与の2分の1まで差押えることができます。養育費や婚姻費用が、配偶者や子の生活費であるため強く保護されています。

公正証書がない場合、相手が支払いを怠っても、裁判を起こして判決を得る必要があります。裁判には時間も費用もかかり、その間に相手が財産を隠したり、転職したりする可能性も否定できません。公正証書があれば、こうしたリスクを軽減できます。

2.長期的な支払いを確約させる「心理的な強制力」がある

公正証書には、法的な強制執行力だけでなく、相手に対する心理的な抑止力がある書面として有効です。公証役場という公的機関で正式な手続きを経て作成された公文書であることが、相手に「約束を守らなければならない」という心理的プレッシャーを与えます。

口約束や簡単な離婚協議書では、相手が「そんな約束をした覚えはない」と主張したり、時間の経過とともに支払いをやめたりするリスクが伴うものです。公正証書という公的な証拠があることで、相手も約束を破りにくくなります。

特に養育費のように長期間にわたる支払いの場合、最初は誠実に支払っていても、再婚や転職などの生活環境の変化により支払いが滞りかねません。公正証書があれば、「差押えられる」という具体的なリスクが抑止力となり、継続的な支払いを促す効果があります。

公証役場で公証人の面前で作成手続きを行うこと自体が、相手をして「これは重要な約束だ」という認識を持たせるのが通常です。公正証書の作成は、単なる書類作成以上の意義を持ちます。

3.公証役場で原本が保管されるため紛失・偽造のリスクがない

離婚給付等契約公正証書の原本は、公証役場で長期にわたって保管されます。当事者には「正本」と「謄本」が交付されますが、万が一これらを紛失しても、公証役場で再発行の手続きができる仕組みです。

私文書である離婚協議書の場合、紛失してしまえば証拠がなくなり、相手が「そんな約束はしていない」と主張されるリスクがあります。また、改ざんや偽造の可能性も否定できません。

公正証書であれば、公証役場に原本が保管されているため、こうしたリスクを完全に防ぐことができます。公証人という法律の専門家が作成に関与し、当事者の本人確認と意思確認を厳格に行った上で作成されるため、後から内容を争われる可能性が低くなるのもメリットです。

公正証書の保管に関する主なポイントは以下のとおりです。

書類種別 保管場所 保管期間 用途・特徴 再発行
原本 公証役場 20年以上(実務上は半永久的) – 公証役場で厳重に保管
– 原則として閲覧・交付されない
正本 債権者(養育費を受け取る側) – 強制執行に使用可能
– 「執行力」を持つ書類
– 債権者が保管・管理
可能(手数料が必要)
謄本 債務者(養育費を支払う側) – 内容の証明として保管
– 債務者が保管・管理
可能(手数料が必要)

公正証書という公文書の形で合意内容を残すことは、将来のトラブルを防ぐ上で非常に重要です。数万円の作成費用で、長期間にわたる安心を得られることを考えれば、離婚給付等契約公正証書の作成は極めて有効な選択といえます。

離婚給付等契約公正証書作成のデメリット

離婚給付等契約公正証書には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。特に「時間的な制約」「費用負担」「相手の協力が必要」という3点は、作成前に必ず確認しておくべきポイントです。また、公正証書を作成しても、実際に養育費の未払いが発生した際には、自分で強制執行の手続きを行う必要があることも忘れてはいけません。

デメリット 具体的な内容
時間と手間 最短でも2週間~1ヶ月程度必要。公証役場は平日日中のみ開庁のため雇用労働者の場合は有給休暇の取得が必要
費用負担 手数料は3万円~5万円程度。弁護士依頼でさらに費用が加算
相手の同意が必須 夫婦2人の出頭が原則。相手が拒否すれば作成不可。離婚後は特に協力を得ることが困難
自動執行されない 未払い時も自動的に差押えができるわけではない。債権者自身が裁判所に申立て、別途費用と相手の財産の把握・勤務先の特定が必要
記載内容の制限 金銭支払いなど法律上実現可能な内容のみ。「子どもに会わせる」等の非金銭的約束は記載不可

ただし、これらのデメリットがあっても、養育費や財産分与など金銭的な約束を確実にしたい場合は、公正証書の作成を強く推奨します。特に相手の支払い能力に不安がある場合や、長期間にわたる養育費の支払いを約束する場合には特に重要となる公文書です。初期の手間や費用を惜しまず公正証書を作成することで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

出典:法務省|公証制度について

離婚給付等契約公正証書に「必ず」記載すべき重要事項

離婚給付等契約公正証書には離婚に伴う様々な取り決めを記載できますが、特に重要な項目については、具体的かつ明確に記載しなければなりません。曖昧な表現や不明確な条件は、後のトラブルの原因となります。

養育費|支払い期間・金額・始期・終期の明確化が必須

養育費は、離婚給付等契約公正証書の条項の中でも特に重要な項目の一つです。支払い金額、支払い期間、支払い開始時期、支払い終了時期、支払い方法等を明確に記載する必要があります。

養育費の記載で必ず含めるべき事項は以下のとおりです。

  • 月額の支払い金額(「毎月5万円」など具体的に)
  • 支払い開始時期(「令和○年○月から」など)
  • 支払い終了時期(「子が20歳に達する日の属する月まで」など)
  • 支払い方法(「毎月末日限り債権者の指定する口座に振り込む」など)
  • 振込手数料の負担者(通常は債務者負担)
  • 将来の増減額の可能性(「双方協議の上、変更できる」など)

また、子どもが大学に進学する場合の学費負担や、病気・けがによる特別な出費についても、可能な限り具体的に定めておくことが重要です。「大学進学時の入学金は折半する」などの条項を入れることで、事実上の将来のトラブルを防げます。

養育費の支払い終期については、「20歳に達する日の属する月まで」「22歳の後最初に到来する3月まで」など、明確な基準を設定しましょう。成年年齢が18歳に引き下げられましたが、養育費の終期は基本的に20歳までです。

財産分与|不動産や預貯金など特定し、清算方法を明記

財産分与については、分与する財産を具体的に特定し、誰がいつまでにどのように受け取るかを明確に記載します。「財産を折半する」といった抽象的な表現では、後のトラブルの原因となるためです。財産分与では主に以下の内容を記載します。

財産の種類 記載すべき内容
不動産 所在地、地番、家屋番号などで特定し、誰が取得するか、ローンの負担者、名義変更の期限を明記
金融資産 財産分与額を明確に記載
自動車 車種、登録番号で特定し、誰が取得するか、名義変更の期限を明記
株式・投資信託 証券会社名、銘柄、数量で特定し、分与方法を明記

慰謝料|支払いの原因と期限を明確に記載

慰謝料については、支払金額、支払期限、支払方法を明確に記載しましょう。慰謝料の原因(不貞行為、DV、モラハラなど)についても記載することで、後から「そんな理由では支払わない」と争われるリスクを減らせます。慰謝料の記載例は以下のとおりです。

債務者は、債権者に対し、債務者の不貞行為を原因とする慰謝料として、金200万円の支払義務があることを認め、これを令和○年○月末日までに、債権者の指定する下記口座に振り込んで支払う。

分割払いの場合は、毎月の支払額、支払期間、支払方法を明確にします。「50万円を令和○年○月末日限りで支払い、残金150万円を令和○年○月から令和○年○月まで毎月末日限り5万円ずつ支払う」というように具体的に記載しましょう。

また、期限の利益喪失条項を設けることも重要です。「債務者が分割金の支払いを2回以上怠ったときは、当然に期限の利益を失い、残額全額を直ちに支払わなければならない」という条項により、支払いの実効性を高めることができます。

慰謝料と財産分与を区別して記載しておきましょう。両者の記載を明確に分けておかないと、税務上の取り扱いが複雑になったり、後から金額を争われたりする可能性があります。

年金分割|合意の記載と「私文書認証」の進め方

年金分割については、按分割合を記載します。多くの場合、按分割合は0.5(50%)とされますが、夫婦の合意により異なる割合とすることも可能です。ただし、年金分割の手続きは、公正証書があっても年金事務所で別途行う必要があります。公正証書に年金分割の合意を記載し、その公正証書を年金事務所に提出することで、年金分割の手続きができます。

年金分割の記載例は以下のとおりです。

当事者双方は、厚生年金保険法第78条の2に定める離婚時の年金分割について、その按分割合を0.5とすることに合意した。

出典:日本年金機構|離婚時の年金分割

その他|親権・面会交流・離婚後の氏名変更(任意)など

公正証書は、上記以外にも様々な事項を記載できる公文書です。ただし、親権者の指定については公正証書ではなく離婚届で決定する事項であるため、公正証書には参考として記載するにとどまります。

面会交流については、頻度(「月1回程度」など)、方法、場所などを記載するのが通常です。ただし、面会交流は強制執行になじまない事項であるため、執行認諾条項の対象とはなりません。

面会交流の記載は、合意内容を明確にし、後のトラブルを防ぐ目的で行われます。かえって、具体的な記載をすると将来の状況の変化に対応できなくなるため、ある程度の柔軟性を持たせた記載が望ましいです。その他、公正証書に記載できる事項として以下のようなものがあります。

記載可能事項 具体的な内容
離婚後の氏 婚姻前の氏に戻すか、婚姻時の氏を継続するか
通知義務 住所変更時の連絡義務など
清算条項 「本公正証書に定めるもののほか、当事者間に債権債務がないことを確認する」
口外禁止条項 離婚条件を第三者に口外しない約束

清算条項は、後から「他にも財産があった」などと追加で請求されることを防ぐために重要です。ただし、相手が財産を隠していたことが後で判明した場合は、清算条項があっても追加請求できる可能性があります。

公正証書に記載する内容は、将来の紛争を防ぐために非常に重要です。弁護士に相談するなど、あなたの状況に応じた適切な内容を検討しましょう。

公正証書に「書いてはいけない」・「書けない」こと

離婚給付等契約公正証書には、法律上の制約により記載できない事項がある文書です。これらを理解しておかないと、公証人から修正を求められたり、記載しても法的効力が認められなかったりする可能性があります。以下のような事項は公正証書には記載できません。

項目 具体例 理由
公序良俗違反 「子どもに一切会わせない」「違反時の違約金1000万円」 子どもの利益を害する、過度に高額な違約金は無効
離婚・親権の成立 公正証書による離婚の成立や親権者の指定 離婚届で行う事項のため不可(事実の記載は可能)
実現不可能な内容 「相手の再婚で養育費2倍」「毎週日曜日に必ず面会」 事実上または法律上実現できない、強制執行になじまない
過度な権利制限 「再婚しない」「特定地域に住まない」「転職しない」 個人の自由権を侵害し、公序良俗に反する
非金銭的義務への執行認諾 面会交流への執行認諾条項、または不確定な内容への執行認諾 強制執行になじまない性質の義務には付けられない

これらの記載できない事項以外に、「子どもの養育環境を考慮し、転居する場合は事前に相手に通知する」といった通知義務や、「月1回程度」など柔軟性を持たせた面会交流の記載であれば、合理的な範囲内として認められる可能性があります。

離婚給付等契約公正証書作成にかかる費用と料金内訳

離婚給付等契約公正証書の作成には、「目的の価額」に応じた手数料が必要です。この手数料は法令で定められており、全国どこの公証役場でも同じ金額となります。一般的な離婚公正証書の場合、総額で3万円から5万円程度の費用がかかる仕組みです。公証人手数料は、公正証書に記載する金銭給付の総額(目的の価額)に応じて以下のように定められています。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円超200万円以下 7,000円
200万円超500万円以下 11,000円
500万円超1,000万円以下 17,000円
1,000万円超3,000万円以下 23,000円
3,000万円超5,000万円以下 29,000円
5,000万円超1億円以下 43,000円

離婚給付等契約公正証書では、養育費・財産分与・慰謝料など、複数の項目がある場合は、それぞれについて手数料が計算され、合算されます。

養育費の場合、支払期間全体の総額ではなく、5年分の金額を目的の価額とする取扱いが一般的です。たとえば、月額5万円を15年間支払う場合、総額は900万円ですが、5年分の300万円が目的の価額となります。

具体的な費用例を示すと以下のとおりです。

ケース1:養育費のみの場合

項目 内容 金額
養育費 月額5万円を10年間支払う
目的の価額 300万円
手数料 23,000円
その他 正本・謄本代など 約3,000円
合計 約26,000円

ケース2:養育費+財産分与+慰謝料の場合

項目 目的の価額 手数料
養育費 月額5万円を5年間(300万円) 23,000円
財産分与 300万円 23,000円
慰謝料 200万円 11,000円
合計手数料 57,000円
その他 正本・謄本代など 約3,000円
合計 約60,000円

これらの手数料に加えて、正本・謄本の作成費用として、1ページあたり250円程度が加算されます。一般的な離婚給付等契約公正証書は4〜6ページ程度となり、1,000円〜1,500円程度が相場です。また、公証人が病院や自宅に出張して公正証書を作成する場合は、手数料が1.5倍になり、別途日当と交通費が必要です。

弁護士に公正証書の原案作成を依頼する場合は、別途弁護士費用が必要です。原案作成のみであれば5万円~15万円程度です。費用を抑えたい場合は、自分で原案を作成し、公証役場に相談しながら進めることも可能です。ただし、法的に不備のない内容にするためには、弁護士に相談することを検討しましょう。

出典:日本公証人連合会|公証人手数料

夫婦2人で出頭が原則?代理人での作成について

離婚給付等契約公正証書を作成する際は、原則として夫婦2人が公証役場に出頭し、公証人の面前で内容を確認する必要があります。これは、本人の意思確認と本人確認を厳格に行うためです。

公証役場への出頭時には、本人確認のために運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付き身分証明書が必要となります。また、印鑑(認印可)と印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)も必要です。

ただし、以下のような事情がある場合は、代理人による作成も可能となります。

代理人による作成が認められるケース

  • 病気や入院で公証役場に出頭できない
  • 遠方に居住しており、出頭が困難
  • 仕事の都合で平日に時間が取れない
  • DVの被害があり、相手と顔を合わせたくない
  • 海外に居住している

代理人による作成には、以下の書類が必要です。

必要書類 内容
委任状 本人が署名・押印した委任状(実印)
印鑑証明書 本人の印鑑証明書(3ヶ月以内)
代理人の身分証明書 代理人の運転免許証など
戸籍謄本 夫婦の戸籍謄本

弁護士を代理人とする場合、委任状と印鑑証明書があれば、本人の出頭なしで公正証書を作成できる仕組みです。公証人は代理人を通じて本人の意思確認を慎重に行うため、事前に本人と面談したり、電話で意思確認を行ったりすることがあります。

夫婦の一方だけが代理人を立てることも可能です。たとえば、妻は直接出頭し、夫は弁護士を代理人として立てる形も認められます。ただし、代理人による作成の場合、追加の手数料が発生することがあるため、事前に公証役場に確認しましょう。

離婚公正証書は、全国どこの公証役場でも作成できます。必ずしも夫婦の住所地や本籍地の公証役場である必要はありません。夫婦が別居している場合は、どちらか一方の居住地に近い公証役場や、双方の中間地点にある公証役場を利用することも可能です。

公証役場の予約は電話やメールで行えます。公証役場は平日の午前9時から午後5時まで開いており、土日祝日は休業です。夫婦2人の予定を合わせることが難しい場合や、DVなどの事情で顔を合わせたくない場合は、弁護士に相談して代理人での作成を検討しましょう。

出典:日本公証人連合会|全国公証役場所在地一覧

離婚後でも公正証書は作成できる?作成時期のベストタイミング

公正証書は、離婚前だけでなく離婚後でも作成することが可能です。ただし、離婚後に作成する場合は相手の協力が得にくくなるため、離婚前に作成しておくことが推奨されます。

離婚後でも公正証書は作成可能だが、相手の協力が必須

離婚届を提出した後でも、養育費や財産分与について改めて合意し、その内容を公正証書にすることは法律上可能です。離婚後に「やはり公正証書を作っておきたい」と考えた場合でも、相手が同意すれば作成できます。

ただし、離婚後は相手の協力を得ることが難しくなるものです。離婚前であれば「公正証書を作らないと離婚届を出さない」という交渉材料がありますが、離婚後はこの手段が使えません。

相手が「今さら公正証書なんて作りたくない」「口約束で十分だろう」と拒否した場合、強制的に作成させることはできなくなります。この場合は、家庭裁判所に養育費請求調停・審判や財産分与請求調停・審判を申し立て、調停調書や審判書(確定証明書)のような強制執行力のある文書を作成しなければなりません。

離婚後に公正証書を作成する場合の注意点は以下のとおりです。

  • 相手の同意が必要(拒否されたら作成不可)
  • 交渉材料が少なく、相手が非協力的になりやすい
  • 時効の問題がある(後述)
  • すでに支払いが滞っている場合、過去分の回収が困難

このように、離婚後の公正証書作成は法的には可能でも、実務上は多くの困難が伴うものです。そのため、養育費や財産分与などの金銭的な取り決めがある場合は、できるだけ離婚前に公正証書を作成しておきましょう。

離婚後に作成する際は時効を確認

離婚後に公正証書を作成する場合、時効に注意が必要です。財産分与請求権は、離婚から2年以内に行使する必要があります(民法768条2項)。この期限は法律上「除斥期間」と呼ばれ、時効と異なり更新や中断はできません。

※2024年5月に成立した民法改正により、この期限は「離婚後5年以内」に延長されます。改正法の施行日は2026年4月の予定です。施行後に離婚する場合は、5年以内に請求すればよいことになります。

慰謝料請求権の時効は、不法行為を知った時から3年、または不法行為の時から20年です。DVや不貞行為を理由とする慰謝料は、離婚後も請求できますが、時効に注意しなければなりません。

養育費は、将来分については原則として支払期が到来するまで時効の問題は生じませんが、過去分の未払いについては「支払期ごとに5年」で時効にかかるのが原則です。未払いがある場合は、放置せず早めに請求手続きをとることが重要となります。

時効が迫っている場合は、まず内容証明郵便で請求の意思表示(催告)を行い、一時的に時効を中断させることが重要です。その上で、公正証書の作成交渉を進めましょう。相手が公正証書作成を拒否する場合は、速やかに家庭裁判所に裁判を申し立てることが重要です。

出典:裁判所|養育費請求調停

公正証書作成のベストタイミングは「離婚届提出前」

離婚給付等契約公正証書を作成する最適なタイミングは、離婚条件について夫婦間で合意ができ、離婚届を提出する前です。この時期であれば、「公正証書を作成してから離婚届を出す」という条件で交渉でき、相手の協力を得やすくなります。

離婚給付等契約公正証書作成から離婚届提出までの理想的な流れは以下のとおりです。

  1. 離婚条件(養育費、財産分与、慰謝料など)について夫婦で協議
  2. 合意内容を整理し、メモや協議書にまとめる
  3. 弁護士に相談し、公正証書の原案を作成
  4. 公証役場に連絡し、作成日時を予約
  5. 必要書類(戸籍謄本、印鑑証明書など)を準備
  6. 夫婦2人(または代理人)が公証役場に出頭
  7. 公証人が内容を読み上げ、夫婦が署名・押印
  8. 公正証書が完成し、正本と謄本を受け取る
  9. 離婚届を役所に提出

この流れであれば、離婚後のトラブルを未然に防ぎ、安心して新しい生活をスタートできます。

離婚を急いでいる場合でも、公正証書の作成には最低でも2週間程度の時間を確保しておきましょう。急いで離婚届を出してしまうと、後から公正証書を作ろうとしても相手が協力しなくなる可能性があります。「早く離婚したい」という気持ちは理解できますが、将来の養育費や財産分与を確実に受け取るためには、離婚前の公正証書作成が極めて重要です。弁護士に相談して、適切なタイミングで公正証書を作成しましょう。

出典:法務省|協議離婚

公正証書に相手方の希望する文言を入れて離婚に合意した事例

実際に弊所にご相談いただき解決した事例を紹介します。

ご依頼の経緯

単身赴任の夫に対する不信感、性格の不一致などから離婚をしたいと考えたご依頼者(女性)が、現在住んでいる自宅(ローンあり)と、子供の養育費、財産分与などを相談に来所。

当事務所の対応

夫は当初は離婚を拒否。代理人を付けていなかった。別居した際の婚姻費用などを提示、メールなどで頻繁に当事務所弁護士が交渉した結果、相手方が希望する妻の「一方的な強い希望により離婚」という文言を盛り込んだ公正証書を作って離婚を成立させた。相手方も話せば理解してくださる方だったので、自身の支払い額などを鑑み、離婚に同意。月額20万円の養育費、1500万円の財産分与となった。

解決事例:公正証書に相手方の希望する文言を入れて離婚に合意した例【50代専業主婦の離婚事例】

上記のようなトラブルの際は、ぜひ弊所にご相談ください。女性の初回相談は無料ですので、離婚時の財産分与にお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

電話受付時間 9:00〜20:00 土日祝休

離婚給付等契約公正証書に関するよくある質問

公正証書作成を相手から拒否されたらどうすべき?

相手が公正証書の作成を拒否した場合、強制的に作成させることはできません。この場合、以下の対応策を検討しましょう。

まず、公正証書を作成するメリットを相手に説明し、理解を求めることが重要です。「お互いの約束を明確にすることで、後のトラブルを防げる」「将来の紛争を避けられる」という視点で説得を試みましょう。

それでも拒否される場合は、「公正証書を作成しないと離婚届を出さない」という立場を明確にすることも一つの方法です。離婚を急いでいる相手であれば、公正証書作成に応じる可能性があります。

相手が頑なに拒否する場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることを検討しましょう。調停で合意した内容は調停調書として残り、公正証書と同様に強制執行力を持ちます。

さらに弁護士に依頼して交渉してもらうことも有効です。第三者である弁護士から説明されることで、相手が公正証書の必要性を理解する場合もあります。

作成後に内容を変更・訂正することはできますか?

公正証書作成後に内容を変更したい場合、夫婦双方の合意があれば変更は可能です。変更の方法は、新たに公正証書を作成し直すか、変更契約の公正証書を作成する形となります。

養育費の増額や減額が必要になった場合、まずは当事者間で協議し、合意ができれば変更契約の公正証書を作成する流れです。合意ができない場合は、家庭裁判所に養育費増額(減額)調停を申し立てる必要があります。

重要な点は、相手の同意なく一方的に内容を変更することはできないことです。公正証書は契約書の一種であり、契約の変更には両当事者の合意が必要となります。単純な誤記や計算ミスなどの形式的な訂正については、公証役場に相談しましょう。訂正であれば対応してもらえる可能性があります。

公正証書がない場合の養育費未払いの対処法は?

公正証書がない状態で養育費の支払いが滞った場合、まずは内容証明郵便で支払いを催促しましょう。法的な証拠として残るため、後の手続きで有利になります。それでも支払われない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停・審判を申立ててください。

調停で合意が成立すれば調停調書が作成され、これは公正証書と同様に強制執行力を持ちます。調停が不成立の場合は、審判手続きに移行し、裁判所が養育費の金額を決定する流れです。調停調書や確定した審判書を債務名義として、相手の給与や預金口座を差し押さえることができます。ただし、これらの手続きには時間と費用がかかるため、離婚時に公正証書を作成しておくことが最も効率的です。

また、2020年4月から施行された改正民事執行法により、財産開示手続きが強化されました。相手の勤務先や預金口座が不明な場合でも、裁判所を通じて情報を取得できる可能性があります。

出典:裁判所|財産開示手続

遠方の公証役場でも作成できますか?

離婚給付等契約公正証書は、全国どこの公証役場でも作成できます。住所地や本籍地の公証役場でなければならないという制限はありません。夫婦が別居している場合、どちらか一方の居住地に近い公証役場を選ぶことも、双方の中間地点にある公証役場を利用することも可能です。自分たちにとって便利な場所を選びましょう。

ただし、公証役場によっては予約が取りにくい場合もあります。特に都市部の公証役場は混雑していることが多いため、早めに予約しておくのがおすすめです。

遠方で出頭が困難な場合は、代理人を立てることも検討しましょう。弁護士を代理人とすれば、本人が出頭しなくても公正証書を作成できます。

また、一部の公証役場では、事前相談をオンラインや電話で行い、当日の手続き時間を短縮できる場合もあります。公証役場に問い合わせて、効率的な手続き方法を相談しましょう。

出典:日本公証人連合会|全国公証役場一覧

まとめ|離婚給付等契約公正証書は弁護士に相談して作成しましょう

離婚給付等契約公正証書は、協議離婚における養育費・財産分与・慰謝料などの約束を確実に履行させるための強力な手段です。公正証書には強制執行力があり、相手が約束を破った場合でも、裁判を経ずに給与や預金口座を差押えることができます。

離婚協議書との最も大きな違いは、執行認諾条項による強制執行力の有無です。養育費については、実際に取り決めどおり支払われていないケースも少なくありません。こうした現状を踏まえると、数万円の費用で将来の未払いリスクを抑えられる公正証書の作成は、十分検討に値する選択肢といえます。

公正証書には、養育費・財産分与・慰謝料・年金分割など、離婚に伴う様々な取り決めを記載できる公文書です。ただし、内容は具体的かつ明確に記載する必要があり、曖昧な表現や実現不可能な内容は避けなければなりません。

公正証書作成のベストタイミングは離婚届提出前です。離婚後でも作成は可能ですが、相手の協力を得ることが難しくなるため、離婚前に作成しておきましょう。

「弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所」では、離婚給付等契約公正証書の原案作成から公証役場への同行まで、トータルサポートが可能です。あなたの状況に応じた適切な内容を提案し、将来のトラブルを未然に防ぎます。まずはお気軽にご相談ください。

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