目次
強制執行とは
協議や調停によって養育費や慰謝料を支払う合意がなされたにも関わらず、相手が支払わない場合があります。その場合、強制執行によって回収することができます。
強制執行の対象となる財産
強制執行を行うための条件
強制執行により相手の財産から強制的に取り立てを行うためには、いくつかの条件があります。
相手の住所を把握している
強制執行の手続きでは、裁判所から相手に書類が送付されます。そのため、相手の住所が分かっている必要があります。
なお、分からない場合には弁護士が調査をすることもあります。
相手に支払い能力(財産)がある
強制執行の申立てでは、相手のどの財産に対して強制執行をするかを特定しなくてはなりません。
例えば、預金であれば、銀行名と支店名の特定が必要です。つまり、相手が財産を持っていることが必要になります。
債務名義と送達証明書を持っている
強制執行を行うためには、その根拠となる書類である「債務名義」と、債務名義が相手に送達(法律上定められたルールに従って相手に送ることをいいます。)されたことの証明書(送達証明書)が必要になります。債務名義としては、判決書、和解調書、調停調書、審判書、公正証書等があります。
強制執行の種類
強制執行は、強制的に取り立てをする対象の財産により種類が分かれています。
不動産執行
不動産を裁判所が、競り売りにかける不法です。不動産執行の対象となる不動産に住宅ローンなどによる抵当権がついている場合には、その不動産の価値が残っているローン額よりも小さい場合(競売をして、ローンの支払いをすると赤字になる場合)には、強制執行ができませんので、注意が必要です。
債権執行
銀行の預金や生命保険の解約返戻金、給与など、相手が第三者から支払いを受ける権利(債権)を差し押さえる方法です。債権執行が行われると、相手に支払いをする第三者は、直接あなたに支払いをしなくてはならなくなります。ただし、給与については、相手の生活にも関わるものですので、養育費・婚姻費用については手取り額の2分の1、その他の権利(財産分与や慰謝料)については手取り額の4分の1が限度額とされています。
強制執行手続きの流れ
強制執行は、相手に支払いを求める側が裁判所に申し立てをすることで始まります。申立てがなされると裁判所が、書類を確認し、不備がなければ実際に不動産や債券を差し押さえる手続きに進みます。
強制執行の申し立て
強制執行の申立ては、書面で、管轄のある裁判所に行わなければなりません。管轄の裁判所は、不動産執行については、不動産の所在地を管轄する地方裁判所、債権執行については、債務者(相手方)の住所地を管轄する地方裁判所です。ただし、債権執行を行う際に相手方の住所が分からない場合には、差し押さえる債権の債務者(給与なら、勤務先)の住所地の裁判所に申し立てをすることも可能です。
必要な書類・費用
申立てには差し押さえる根拠や金額を記載した以下の書類が必要になります。
- 申立書
- 債務名義
- 送達証明書
- 第三債務者に関する情報(法人登記等)
養育費の特例
差し押さえについては、支払の期限が到来をした分に限って差し押さえをすることができることになっていますが、養育費については、一度の差し押さえで将来の分まで差し押さえの効果が生じることとされています。そのため、養育費については、一度の手続きで、支払の終期(支払いの最後の月)までの分を差し押さえることができます。ただし、支払については、一括ではなく、毎月の支払となります。
未払い分を回収できたら
差し押さえにより、回収ができた場合には、裁判所に取り立てができた金額の報告をすることが必要になります。
これは、一度の差し押さえで全額が出来なかった場合も想定してのことです。
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