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養育費の回収手続に少しでも不安をお持ちの方は、離婚問題に精通した弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所へご相談ください。女性の方限定で初回60分の無料相談を受け付けております。専門家があなたの状況を丁寧に伺い、最適な養育費の回収方法を提案します。
養育費が支払われない割合と現状
養育費の支払を受けられないことは、残念ながら決して珍しい問題ではありません。厚生労働省が実施した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、離婚した相手から「養育費を現在も受け取っている」と回答した母子世帯は28.1%に留まっています。
つまり、7割以上の家庭では養育費について「取り決めすらない」「取り決めたが支払われていない」という現実に直面しているのです。このように、多くの家庭で養育費の支払がされていないという厳しい現実があります。
さらに同調査では、「養育費の取り決めをしていない」と回答した母子世帯が全体の4割を超えていることも明らかになっています。つまり、制度や手続を十分に理解しないまま離婚し、結果として養育費を受け取れていない家庭が少なくありません。生活費や教育費をひとり親で負担する状況は、子どもの進学や生活の質に大きな影響を与える可能性があります。養育費の支払は親の義務であり、子どもの権利であることを踏まえて、確実に養育費を受け取れるよう、しっかりと備えておくことが重要です。
(参照:厚生労働省|令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告)
未払養育費を請求できる時効期間は何年?
未払養育費を請求する権利は、永久に認められるわけではありません。「時効」によって消滅する可能性があるため、注意が必要です。
時効期間を過ぎ、相手が養育費の請求権は時効で消滅したと主張すると(このような相手の主張を「時効の援用」といいます。)、法的に請求できなくなってしまいます。そのため「まだ大丈夫」と放置せず、養育費の支払が滞った時点で早めに動き出すことが重要です。必要に応じて弁護士に相談し、確実に時効の進行を止める手続を進めておきましょう。
原則は各支払期限の翌日から5年
離婚協議書や公正証書など、当事者間の合意によって定めた養育費の請求権は、原則として各支払期限の翌日から起算して5年で消滅時効にかかります。
なお、公正証書に「強制執行認諾文言」が記載されていれば、支払が滞った場合、速やかに回収のための強制執行手続に移行できます。養育費の支払は長期間にわたることから、万一支払が滞った場合には迅速に強制執行による回収手続に進めるよう、協議離婚時の養育費の定めは公正証書にし、必ずこの「強制執行認諾文言」を盛り込むことが推奨されます。適切な形式を整えておけば、5年の時効期間が経過する前に強制執行を実行し、相手の財産から確実に養育費を回収することが可能です。
調停・審判等を経た場合は10年
家庭裁判所の調停や審判、あるいは判決によって確定した、過去の未払養育費の請求権は時効期間が10年に延長されます。すなわち、法的な手続を経ることで、より長期間にわたって権利が保護されます。ただし、時効期間が10年に延長されるのは、調停・審判等の時点で未払いが現実化している過去の養育費の請求についてであって、将来支払われる予定の養育費の時効期間が延びるわけではないので、注意が必要です。
10年という長期の保護があることで、相手の経済状況が好転するのを待ちながら回収の機会を窺がうこともできます。ただし、何もせず10年が経過して時効が完成すれば権利は消滅するため、完成前に必ず裁判上の請求手続等を行って時効の完成を止めることが大切です。弁護士に依頼しておけば、このような手続も確実に行うことができます。
未払養育費を請求する方法
養育費の支払が滞った場合は、段階的に手続を進めていくのが基本です。いきなり裁判所での手続を始めるのではなく、まずは相手に連絡を取って支払を求め、応じてもらえなければ家庭裁判所での手続や回収のための強制執行へと進む流れになります。
重要なのは、感情的なやり取りに終始せず、証拠を残しながら冷静に進めることです。メールやメッセージアプリ、郵送物等のやり取りは必ず保存し、支払が滞っている事実を客観的に証明できる状態を整えておきましょう。これにより、訴訟や強制執行等に移行した場合でも、スムーズに手続を進めることができます。
1.電話やメールで請求する
未払養育費を請求する最初のステップは、まず相手に直接連絡を取ることです。感情的にならず、養育費の支払が滞っている事実と、支払を求める旨を冷静に伝えます。可能であれば、支払期限や金額も具体的に伝えるようにしましょう。
記録が残るメールやメッセージアプリなどを利用しておくと、後になって「聞いていない」などと言われることを防ぐことができ、トラブルに発展した際にも役立ちます。
また、複数回連絡しても返答がない場合は、そのような事実自体が養育費の未払いを裏付ける証拠になります。
2.内容証明郵便で請求する
相手が電話やメール等での請求に応じない場合は、「内容証明郵便」を送付します。内容証明郵便を利用すると、いつ、どのような内容の請求をしたかを郵便局が公的に証明してくれるため、相手に心理的な圧力をかける効果が期待できます。また、請求した証拠が明確に残るため、後の法的手続でも役立ちます。
内容証明郵便で送付する文章は自分で作成することも可能ですが、弁護士に依頼すれば法的により適切かつ効果的な文面に整えてもらうことができます。
また、内容証明郵便を送付した事実自体が「本気で回収を考えている」という強い意思表示になり、任意での支払が再開されるケースもあります。費用は数千円程度と比較的安価なので、早めに活用するのが得策です。
3.家庭裁判所に履行勧告を申し出る
履行勧告とは、調停や審判などで養育費を取り決めた場合に利用できる制度です。調停や審判がされた家庭裁判所に履行勧告を申し出ると、裁判所から相手に対し、取り決め通りに養育費を支払うよう促す通知(勧告)が出されます。手数料はかからず、文書や口頭のほか、電話での申出も可能となっており、手続が比較的簡単な点がメリットです。
ただし、履行勧告はあくまでも支払を促す「勧告」にとどまり、法的強制力がなく、従わなくても罰則がないため、効果は限定的です。それでも裁判所から通知が届くことで、「強制執行に発展して給与や財産が差し押さえられるかもしれない」という強い心理的プレッシャーを相手に与える効果はあります。
まずは手軽に利用できる制度として位置づけ、効果が薄い場合は次のステップへ進む準備を整えておきましょう。
4.家庭裁判所に履行命令を申し立てる
履行勧告よりもさらに一歩踏み込んだ手続が「履行命令」であり、家庭裁判所に文書で申立てを行います。相手が裁判所からの履行命令に正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料(罰金のような制裁)が科される可能性があり、命令に従わなければ不利益を被る仕組みになっています。
履行命令は相手にとって大きなプレッシャーとなり、実際に支払が再開されるケースも見られます。ただし、履行命令により相手の給与や財産を差し押さえて強制執行をすることはできません。そのため、履行命令は次の強制執行に進む前段階の「最後通告」としての位置づけになるでしょう。
5.相手方の財産を差し押さえて強制執行をする
未払養育費を回収するための最も強力な法的手段が「強制執行」です。
強制執行では、裁判所が相手の財産を差し押さえ、そこから未払養育費を回収します。
給与や預貯金、不動産などあらゆる財産が差押対象になりますが、特に給与を差し押さえれば以後、毎月の給与から継続的に養育費が天引きされて支払われるため、確実な回収が可能になります。
強制執行をするために必要な「債務名義」とは?
強制執行をするためには裁判所に差押命令の申立てをする必要がありますが、申立てにあたっては「債務名義」(債権者が債務者に対して強制執行を行うための根拠となる文書)を取得していなければなりません。「債務名義」は、権利の存在を公的に証明する文書であり、いわば強制執行を行うための「許可証」のようなものです。
具体的には、以下の文書が債務名義にあたります。
- 強制執行認諾文言付き公正証書
- 調停調書
- 審判書
- 判決書
注意すべきは、養育費の支払について口約束や私的な合意書だけで済ませてしまうと、これらは債務名義にはならないという点です。いざという時に強制執行ができず、泣き寝入りにつながる恐れがあります。養育費については、必ず調停調書や強制執行認諾文言付き公正証書といった債務名義を取得しておくことが、将来の未払リスクに対する最も確実な備えとなり、子どもの生活を守ることにつながります。
強制執行手続のおおまかな流れ
- 債務名義を得る(強制執行認諾文言付き公正証書、調停調書、審判書、判決書など)
- 必要書類を揃えて、地方裁判所に差押命令申立てを行う
- 裁判所が差押命令を発し、勤務先、金融機関等と相手に対し通知を送付する
- 給与や預金等が差し押えられ、一定期間経過後、養育費相当額が支払われる
申立てから実際に差押え・回収が始まるまでには通常数週間〜数か月かかることが多く、相手の勤務先や相手名義の預金口座等、差押対象となる財産を特定するための情報が不十分な場合は、それらの調査のためさらに時間を要します。 なお、差押対象となる財産を特定するために、先に財産開示手続や第三者からの情報取得手続を行うケースもあります。
強制執行は回収の確実性が高い一方で、申立書の作成や証拠の準備・提出など複雑な手続を伴います。そのため、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。手間や費用はかかりますが、未払いが長期化している場合や相手に支払う意思がない場合には、最終的かつ最も実効性のある回収手段となります。
法改正で利用可能になった養育費回収のための制度
2020年4月に施行された改正民事執行法により、養育費の回収をより実効的にするための制度が導入されました。相手の財産が分からなくても、諦める必要はありません。
強制執行では相手がどこに、どのような財産を持っているのか、差押えの対象を特定する必要があります。従来は、例えば給与や預金を差し押さえようとしても、相手の勤務先、銀行口座等が分からなければ差押えができないという限界がありました。しかし、新制度によって差押対象となる相手の財産を明らかにする手段が整備され、実際に回収できる可能性が大幅に高まりました。この改正は、多くのひとり親家庭にとって大きな支えとなっています。
財産開示手続
「財産開示手続」とは、裁判所に相手を呼び出し、自身の財産状況について正確に説明すると宣誓させた上で、陳述させる制度です。正当な理由なく出頭しなかった場合や、虚偽の陳述をした場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金といった刑事罰の対象となります。
この手続を利用すれば、給与明細や預金残高、不動産の有無などを詳細に開示させることができ、相手にとって大きな心理的負担となります。開示された情報は強制執行の準備に直結するため、未払養育費の回収に向けた重要な第一歩となります。
第三者からの情報取得手続
財産開示手続でも十分な情報が得られない場合、さらに強力な手段として「第三者からの情報取得手続」があります。裁判所を通じて、例えば市区町村や年金事務所には相手の勤務先の情報、金融機関には預金口座の情報、法務局には相手の不動産に関する情報等を照会できます。
この手続により、従来は把握できなかった相手の勤務先や預貯金口座等を特定しやすくなりました。特に相手が意図的に財産を隠している場合でも、この手続を利用すれば差押えの実効性が高まり、確実な回収につながります。
弁護士に未払養育費の回収を相談、依頼するメリット
未払育費を回収するためには、法的な知識と手続が必要なため、個人で対応するには限界があります。専門家である弁護士に相談、依頼することで、多くのメリットを得られます。
1.煩雑な手続を任せられる
内容証明郵便の作成から、家庭裁判所への申立て、そして最も複雑な強制執行の手続まで、専門的で手間のかかる作業を弁護士に一任することで、あなたは不慣れな手続に時間や労力を割くことなく、普段どおりの生活を送ることが可能になります。
個人で手続を行う場合、書類の形式不備や証拠不足によって再提出を求められることも少なくありません。その結果、解決が遅れ、最悪の場合は請求が認められないリスクもあります。弁護士に任せれば、最初から適切な書類や証拠を準備でき、手続がスムーズに進むため、時間や労力の無駄を防ぐことができます。
2.最適な回収手段を選んでもらえる
自己判断で協議や履行勧告等に時間をかけすぎ、結果的に時効を迎えてしまい回収不能になるケースも見られます。こうしたリスクを避けるためには、初期段階から弁護士に相談することが重要です。
未払養育費の回収は、「どのような証拠を準備し、それをどう使うか」「どの手続を優先するか」で結果が大きく変わります。弁護士は、あなたの状況や手元にある証拠(公正証書の有無など)に応じて、交渉、履行勧告、強制執行といった選択肢の中から最も効果的でスムーズな回収方法を検討し、あなたに提案することが可能です。
例えば、強瀬執行認諾文言付き公正証書がある場合は直ちに強制執行の手続に着手できますが、ない場合は調停から始める必要があります。また、相手の勤務先が判明しているかどうかによっても取るべき手続は変わるため、弁護士に相談することが有益です。弁護士は状況に応じた最短ルートを選択し、不要な手続を避けながら実効性の高い回収を実現します。
3.時効リスクや法的トラブルを防げる
養育費の請求権には時効があります。弁護士に依頼すれば、弁護士が内容証明郵便の送付や訴訟提起等、時効の進行を止める手続を代行することが可能です。また、相手との直接のやり取りを弁護士が代行することで、精神的な負担を大きく軽減し、感情的な対立の悪化も避けられます。
さらに、相手が「払えない」「払わない」と強硬な態度を示した場合でも、弁護士が代理人として冷静に交渉にあたることで、無用な衝突を避けつつ解決に近づくことができます。自分一人では見落としがちな細かな手続や時効の管理も任せられるため、安心して長期的な対応が可能になります。
未払養育費に関するよくある質問
養育費の未払いを発生させたら、支払う側にペナルティはない?
養育費を支払わないこと自体に、直接的な刑事罰はありません。しかし、裁判所からの履行命令に従わない場合は、過料が科される可能性があります。また、財産開示手続で裁判所からの呼出しに正当な理由なく応じなかったり、虚偽の陳述をした場合は刑事罰の対象になります。そして、決められた養育費を支払わないことにより、最終的には、強制執行によって給与や預金などの財産を差し押さえられるという、非常に大きな不利益を被ります。
さらに、強制執行が行われると、勤務先や金融機関に差押えの通知が届くため、社会的信用の低下にも直結します。勤務先に知られたくないという心理的プレッシャーから、支払いに応じるケースも少なくありません。
養育費の未払いに対して直接的な刑事罰はなくとも、その後のあなたの対応次第では、相手に与える事実上の社会的、経済的、心理的な影響は非常に大きなものになるといえるでしょう。
子どもが成人した後でも未払養育費を請求できる?
子どもが成人した後でも養育費は請求できます。時効期間が経過していない限り、過去に発生した未払養育費を受け取る権利が消えるわけではありません。
請求する場合は、過去の支払状況を示す証拠が不可欠です。振込記録や家計簿、連絡履歴などを整理しておくことが有益でしょう。
なお、未払の状況を長期間放置すると相手の経済状況が変わり、実際の回収が困難になることもあるため、できるだけ早めに手続を進めるのが望ましいとされています。
もっとも、実務上は、成人後に未払養育費をまとめて一括請求するのは難しいとされています。理由は、養育費が本来「子どもの生活費」として毎月支払われるべき性質のものだからです。生活費を後払いで補うことは現実的でないと裁判所が判断する傾向があり、時効や相手方の資力変動も加わるため、実際の回収可能性は低くなりがちです。
未払いの養育費を相手の親に請求できる?
原則として請求できません。養育費の支払義務は、あくまで子どもの親本人にあります。
法的には、養育費は民法で定められた親と未成熟子間の「生活保持義務」に基づくものであり、祖父母にはこの義務は及びません。例外的に、祖父母が自発的に援助している場合や、生活困窮が極端な場合に親族間の「扶養義務」として争われる可能性はありますが、実務上は一般的ではありません。実際の解決策としては、祖父母への請求ではなく、親本人に対する強制執行などの法的手続を取るのが現実的です。
未払養育費を強制執行で回収するデメリットはある?
強制執行は手続に弁護士費用や実費がかかる点、そして申立てから回収までに一定の時間がかかる点がデメリットといえます。しかし、相手が任意に支払わない以上、未払養育費を回収するための有効な手段であることは間違いありません。
また、差押えの対象となる財産が十分でない場合、思うように回収できないリスクもあります。そのため、強制執行を選ぶ前に、相手の勤務先や預金口座などの財産情報を把握しておくことが重要です。法改正により財産開示手続や第三者からの情報取得手続が整備されたため、弁護士を通じて情報収集を行えばデメリットを最小限に抑えることが可能です。
子ども本人が養育費を請求できる?
養育費は子どものための権利であり、子ども本人が請求することも理論的には可能です。しかし、実際には親権者である親が法定代理人として請求するのが一般的です。子ども自身が請求する場合、精神的な負担が大きくなるため、慎重な判断が求められます。
また、未払養育費の請求手続そのものが複雑なため、特に未成年のうちは、親権者や弁護士のサポートなしに子どもだけで請求を進めるのは現実的ではありません。成人に達した後に本人が請求するケースもありえますが、その場合も法律知識や証拠の準備が必要です。無理に本人が請求するより、親や専門家が代理して進める方が、子どもにかかる事務処理上の労力や、心理的な負担を大幅に減らせます。
まとめ|未払養育費は諦めず適切な手続で回収しましょう
養育費の未払いは、多くのひとり親家庭が直面する深刻な問題です。しかし、解説したように、泣き寝入りする必要はありません。
まずは内容証明郵便で請求の意思を明確に示し、次に家庭裁判所の制度を利用します。そして最終的には強制執行という強力な手段で、お子さんの権利を実現できます。特に、近時の法改正によって相手の財産を調査する制度が強化され、以前よりも養育費は格段に回収しやすくなりました。
手元にある合意文書を確認し、また、時効が迫っていないかもチェックしましょう。そして、具体的な手続に少しでも不安があれば、速やかに弁護士に相談することが、お子さんの未来を守るための最も確実な道です。
離婚後の養育費トラブルでお困りの方は、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。女性の方限定で、初回60分無料相談を受け付けております。私たちがあなたの新しい一歩を力強くサポートします。
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