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【この記事で分かること】
- 財産分与とは
- 財産分与の対象になるもの・ならないもの
- 財産分与の割合
- 財産分与の進め方
- 財産分与を有利に進めるために必要な準備
新しい人生のスタートを経済的な不安から守るために、財産分与の制度を理解しておきましょう。
丸の内ソレイユ法律事務所は、年間900件以上のご相談をいただく、離婚問題に精通した弁護士事務所です。女性の初回相談は無料となっております。お気軽にお問い合わせください。
そもそも離婚時の財産分与とは?知っておくべき3つの種類
離婚時の財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産を、離婚に際して公平に分配する制度のことです。(参照:法務省|財産分与)
この制度は単なる「財産の山分け」ではなく、以下3つの異なる性質を持っているとされています。
- 清算的財産分与|夫婦が協力して築いた財産を公平に分ける
- 扶養的財産分与|離婚後の生活が困窮する場合の補助
- 慰謝料的財産分与|不貞行為など離婚原因への補償を含む
まずは、ご自身の状況がどれに当てはまる可能性があるのかを理解しておきましょう。
清算的財産分与|夫婦が協力して築いた財産を公平に分ける
清算的財産分与は、財産分与制度の中心となる考え方です。
この分与の目的は、婚姻中に夫婦が互いに協力して形成・維持してきた共有財産を、離婚時にそれぞれの貢献度に応じて公平に清算することです。
共有財産には、婚姻中に積み立てた預貯金、購入した不動産や車、株式や投資信託などが含まれ、多くの場合、別居時に存在したものが対象とされます。
専業主婦(主夫)として家事や育児を担うことも評価される
清算的財産分与における「協力」とは、夫または妻が外で働いて収入を得ることだけを指すものではありません。
専業主婦(主夫)として家事や育児を担うことも、配偶者が仕事に専念できる環境を整え、資産形成に貢献したと評価されます。
そのため、ほとんどの場合、収入の有無や多寡にかかわらず、財産形成への貢献度は原則として平等とみなされます。
清算的財産分与では、離婚の原因がどちらにあるか(有責性)は問われない
清算的財産分与では、離婚の原因がどちらにあるか(有責性)は問われないのも特徴です。
例えば、自分が不貞行為をして離婚原因を作ってしまった側も、清算的財産分与を請求する権利はあります。
あくまで、夫婦で築いた財産を公平に分ける手続きであるという点が、この制度の根幹にあるのです。
扶養的財産分与|離婚後の生活が困窮する場合の補助
扶養的財産分与とは、離婚によって夫婦の一方が経済的に困窮することになる場合、その生活を補助する目的で認められる財産分与です。
例えば、長年専業主婦(主夫)であったためすぐに職を見つけるのが難しい、小さな子どもがいる・病気や高齢などの理由で働くのが難しいなどのケースが想定されます。
ただし、扶養的財産分与が認められるためには、以下3つの要件を満たす必要があります。
- 離婚により一方が経済的に困窮すること
- 扶養を必要とする特別な事情があること
- 扶養を行う能力が他方にあること
そのため、清算的財産分与や慰謝料によって、当面の生活を維持できるだけの十分な財産を受け取れる場合には、扶養的財産分与は通常認められません。
慰謝料的財産分与|不貞行為など離婚原因への補償を含む
慰謝料的財産分与とは、離婚に際して発生する慰謝料請求権を、財産分与の額や割合の調整によって一括して解決する方法です。
本来は別々に請求できる財産分与と慰謝料を、実務上まとめて処理することで、手続きを簡略化できるメリットがあります。
本来、財産分与(夫婦の財産の清算)と慰謝料(精神的苦痛への賠償)は、法的に異なる制度であり、別々に請求可能です。
しかし、離婚という一つの出来事から生じる金銭問題であるため、実務上は両者を明確に区別せず、財産分与の金額や割合を調整することで、慰謝料の問題も一括で解決することがあります。
【一覧表】離婚の財産分与の対象になるもの・ならないもの
離婚時の財産分与対象となるのは、原則として「婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産(共有財産)」です。
一方で、夫婦の協力とは無関係に得た「特有財産」は対象外です。
財産分与の基準時は、原則として「夫婦の協力関係が終了した時点」とされ、多くの場合は別居時となります。
適切な財産分与に欠かせないのは、どの財産が分与の対象になるのかを正確に把握することです。以下の表を参考に、ご自身の財産状況を確認してみてください。
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財産の種類 |
対象かどうか |
判断基準や具体例 |
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預貯金・保険・有価証券 |
対象 |
・婚姻中に夫婦の協力で得たもの ・夫婦どちらの名義であるかは問わない |
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不動産・自動車 |
対象 |
・婚姻中に購入した家や車 |
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退職金・年金 |
対象 |
・婚姻期間に対応する部分 |
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夫婦の生活のための借金 |
対象 |
・住宅ローンやカーローンなど ・プラスの財産から差し引いて計算 |
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婚姻前からの財産 個人的に贈与された資産 |
対象外 |
・独身時代の貯金や親からの相続・贈与財産 |
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個人的な借金 |
対象外 |
・ギャンブルや浪費など個人的な目的の借金 |
財産分与の対象になるもの・ならないものについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>関連記事:【一覧表あり】財産分与の対象にならないものとは?見分け方や特有財産の主張方法を弁護士が解説
離婚の財産分与の割合はどのくらい?
財産分与の対象となる財産が確定したら、次は「どのような割合で分けるか」を考える必要があります。
分与割合は、離婚後の生活設計に直結する極めて重要な要素です。ここでは、分与割合の原則と例外について詳しく見ていきましょう。
専業主婦(主夫)でも共働きでも原則「2分の1」
財産分与は、裁判実務において「2分の1ずつ」とするルール(2分の1ルール)が確立されています。
これは、夫婦の一方が外で働き収入を得、もう一方が家事や育児を担うという役割分担であっても、財産の形成・維持に対する貢献度は等しいと評価されるためです。
例えば、夫の収入のみで家計を支え、妻が専業主婦として家事や子育てに専念していた場合でも、妻の貢献がなければ夫は仕事に集中できず、資産形成も困難だったと考えられます。
したがって、妻の貢献も金銭的な貢献と同等に評価され、原則として共有財産の2分の1を受け取る権利があります。
この考え方は、共働き夫婦の場合も同様で、収入に差があったとしても特別な事情がない限り分与割合は2分の1です。
婚姻期間が極端に短い場合や、一方の特別なスキル(医師や経営者など)により突出した高収入を得ており、貢献度に大きな差があると認められる場合は、2分の1ルールが修正される余地もあります。
ただし、実務上、例外が認められるのはごくまれです。
専業主婦への財産分与については、以下の記事で詳しく解説しています。
>関連記事:専業主婦に財産分与するのはおかしい?減額の余地や不公平にならない交渉ポイントを弁護士が解説
離婚の財産分与割合が変わるケース
「2分の1ルール」は、機械的に適用することがかえって不公平となる例外的なケースでは、その割合が修正されることがあります。
ただし、割合の変更が認められるケースは少なく、主に以下のような特殊な事情がある場合です。
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割合が変更される例 |
概要 |
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一方の特殊な資格や才能による資産形成があった |
資産形成に特別な個人的能力(トップクラスのプロスポーツ選手や上場会社の創始者など)が大きく寄与したと認められるケースのみ |
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一方の浪費により著しい財産の減少があった |
一方が、ギャンブルや過度な買い物などの浪費によって、共有財産を著しく減少させたことが明らかな場合 |
|
特有財産が資産形成に大きく寄与した |
婚姻前から持っていた預貯金や、相続した不動産の売却代金などを元手にして、婚姻中に大きな資産を築いた場合 |
当てはまる可能性があり、どの程度財産分与に影響する可能性があるかが気になる場合は、弁護士への相談をおすすめします。
借金や住宅ローンなどマイナスの財産の分け方
財産分与では、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、住宅ローンや生活のための借金といったマイナスの財産も清算の対象となります。
まず、夫婦の共同生活(住宅購入、子の教育費、生活費の補填など)のために生じた借金は、共有財産全体から差し引いて計算します。
例えば、プラスの財産が1000万円、生活のための借金が200万円ある場合、差し引き800万円が実質的な共有財産となり、これを2分の1ずつ(400万円ずつ)に分けるのが基本です。
住宅ローンが残っている不動産の場合は、その評価額とローン残高の関係によって扱いが変わります。
借金の財産分与については、以下の記事も合わせてご覧ください。
>関連記事:離婚時の財産分与で借金はどうなる?対象になる負債や借金しかないケースも解説【弁護士監修】
離婚における財産分与の進め方【4ステップ】
ここでは、その標準的な流れを4つのステップに分けて解説します。各段階で何を行うべきかを理解し、計画的に準備を進めましょう。
ステップ1:分与対象となる全財産のリストアップと評価額の算出
最初に行うのは、夫婦の共有財産をすべて洗い出すことです。
預貯金、不動産、生命保険、自動車、有価証券など、プラスの財産から住宅ローンなどのマイナスの財産まで漏れなくリストアップし、「財産目録」を作成しましょう。
財産の種類と、各財産の評価額の算出基準を以下にまとめています。
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種類 |
評価額の算出基準 |
| 預貯金 | 基準時(通常は別居時)の残高 |
| 不動産 | 不動産会社に査定を依頼した現在の評価額 |
| 生命保険 | 保険会社に確認した基準時の解約返戻金額 |
| 有価証券 | 基準時に保有していた株数に現在の株価をかけた額または、売却している場合には売却した額 |
ここで作成した財産目録が、今後のすべての交渉の土台となります。ご自身での財産評価が難しいと感じる場合は、弁護士に依頼することも検討しましょう。
離婚時の財産評価が難しいと感じる方は、丸の内ソレイユ法律事務所へぜひご相談ください。当事務所は年間900件以上ものご相談をいただく、離婚問題に精通した弁護士事務所です。
女性の初回相談は60分無料となっております。不安な点がある方は、ぜひ気軽にご相談ください。
ステップ2:夫婦間での話し合い(離婚協議)と離婚協議書の作成
財産の全体像が把握できたら、夫婦間でどのように分けるかを話し合います(離婚協議)。この段階で円満に合意できれば、時間的・精神的な負担が最も少なく済むでしょう。
協議で合意に至った場合は、その内容を必ず書面に残すことが重要です。口約束だけでは、後になって「言った、言わない」のトラブルになりかねません。合意内容をまとめた「離婚協議書」を作成し、双方が署名・押印します。
さらに、この離婚協議書は、公証役場で「公正証書」にしておくのがおすすめです。
公正証書に「強制執行認諾文言」という一文を加えておけば、万が一相手方が金銭の支払いを怠った場合でも、直ちに相手の給与や預貯金を差し押さえる「強制執行」の手続きが可能になります。(参照:法務省|公正証書によって強制執行をするには)
ステップ3:話がまとまらない場合は家庭裁判所で離婚調停を申し立て
夫婦間での話し合いで合意に至らない場合や、相手が話し合いに応じない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。手続きは、離婚前と離婚後で以下のように異なります。
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タイミング |
手続きの名称 |
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離婚前 |
夫婦関係調整調停(離婚調停) |
|
離婚後 |
財産分与請求調停 |
(参照:裁判所|夫婦関係調整調停(離婚)・裁判所|財産分与請求調停)
調停では、双方の主張を交互に聞き、合意形成を目指した話し合いが行われます。第三者が間に入るため、感情的な対立を避けられ、冷静に話し合いを進めやすいのは大きなメリットです。
なお、調停委員から法的な観点に基づいた助言や解決案が示されることもあります。
ステップ4:調停不成立の場合は離婚訴訟(財産分与審判)へ移行
調停でも合意に至らず「不成立」となった場合、手続きは次の段階に進みます。
|
タイミング |
次の手続き |
概要・注意点 |
|
離婚前 |
離婚訴訟 |
・家庭裁判所に提起する ・調停から自動的に移行するわけではない |
|
離婚後 |
財産分与審判 |
・自動的に移行するため申し立ては不要 ・裁判官が事情を考慮した上で、財産分与の方法を決定する |
(参照:裁判所|離婚)
訴訟や審判では、これまでの話し合いとは異なり、自らの主張が法的に正当であることを立証しなければなりません。
その際は「どの財産が共有財産か」を客観的に裏付ける証拠が極めて重要です。預金通帳のコピーや不動産の登記事項証明書、財産目録といった具体的な資料を揃えておくことで、主張の正当性を高めることができます。
どちらの手続きであっても、最終的には、裁判官が財産の分け方を判決や審判で命じることになります。
離婚の財産分与を有利に進めるために必要な2つの準備
財産分与は、ただ待っているだけでは有利な結果は得られません。ご自身の正当な権利を確保して交渉を有利に進めるためには、以下の準備が大切です。
- 別居前に相手の財産を正確に把握しておく
- 弁護士に相談する
これらの準備があるかどうかは、後の結果を大きく左右します。ぜひ把握しておきましょう。
1.別居前に相手の財産を正確に把握しておく
財産分与の請求は、分けるべき財産がどこにどれだけあるかを把握することから始まります。
特に相手が財産を隠そうとする可能性がある場合、同居している間にしか得られない情報が極めて重要です。
配偶者の財産を把握するには、以下2つの方法があります。
- 夫婦の共有財産をリストアップする
- 調停や裁判で裁判所に調査嘱託の申立てをする
それぞれの方法について、順番に説明します。
夫婦の共有財産をリストアップする
家庭内にある財産に関する資料をできる限り確認し、記録に残しましょう。
資料の例は、以下のとおりです。
- 預金通帳
- 保険証券
- 不動産の権利証(登記識別情報)
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 確定申告書の控え
- 株式や投資信託の取引報告書 など
原本の持ち出しが難しい場合は、スマートフォンで写真を撮ったりコピーを取ったりしておくだけでも大きな手がかりとなります。
調停や裁判で裁判所に調査嘱託の申立てをする
調停や訴訟といった裁判所の手続きでは、「調査嘱託」というより強力な調査方法を利用できます。これは、裁判所がその必要性を認めた場合に、裁判所の名前で金融機関や勤務先などに情報の開示を求める制度です。
裁判所からの正式な要請であり、回答義務があるとされるため、回答を得られやすい傾向にあります。そのため、退職金の額や隠し口座の存在を明らかにする際に、非常に有効です。
2.弁護士に相談する
財産分与を有利に進めるには、早い段階での弁護士相談がおすすめです。
専門家である弁護士は、法的な知識と交渉の経験を駆使して、離婚における財産分与を力強くサポートしてくれるでしょう。
例えば、財産分与において、相手に通帳の開示を求めるケースでは弁護士に相談することをおすすめします。
特に、相手が預金通帳の開示を頑なに拒否する場合、個人で対応するのは困難です。弁護士に依頼すれば、弁護士名で内容証明郵便を送付するなどして、開示を強く求める場合もあります。
なお、財産分与の請求権には離婚の成立から2年という期限がある点に注意が必要です。
「財産がどれだけあるか分からない」「相手が話し合いに協力的でない」と感じた時点で、できるだけ早く弁護士に相談しておくことをおすすめします。
丸の内ソレイユ法律事務所は、年間900件以上のご相談をいただく離婚問題に精通した弁護士事務所です。自力で財産分与を進めることに不安がある方は、無料相談を活用し、ぜひ早めにご相談ください。
離婚の財産分与における2つの注意点
財産分与の手続きを進める際は、以下2点に注意が必要です。
- 共有財産を無断で処分しない
- 請求期限内に手続きを進める
これら2つのルールは、「知らなかった」では済まされない重大な問題に発展する可能性もあります。ご自身の権利を守るために、必ず注意点を必ず押さえておきましょう。
1.共有財産を無断で処分しない
離婚協議中や別居中に、相手に知らせずに共有財産を勝手に処分(売却、費消など)する行為は避けるべきです。例えば、以下のようなケースが挙げられます。
- 夫婦の共有財産である預金を一方的に引き出して使う
- 自動車を勝手に売却する
このような行為は、相手に対する不信感につながります。その結果、話し合いが著しく困難になるケースもあります。
財産分与の計算においては、無断で処分された財産も「処分時に存在したもの」とみなして分与額を算定するのが原則です。
つまり、使い込んだ分も財産分与の対象となり、最終的に自分が受け取る分から差し引かれるなど、不利な結果を招くことになるのです。
逆に、相手が財産を処分しようとしている場合は、裁判所に「仮差押え」や「処分禁止の仮処分」を申し立て、財産を保全する法的手段も存在します。
2.請求期限内に手続きを進める
離婚の財産分与には、厳格な期間制限が設けられています。財産分与を請求できるのは、「離婚が成立した時から2年以内」です。(参照:裁判所|財産分与請求調停)
この期間は、法的には「除斥期間」と呼ばれ、一般的な「時効」とは性質が異なります。
時効は、請求(催告)などによって進行を止めたり(完成猶予)、リセットしたり(更新)できますが、除斥期間には一切認められません。
離婚成立から2年が経過すれば、財産分与を請求することはできなくなってしまうのです。
「離婚後にゆっくり話し合えばいい」と考えていると、相手が話し合いを引き延ばしているうちに2年が経過し、手遅れになりかねません。
離婚後に財産分与の話し合いをしようと考えている方は、手続きを早めに始めることを強くおすすめします。
離婚時の財産分与を弁護士に依頼する3つのメリット
離婚時の財産分与は、一人で抱え込まずに専門家である弁護士に依頼すると以下のメリットを得られます。
- 精神的な負担が大幅に軽減される
- 法的に有利な条件で交渉を進められる
- 隠された財産の調査や複雑な手続きを任せられる
離婚時の財産分与は、法律の知識や交渉の経験が結果を大きく左右します。それぞれのメリットについて、順番にみていきましょう。
1.精神的な負担が大幅に軽減される
離婚の話し合いは、精神的に大きなストレスがかかります。特に財産の問題が絡むケースでは、感情的な対立が激化しがちです。
弁護士に依頼すれば、相手方との交渉窓口をすべて任せることができ、直接相手と話す必要がなくなります。
その結果、感情的な消耗を避け、冷静に自身の生活再建に集中することが可能になります。法的な手続きの煩雑さからも解放され、精神的な平穏を保ちながら離婚問題を進めることができるのは、非常に大きなメリットです。
2.法的に有利な条件で交渉を進められる
財産分与には、対象財産の範囲、評価方法、分与割合の例外など、多くの法的な論点が含まれます。専門的な知識を持たずに交渉をすると、本来得られるはずであった権利を得られない可能性も否定できません。
弁護士は、最新の法律や裁判例に基づき、ご自身の持つ正当な権利を的確に主張します。
また、相手方が提示する不当な要求に対しては、法的な根拠をもって反論し、見落とされがちな財産(退職金など)も漏れなく分与対象に含めるよう対応します。
実際に、当初は相手から不当な財産分与や解決金を求められていたケースでも、弁護士が相手の不貞行為(有責性)を証明した結果、有利な条件で離婚が成立した事例もあります。
専門知識に裏付けされた交渉を行うことで、ご自身だけで進めるよりも有利な条件で財産分与を成立させられる可能性を高められるでしょう。
3.隠された財産の調査や複雑な手続きを任せられる
相手が財産を隠している疑いがある場合、個人がその全容を解明するのは極めて困難です。
弁護士は、調査嘱託といった法的な手続を用いて、預金口座や保険、不動産などの調査を行います。これにより隠された財産を発見し、正当な分与を求めることが可能になることもあります。
また、調停や訴訟の申立て、主張をまとめた書面の作成、裁判所への出廷など、複雑で専門的な手続きをすべて一任できるため、時間と労力を大幅に節約できるのもメリットといえるでしょう。
離婚時の財産分与手続きや交渉に不安がある方は、離婚問題に精通している丸の内ソレイユ法律事務所までご相談ください。当事務所は離婚・男女問題に特化しており、経験豊富な弁護士チームが離婚に関わるさまざまなトラブル解決をお手伝いいたします。
離婚の財産分与に関するよくある質問
離婚での財産分与に税金の支払いや確定申告は必要ですか?
原則として、財産分与を受け取る側には贈与税はかからず、確定申告も必要ありません。これは財産分与が贈与ではなく、夫婦の共有財産を清算する手続きと見なされるためです。
ただし、分与された財産の額が社会通念上あまりに多すぎる場合や、贈与税・相続税を逃れるための偽装離婚と判断された場合には、例外的に贈与税が課されることがあります。(参照:国税庁|No.4414 離婚して財産をもらったとき)
ローンありの家がある場合離婚時の財産分与はどうなりますか?
住宅ローンが残っている家の財産分与は、家の評価額とローン残高のどちらが大きいかによって扱いが変わります。
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ローンの状態 |
扱い |
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アンダーローン(家の価値>ローン残高) |
・財産分与の対象になります ・対象になるのは、家の評価額からローン残高を差し引いたプラスの金額です |
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オーバーローン(家の価値<ローン残高) |
・財産的価値はゼロとみなされ、家自体は分与の対象にならないこともあります ・残ったローンは原則として名義人が返済義務を負います |
住宅ローンについて特に注意すべきは、主債務者が元配偶者でご自身が「連帯保証人」であるケースです。
離婚しても、連帯保証人の義務は自動的には消えません。そのため、ローン返済を滞納した場合、金融機関は連帯保証人に返済を請求します。このリスクを解消するためには、金融機関の承諾を得て連帯保証人から外れる、住宅ローンを借り換えるなどの手続きが必要です。
不動産の財産分与については、以下の記事で詳しく解説しています。
>関連記事:離婚の財産分与で家はどうなる?住宅ローンの扱いや住み続ける方法・注意点を弁護士が解説
離婚後に相手が財産分与を払わない場合どうなりますか?
財産分与の約束が守られない場合の対処法は、その約束をどのような形で取り決めたかによります。
ご自身の状況がどちらに当てはまるか、下記の表でご確認ください。
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状況 |
対応 |
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公正証書(強制執行認諾文言付き)や調停調書・判決などがある場合 |
これらの書類は「債務名義」となり、裁相手の給与や預貯金などを差し押さえる「強制執行」が可能 |
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当事者間で作成した合意書や口約束しかない場合 |
・法的な強制力がないため、すぐに強制執行はできない ・まずは地方裁判所に取立をするための訴訟提起をして債務名義を獲得する必要がある。 |
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合意がない場合 |
財産分与に関する協議や調停の申立てをする |
確実に財産分与を受けるために、決まった約束は強制執行許諾文言付公正証書にしておくことをおすすめします。もし、すでに口約束などで済ませた支払いが滞っている場合は、地方裁判所に財産分与に関する合意に違反があることを理由として、支払いを求める裁判をおこしましょう。また、そもそも財産分与に関する合意がない場合には相手方と合意をするか、調停の申立てをすることになります。
離婚の財産分与と慰謝料は何が違う?
財産分与と慰謝料には、以下のような違いがあります。
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項目 |
財産分与 |
慰謝料 |
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目的 |
夫婦の共有財産の清算 |
精神的苦痛への賠償 |
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発生する状況 |
離婚する夫婦であれば原因を問わず発生 |
一方に離婚原因を作った責任(有責性)がある場合にのみ発生 |
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請求権者 |
夫婦双方から相手に対して請求 |
原因を作った有責配偶者に対してのみ請求 |
請求しようとしているものが財産分与と慰謝料のどちらであるかを理解しておきましょう。
なお、財産分与において「慰謝料的財産分与」を行う場合は、慰謝料と財産分与両方の側面を持つことになります。
手続きが一度で済むのはメリットですが、慰謝料としての金額が曖昧になりやすいデメリットがあります。
合意の際は、財産分与と慰謝料の内訳を明確にしておきましょう。
まとめ|離婚の財産分与手続きは弁護士に相談して進めよう
財産分与は、婚姻生活への貢献を正当に評価し、離婚後の人生を経済的に安定させるための重要な権利です。しかし、財産が関係する話し合いは難航しやすく、権利を最大限に得るための証拠をそろえるのが難しいケースは少なくありません。
弁護士に依頼すれば、専門的な知識を持って公正かつ最大限に有利な解決が可能です。「どのように手続きを進めたらいいか分からない」「忙しいため、配偶者の持つ財産を確認するのが難しい」などの方は、弁護士への相談をおすすめします。
離婚時の財産分与に関する手続きや交渉でお悩みの方は、離婚問題に強い丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。
あなたの新たなスタートを、法的な側面から全力でサポートします。まずはお気軽にご連絡ください。
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- 離婚の話し合いをするに当たって、直近ですべきことがわかるようになります
- 将来の経済的な生活設計(経済面、子どもの養育面など)を視野に入れた上で、
ご相談者様にとって最適の方法をご提案します。 - ご相談者のお話を丁寧に聞き、「心」の満足を得ていただくことができます







