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【弁護士監修】熟年離婚は事前の準備が大切!知っておきたいお金・生活の準備を徹底解説

【弁護士監修】熟年離婚は事前の準備が大切!知っておきたいお金・生活の準備を徹底解説

「長年連れ添った夫と離婚したいけれど、この先の生活を考えると不安…」
「離婚を考えているけど、一体何から手をつけていいのか見当もつかない」
長年の結婚生活に終止符を打つ決断は、大きな勇気が必要ですよね。特に熟年離婚は、若い世代の離婚とは異なり、財産関係の複雑さや離婚後の人生設計など、課題が多く存在します。
この記事では、弁護士監修のもと、熟年離婚で後悔しないために不可欠な事前の準備について、お金と生活の両面から具体的に解説します。

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この記事を読むことで、熟年離婚に向けた具体的な道筋が明確になり、経済的な不安や将来への漠然とした不安を解消できます。感情的に離婚せず、計画的に準備を進めていきましょう。

熟年離婚に関するお悩みや法的な手続きに不安がある方は、ぜひ「丸の内ソレイユ法律事務所」にご相談ください。経験豊富な弁護士が、あなたの新たな一歩を力強くサポートします。

熟年離婚にこそ事前の準備が大切な理由

熟年離婚において事前の準備が重要なのは、経済的基盤を確立し、精神的に安定した第二の人生をスタートさせるためです。婚姻期間が長いほど、退職金や年金など複雑な共有財産が増えます。準備が不十分だと、本来受け取れるはずの財産を失い、離婚後に経済的に困窮するリスクが高まります。

また、離婚後の生活設計を具体的に想定していないと、いざ一人になった際に社会的な孤立や精神的な不安で悩むことにもなりかねません。冷静なうちに準備を進めることが、後悔しない選択につながります。

>関連記事:【弁護士監修】熟年離婚は事前の準備が大切!知っておきたいお金・生活の準備を徹底解説

【やることリスト】後悔しない熟年離婚のために必要な準備

「何から手をつければいいの?」という疑問に答えるため、まずは熟年離婚でやるべき準備の全体像をリストアップしました。

  • 老後も見据えて経済的なシミュレーションをする
  • 離婚後の生活を具体的にシミュレーションする
  • 共有財産を正確に把握・リスト化する
  • 年金分割の仕組みについて理解する
  • 慰謝料請求のための証拠を集める
  • 離婚後の住まいと仕事の目処を立てる
  • 離婚の切り出し方とタイミングを計画する
  • 子どもや親族など、周囲への伝え方を考える

離婚を切り出す前に、これらの項目を一つひとつ着実に進めていくことが、交渉を有利に進め、スムーズな離婚成立への近道となります。感情的にならず、計画的に行動を開始しましょう。

1.老後も見据えて経済的なシミュレーションをする

熟年離婚では、離婚後の生活だけでなく老後の暮らしまで考えることが大切です。離婚によって年金の分割や生活費の負担がどう変わるのか、住宅費・医療費・介護費用を含めてシミュレーションしておきましょう。具体的には、以下のような想定収支を洗い出し、ライフプランを作るのがおすすめです。

  • 離婚後の収入
  • 毎月の生活費
  • 将来かかる大きな出費

弁護士やファイナンシャルプランナーに相談すれば、年金分割や財産分与を踏まえた現実的なプランを立てることができます。準備段階で明確化すると、「本当に離婚してもやっていけるか?」が冷静に判断でき、後悔のない選択につながります。

2.離婚後の生活を具体的にシミュレーションする

離婚後にどんな暮らしを送るかを具体的にイメージしておくと、必要なお金や準備すべきことが明確になります。

  • 住まいを決める:持ち家に住み続けるか、賃貸に引っ越すかを検討
  • 収入を確認する:仕事、年金、貯蓄で生活をまかなえるかチェック
  • 生活費を見積もる:食費や光熱費、通信費など毎月の支出を計算

以上のような項目を洗い出し、1か月単位・1年単位で試算してみましょう。現実的な数字を把握することで、財産分与や年金分割でどれくらい必要か、離婚後も安心して暮らせるかが判断しやすくなります。

3.共有財産を正確に把握・リスト化する

適正な財産分与を実現するためには、共有財産を正確に把握することが不可欠です。共有財産とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産であり、預貯金、不動産、生命保険、有価証券、自動車などが含まれます。

名義がどちらか一方でも、多くは共有財産とみなされます。退職金や企業年金も分与の対象となり得ます。

通帳のコピー、不動産の登記事項証明書、保険証券など、財産の存在を証明する資料を集めておきましょう。財産隠しを防ぐためにも、離婚を切り出す前に秘密裏に進めるのが賢明です。

4.年金分割の仕組みについて理解する

年金分割は、熟年離婚後の生活、特に老後の経済基盤を支える上で、無くてはならない制度です。年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金(または共済年金)の保険料納付実績を、夫婦で分割できる仕組みを指します。

分割割合は、夫婦間の合意で決めますが、合意できない場合は裁判所が原則として2分の1と定めます。専業主婦(主夫)にとっては、生命線となり得る制度です。

参照:厚生労働省|年金分割

まずは最寄りの年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得し、対象となる年金額を確認しましょう。離婚が成立した日の翌日から2年以内に手続きを行う必要があるため、期限にも注意が必要です。

以下の記事で離婚後の年金分割について詳しく解説しています。

関連記事:離婚の際の年金分割

5.慰謝料請求のための証拠を集める

慰謝料は、離婚すれば必ずもらえるものではありません。相手の不貞行為(浮気・不倫)やDV・モラハラといった不法行為によって、精神的苦痛を受けた場合に限り請求できる金銭です。

慰謝料請求には、不法行為を客観的に証明する証拠が不可欠です。例えば、不貞行為であれば、配偶者と浮気相手の肉体関係を示す写真やメール、探偵の調査報告書などが有効です。

DVやモラハラの場合は、医師の診断書、怪我の写真、暴言の録音データ、詳細な日記などが証拠となり得ます。感情的な訴えだけでは認められないため、冷静に証拠を収集することが求められます。

慰謝料に関する詳しい内容は以下の記事でも解説しています。

関連記事:離婚と慰謝料

6.離婚後の住まいと仕事の目処を立てる

離婚後の生活基盤を固める上で、住居の確保と収入源の確立は最優先です。住まいについては、現在の家を出て賃貸物件を探すのか、財産分与で家を取得するのか、あるいは実家に戻るのかなど、複数の選択肢を検討し、それぞれのメリット・デメリットを比較しましょう。

賃貸物件を借りる場合、安定した収入や一定の貯蓄がないと審査を通過するのが難しいこともあります。新しい生活を始めるためにも、家計の見通しを立て、早めに収入の確保に向けた準備を進めましょう。

仕事については、特に専業主婦(主夫)は、早めに就職活動を始めることが肝心です。ハローワークや地域の就労支援センター、女性の再就職をサポートするサービスなどを積極的に活用し、経済的自立への道筋を立ててください。資格取得やスキルアップも、将来の安定に繋がる有効な投資です。

7.離婚の切り出し方とタイミングを計画する

全ての準備が整う前に、感情的に離婚を切り出すのは避けるべきです。相手に離婚の意思を伝えるタイミングと方法は、その後の交渉の行方を大きく左右するため、戦略的に計画する必要があります。財産調査や生活基盤の目処が立つなど、こちら側の準備がある程度完了した段階で切り出すのが理想的です。

相手が冷静に話を聞ける時間と場所を選び、感情的な非難は避け、離婚したいという意思を毅然と伝えましょう。離婚の条件など具体的な話し合いは、後日改めて時間を設けるなど、段階を踏んで進める方がスムーズに進むことが多いです。

8.子どもや親族など、周囲への伝え方を考える

離婚は夫婦だけの問題ではなく、子どもや親族など、周囲の人間関係にも大きな影響を及ぼします。特に、子どもがすでに成人している場合でも、両親の離婚は精神的なショックを受けるものです。子どもたちには、夫婦で話し合った上で、誠実な言葉で事実を伝えるように心がけましょう。

どちらか一方を悪者にするような伝え方は、子どもを深く傷つけ、将来の関係にも悪影響を及ぼしかねません。また、双方の親や兄弟姉妹にどのタイミングで、どのように伝えるかも事前に話し合っておくことで、無用なトラブルを避けることができます。

【経済面の準備】熟年離婚をする際に押さえておきたいお金のこと

熟年離婚の成否は、経済的な準備で決まると言っても過言ではありません。長年の婚姻生活で形成された資産をいかに公平に分けるか、そして離婚後の生活資金をいかに確保するかが焦点となります。

  • 財産分与の準備
  • 年金分割の準備
  • 慰謝料の準備

それぞれ具体的に何をすべきかを詳しく見ていきましょう。

財産分与の準備

財産分与は、離婚に際して最も大きな金額が動く可能性のある項目です。婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げた財産を、原則として2分の1の割合で分け合います。令和元年司法統計によると、「離婚」に関する調停成立または調停に代わる審判事件のうち、財産分与の支払い額を婚姻期間別にまとめたデータがあります(※総額が確定せず算定できないものや、財産分与の取り決め自体を行わなかったケースは除外されています)。

この統計を見ると、財産分与をめぐる調停や審判は、婚姻期間が20年以上の夫婦に多く発生していることがわかります。

支払い金額の傾向としては、婚姻から5〜10年未満の場合は100万円以下の財産分与にとどまるケースが大半を占めますが、20年以上のいわゆる「熟年夫婦」では、1,000万円近い、あるいは1,000万円を超える財産分与が行われる例も珍しくありません。

実際に、4〜5組に1組は1,000万円以上の財産を受け取っているという結果が示されています。準備を怠ると、数百万円、場合によっては数千万円単位の損をする可能性もあるため、慎重に進めなければなりません。

財産の種類

評価方法の例

必要な資料

預貯金

基準日時点の残高

  • 通帳のコピー
  • 残高証明書

不動産

不動産業者の査定額

  • 不動産業者の査定書
  • 不動産鑑定書

生命保険

基準日時点での解約返戻金相当額

  • 保険証券
  • 解約返戻金額証明書

有価証券(株式など)

離婚時あるいは離婚後の審判時の時価

  • 取引残高報告書
  • 離婚時あるいは離婚後の審判時の相場を示す評価資料

自動車

中古車販売業者の査定額

  • 車検証
  • 業者の査定資料
  • レッドブック

退職金

基準時において自己都合退職をしたと仮定した場合の試算支払額

  • 勤務先が発行する試算書
  • 就業規則
  • 退職金規程

対象となる財産を把握する

まずは、何が財産分与の対象になるのかを正確に理解しましょう。対象となるのは婚姻中に得たほぼ全ての財産であり、主なところでは以下のとおりです。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 生命保険の解約返戻金
  • 株式などの有価証券
  • 自動車
  • 将来受け取る予定の退職金
  • ストックオプション
  • 企業年金
  • 会社持分 など

たとえ夫名義の預金や不動産であっても、それが婚姻中に得たものであれば共有財産となります。一方で、親から相続した遺産や、結婚前に持っていた預金などは「特有財産」とされ、原則として分与の対象外です。これらの財産をリストアップし、漏れがないか徹底的に確認してください。

>関連記事:【一覧表あり】財産分与の対象にならないものとは?見分け方や特有財産の主張方法を弁護士が解説

評価方法を確認する

財産のリストアップが終わったら、それぞれの財産を金銭的に評価する必要があります。原則として、数量は別居時点、離婚後に財産分与をする場合を除いて評価は離婚時点を基準にするのが一般的です。

  • 預貯金:数量(残高)は別居時点、評価も同時点の金額で考えます。
  • 不動産:数量(持分など)は変わらないため、離婚時点の固定資産税評価額や不動産業者の査定額をもとに評価します。
  • 生命保険:別居時点で契約内容を確定し、離婚時点の解約返戻金相当額を基準に評価します(変額保険の場合は例外あり)。
  • 株式:銘柄や保有数量は別居時点で固定し、離婚時点の時価を用いて評価します。

不動産のように評価額が変動するものは、夫婦間で評価方法について合意できない場合、鑑定が必要になることもあります。客観的な資料に基づき、適正な評価額を算出することが重要です。

年金分割の準備

年金分割とは、離婚時に婚姻期間中の年金記録を夫婦で分け、それぞれの記録に反映できる制度です。老後の生活設計において、年金は非常に重要な収入源です。特に長年専業主婦(主夫)として家庭を支えてきた方にとって、年金分割は必ず押さえておくべき制度といえます。

離婚したら自動で行われるわけではなく、夫婦の一方または双方が必要書類を持って年金事務所で手続きする必要があります。請求期限を過ぎると分割できなくなるため、早めの対応が大切です。確実な手続きのために、離婚前から準備を進めましょう。

分割の対象となる年金を確認する

年金分割の対象となるのは、婚姻期間に対応する厚生年金および共済年金の部分です。また、分割されるのはあくまで「保険料の納付実績」であり、将来受け取る年金額そのものが単純に半分になるわけではない点に注意が必要です。

一方、分割対象外となる年金は以下の通りです。

年金分割の対象となる年金

  • 厚生年金
  • 共済年金

年金分割の対象にならない年金

  • 国民年金
  • 国民年金基金
  • 確定給付企業年金(DB)
  • 確定拠出年金(DC)
  • 個人型年金(iDeCo)

配偶者が自営業やフリーランスの場合、夫婦ともに国民年金に加入し、それぞれが保険料を納めます。国民年金は保険料も年金額も同額であるため、年金分割の対象にはなりません。

情報通知書を請求する

年金分割の話し合いや手続きを進めるためには、まず「年金分割のための情報通知書」を年金事務所から取り寄せる必要があります。

通知書を見れば、按分割合を計算するための基礎情報が分かり、離婚協議の際に具体的な話し合いを進めることができます。請求は離婚前後に関わらず夫婦どちらからでも可能です。

情報通知書の請求には、相手の基礎年金番号や生年月日、婚姻期間などを記載した「情報提供請求書」を作成し、年金手帳や基礎年金番号通知書、戸籍謄本など必要書類を準備します。事実婚の場合は関係を証明する書類も用意し、住所地を管轄する年金事務所に持参または郵送で請求します。

情報通知書が届くまでには1〜4週間ほどかかるため、前もって対応しましょう。

参照:日本年金機構|離婚時に年金分割するとき

分割請求の期限と手続きを把握する

年金分割の請求には、離婚日の翌日から2年という期限が設けられており、この期間を過ぎると請求できなくなるため注意が必要です。

ただし例外として、離婚後に相手が死亡した場合は、死亡日から1か月に短縮され、過ぎると請求できなくなります。

また、離婚翌日から2年以内に分割割合を決める調停や審判を申し立てていれば、結果が出るのが2年を過ぎた場合でも、結果が確定した日の翌日から6か月以内であれば年金分割の請求が可能です。

さらに、今後の法改正により、この請求期限が「5年」に延長される予定です。改正が施行されると、離婚から一定の時間が経過しても請求できるようになる見込みのため、今後の動向にも注意しておくとよいでしょう。

慰謝料の準備

慰謝料は、相手の有責な行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。性格の不一致など、どちらか一方に明確な非がない理由での離婚では、原則として慰謝料は発生しません。慰謝料を請求するには、相手の非を証明するための客観的な証拠が不可欠です。

離婚原因

有力となる証拠

不貞行為(浮気・不倫)

  • 配偶者のスマートフォンに収められている不倫相手の裸の写真
  • 性交渉があったことを伺わせるメール・SNS等のやり取り
  • 配偶者と不倫相手がホテルに出入りする場面を撮った写真
  • ラブホテルの領収書

DV(身体的暴力)

  • 怪我の写真
  • 医師の診断書
  • 暴力を記録した映像や音声
  • 警察への相談記録

モラハラ(精神的暴力)

  • 暴言を記録した音声データや詳細を記録した日記
  • 心療内科の診断書
  • 第三者(親族や知人)への相談メールや録音など

不貞行為があったと認められる条件を確認する

不貞行為とは、結婚している相手以外の第三者と浮気や不倫関係になることを指します。どの行為を浮気とみなすかは人によって解釈が異なりますが、慰謝料を請求する訴訟では、性行為やそれに類似する行為(裸で抱き合う、一緒に入浴するなど)があったと証明できれば、不貞行為として慰謝料請求が可能です。

不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合、配偶者以外の異性と肉体関係があったことを証明する必要があります。肉体関係のないプラトニックな関係では、不貞行為として認められない可能性が高いです。以下のようなものが有力な証拠として扱われます。

  • 配偶者のスマートフォンに収められている不倫相手の裸の写真
  • 性交渉があったことを伺わせるメール・SNS等のやり取り
  • 配偶者と不倫相手がホテルに出入りする場面を撮った写真
  • ラブホテルの領収書

感情的に相手を問い詰める前に、まずは冷静に証拠を確保することが肝心です。

DVやモラハラがあったと認められる条件を確認する

DVは「ドメスティック・バイオレンス」の略で、夫婦や親密な関係の相手から殴る・蹴るなどの身体的暴力を指します。

モラハラは「モラルハラスメント」の略で、言葉や態度による精神的な嫌がらせのことです。夫婦間だけでなく嫁姑間でも起こり得ます。夫が姑のモラハラを放置し、婚姻生活の継続が困難な状態であれば、夫や姑に慰謝料を請求できる可能性があります。

DV・モラハラで慰謝料請求するためには、以下のようなものが証拠としては有力です。

  • 暴力や暴言を記録した映像や音源
  • 暴力によって負った怪我の診断書
  • 暴力や暴言の内容、行われた日付等を記録した日記

DVの場合は、暴言や暴力が、社会通念上許される範囲を超えており、それによって婚姻関係が破綻したと認められる必要があります。

参照:内閣府男女共同参画局|支援の関係機関

【生活面の準備】熟年離婚後の生活基盤を整えるために大切なこと

お金の準備と並行して、離婚後の新しい生活そのものを具体的に構築していく準備も欠かせません。経済的な安定はもちろん、精神的な充足感を得て、豊かなセカンドライフを送るための土台作りが重要です。住まい、仕事、公的制度の活用、そして人との繋がりという観点から、生活基盤を整えていきましょう。

1.住まいを確保する

離婚後の住まいは、費用や将来の生活を考えて無理のない方法を選ぶことが大切です。住まいの選択によって固定資産税や家賃、引っ越し費用などの負担が変わり、老後の暮らしにも影響するためです。熟年離婚後の住まいには、以下3つの選択肢が考えられます。

  • 離婚前の住居に住み続ける
  • 実家に戻る
  • 賃貸住宅を借りる

自宅を財産分与でもらえば住み慣れた家にそのまま住めますが、固定資産税や管理費、地震保険などの維持費がかかり、住宅ローンが残る場合もあります。自宅を売却しない限り生活保護は受けられません。実家に帰る場合も、病院への通いやすさや将来車を運転できなくなる可能性、相続後の税金や維持費を考えておく必要があります。

賃貸を借りるなら引っ越し費用や更新料がかかる一方で、公営住宅や高齢者向け賃貸では家賃補助を受けられるケースもあります。このようにそれぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあるため、事前に費用を算出し、入居の可否も確認したうえで、収支のバランスを見ながら自分や家族にとって最適な住まいを選ぶことが重要です。

2.経済的自立を目指すために就職や転職の準備をする

財産分与や年金だけでは、将来の生活費をすべて賄うことが難しい場合も少なくありません。特に専業主婦(主夫)は、経済的な自立を目指して就労の準備を進めることが重要です。

まずは、ハローワークやシルバー人材センター、自治体が運営する女性の再就職支援窓口などに相談してみましょう。長年のブランクがあっても、これまでの主婦(主夫)としての経験が活かせる仕事は数多く存在します。

必要であれば、パソコンスキルを学ぶ、介護系の資格を取得するなど、再就職に有利なスキルを身につけるための自己投資も検討する価値があります。

参照:厚生労働省|ハローワーク

3.離婚後の健康保険や公的支援制度を調べる

離婚すると、配偶者の扶養から外れるため健康保険や年金の切り替えが必要です。国民健康保険への加入や、成人した子どもの扶養に入るなどの選択肢があり、保険料も変わるため事前に役所で確認しておきましょう。

また、熟年離婚後の生活に不安がある場合は、公的支援制度が利用できる場合があります。児童扶養手当や生活福祉資金貸付、ひとり親家庭の医療費助成などが代表的です。これらは一時的な支援にとどまる場合もありますが、離婚後の生活再建や経済的自立までの大きな助けになります。離婚前に制度を調べ、最新情報を自治体窓口や弁護士に確認しておくと安心です。

参照:こども家庭庁|ひとり親家庭等関係

4.孤独を感じないために子どもや友人との関係を築く

長年連れ添ったパートナーと別れることで、特に定年退職後などは、社会との繋がりが希薄になり、強い孤独を感じることがあります。人との交流がないと、体調を崩したときに頼れる相手がいないだけでなく、認知機能の低下や認知症のリスクも高まります。孤独を感じないよう暮らすためには、離婚前から友人や知人とのつながりを持ち、離婚後も頼れる関係を築いておくことが大切です。

新たに交友関係を作るのが難しいと感じる場合は、地域の行事や町内会などに参加してみましょう。市区町村のホームページには講演会や講座、体験イベントなど住民向けの情報が掲載されています。こうした場に参加することで共通の趣味を持つ人と出会い、熟年離婚後の新しい友人づくりにつながる可能性があります。

 熟年離婚の準備はいつから始めるべきか

離婚準備に必要な期間は事情により異なりますが、一般的には6か月〜1年程度とされています。離婚届を出せば形式的にはすぐ成立しますが、財産分与や年金分割、慰謝料、親権や養育費など、将来の生活に直結する重要事項を整理する必要があるため、十分な準備が欠かせません。

特に熟年離婚では資産規模が大きくなる傾向があり、一度の合意が大きな影響を及ぼします。女性は生活費や老後資金の確保、男性は親権を得るための養育実績づくりなど、立場に応じた準備も必要です。

子どもの自立や夫の定年退職を機に離婚を考える場合、少なくとも1年前から資金計画や生活設計を整えておくのが望ましいでしょう。後悔を避けるためには、離婚を切り出す前から計画的に備えることが不可欠です。

熟年離婚の準備は弁護士に相談すべき?メリットを解説

熟年離婚は財産関係が複雑になりがちで、当事者同士の話し合いだけでは感情的に対立してしまい、解決が長引くことも少なくありません。そのような場合は、法律の専門家である弁護士に相談すると良いでしょう。ここでは、弁護士に依頼する具体的なメリットを解説します。

  • 複雑な手続きを一任できる
  • 適正な財産分与・年金分割を実現できる
  • 交渉や手続きの精神的・時間的負担を大幅に軽減できる
  • 手がかりがあれば相手の財産調査ができる

自分一人で抱え込まず、専門家の力を借りることで、より有利かつ円満な解決を目指すことができます。

1.複雑な手続きを一任できる

財産分与の計算、不動産の評価、年金分割の請求、慰謝料の算定など、熟年離婚には複雑な手続きがいくつも必要です。弁護士に依頼すれば、これらの法的手続きをすべて正確かつ迅速に進めてもらえます。

特に、相手との交渉が難航し、調停や訴訟に発展した場合、申立書の作成や裁判所への出廷といった対応もすべて任せることができる点も魅力的です。専門的な手続きを全て弁護士に任せることができれば、就職活動や資格取得など、新しい生活の準備に集中することが可能です。

2.適正な財産分与・年金分割を実現できる

離婚のそれぞれの条件には法律や裁判例、実務の積み重ねによって形成された「適正な水準」が存在します。この相場を知らないまま条件を決めてしまうと、どちらか一方が大きな不利益を被る結果になりかねません。

たとえば、財産分与の割合が不当に低かったり、養育費が相場よりも少なく設定されてしまったりすると、離婚後の生活が想定以上に苦しくなる可能性もあります。弁護士に相談すれば、各離婚条件の適正水準を明確に把握でき、相手の提示する条件が合理的かどうかを冷静に判断できるようになります。

その結果、不当に不利な条件を飲まされるリスクを回避でき、納得感のある離婚を実現しやすくなるのです。

3.交渉や手続きの精神的・時間的負担を大幅に軽減できる

離婚協議では、長年連れ添った相手と財産やお金について直接対峙しなければならず、これは想像以上に大きな精神的ストレスとなります。弁護士が代理人として交渉の窓口となることで、相手と顔を合わせる精神的な負担から解放されます。

また、冷静かつ論理的に交渉を進めるため、感情的な対立を避け、話し合いがスムーズに進展しやすくなるというメリットもあります。時間的な制約がある方にとっても、専門家に任せることで大幅な時間短縮に繋がります。

4.手がかりがあれば相手の財産調査ができる

離婚を有利に進めようと、相手が預貯金や有価証券などの財産を隠してしまうケースは残念ながら少なくありません。弁護士に相談すれば、わずかな手がかりからでも調査の糸口を見つけることができます。

たとえば、過去の通帳のコピー、給与明細、確定申告書、住宅ローンの明細など、少しでも情報があれば、そこから預貯金や証券口座、不動産などの存在を推測できます。弁護士は必要に応じて弁護士会照会や裁判所への調査嘱託申立て、文書提出命令申立て、調停・審判を活用し、隠された財産も含めて適切に分与されるようサポートしてくれます。

早めに相談することで、離婚前に証拠を確保でき、財産分与の取りこぼしを防ぐことにつながります。

準備の進め方を弁護士に相談するタイミング

「まだ揉めてもいないのに弁護士へ相談するのは大げさでは?」と思う方も多いかもしれません。しかし、離婚問題における弁護士相談のベストなタイミングは、相手に離婚を切り出す前だと言われています。離婚で希望通りの結果を得るためには、事前の準備が極めて重要であり、相手に気づかれる前にアドバイスを受けておくことで、大きなメリットが得られます。

相談と依頼は必ずしも同時である必要はありません。多くのケースでは、まず事前に相談をして方向性を確認し、実際に弁護士へ依頼するのは別居を始めるタイミングが多く見られます。同居中に「今後は弁護士を通してください」と伝えるのは現実的に難しく、かえってトラブルが悪化する可能性もあるためです。

また、初めは弁護士のアドバイスを参考に自分で交渉や調停を進め、話し合いが行き詰まった段階で弁護士に正式に依頼するケースも少なくありません。最終的に裁判に発展した場合には、ほとんどの方が弁護士に依頼しています。

ただし、以下のような場合には、できるだけ早期に依頼することが望ましいでしょう。

  • 相手がすでに弁護士を立てている
  • 相手から調停や裁判を申し立てられた
  • 相手が話し合いに応じない
  • DVやモラハラを受けている

熟年離婚の準備に関するよくある質問

相手の財産を全て把握できない場合は財産分与の対象外となってしまうのでしょうか?

隠されている財産でも、婚姻中に築いたものであれば財産分与の対象になります。ただし、こちらが把握できない財産は、証拠として裁判所に提示できないため分与に反映されません。

離婚前の段階では、通常「離婚調停」を申し立て、その中で財産分与の話し合いを行います。相手が協力せず情報が得られない場合、調停や訴訟の中で裁判所に「調査嘱託」を求め、金融機関などから財産の情報を取り寄せてもらう方法もあります。

一方、すでに離婚が成立している場合には、「財産分与調停」や「財産分与審判」を申し立てて手続きを進めます。

財産分与の請求は離婚から2年以内(5年に延長予定)に行う必要があるため、早めに調査・対応することが重要です。

相手に内緒で準備を進めても問題ない?

相手に離婚を知らせる義務などは一切なく、むしろ相手に知られずに準備を進めることでスムーズに離婚を進められる場合もあります。離婚を切り出す前に共有財産の全体像を把握しておくことで、相手による財産隠しを防ぐことができるためです。

慰謝料請求をする場合は、証拠収集は相手に警戒される前に行う方がスムーズです。ただし、相手のパソコンを無断で操作したり、違法な手段で情報を得たりすることはトラブルの原因となるため避けるべきです。法に触れない範囲で、冷静に準備を進めましょう。

離婚準備にはどれくらいの期間がかかる?

個人差がありますが、準備開始から離婚成立まで、短くても半年、長ければ数年かかることもあります。夫婦双方の合意がスムーズに得られ、財産関係もシンプルであれば期間は短縮されます。

しかし、相手が離婚を拒否している場合や、不動産や退職金など財産の評価に時間がかかる場合、あるいは調停や訴訟に発展した場合は、長期化する傾向にあります。焦らず、腰を据えて取り組む心構えが必要です。

弁護士に相談・依頼する費用はどれくらいかかる?

弁護士費用は、法律事務所の料金体系によって大きく異なります。一般的な内訳は以下の通りです。

  • 法律相談料
  • 依頼着手金
  • 解決の報酬金
  • 交通費や印紙代などの実費

最近では初回相談を無料で行っている事務所も多くあります。依頼する前には、必ず費用の総額や内訳について明確な見積もりを提示してもらい、十分に納得した上で契約することが重要です。

相手が離婚を拒否した場合はどうすればいい?

相手が話し合いに応じず、離婚を頑なに拒否している場合、当事者間での解決は困難です。その場合は、弁護士が介入して解決を目指し、それでも話がまとまらない場合は家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てるのが一般的です。

調停では、調停委員会という第三者が間に入り、双方の意見を聞きながら合意形成を目指します。それでも合意に至らない場合は、最終的に「離婚訴訟(裁判)」を起こし、裁判官に離婚を認めるかどうかの判断を委ねることになります。

参照:裁判所|夫婦関係調整調停(離婚)

まとめ|熟年離婚の準備を徹底し、後悔なく第2の人生を踏み出しましょう

この記事では、熟年離婚で後悔しないために不可欠な事前の準備について、お金と生活の両面から網羅的に解説しました。

熟年離婚は、感情の勢いだけで進めると、経済的な困窮や社会的な孤立を招きかねません。成功の鍵は、離婚を切り出す前の周到な準備にあることを、改めて心に留めておきましょう。

そして、一人で抱え込まず、不安や困難を感じたときは、専門家である弁護士に相談することも選択肢の1つです。

熟年離婚の手続きや財産分与、慰謝料請求などでお悩みの方は、「丸の内ソレイユ法律事務所」にぜひご相談ください。女性限定で初回60分の無料相談も実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせお待ちしております。

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