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高額所得者の離婚について
婚姻費用や養育費の算定には裁判所が公表している「算定表」を用いますが、高額所得者(給与所得の場合、年収2,000万円以上)については記載がありません。義務者である夫の年収に応じて、婚姻費用や養育費の金額も増加するという考え方と、貯蓄に回す部分が増加するだけであり、収入に応じて婚姻費用や養育費の額が増加するわけではないという考え方があります。
高額所得者(年収2,000万円以上)の養育費・婚姻費
早見表(算定表)には上限があります
裁判所が公表している算定表は、もともと基礎収入をベースに生活費や生活指数などを計算式にしているものです。高額所得者とそうでない方の場合、公租公課などの額も異なりますので単純に基礎収入割合を用いることはできず、上限があります。
養育費の基本的な考え方
子どもが社会人として自立するために必要となる費用という性格から考え、子どもが1人の場合の養育費については基本的には算定表の上限額のゾーンのところにある金額を上限とすることで足り、子どもが2人以上の場合には、子ども1人の場合の養育費についての考え方を参考に、各事案の個別的事情を考慮して検討しているようです。
年収2,000万円以上の養育費の一例
千葉家裁平成26年、夫が自営業で年収1億円超、2歳の子の養育費を月額20万円とする審判が出ています。
幼児のため、月額20万円で養育に関する費用は足りるとの理由によるものでした。
婚姻費用の基本的な考え方
婚姻費用については、年収が算定表の上限額である2,000万円に比較的近い場合には、基本的に算定表の上限額のゾーンのところにある金額で認定し、年収が算定表の上限2,000万円を大幅に超える場合については、夫婦双方がそれまでどのように生活してきたのかも踏まえ、公租公課(税金関係)は実額を用いたり、どのくらい貯蓄をしているのかを考慮したり、特別に支出する金額を除くことを柔軟に認める等、各事案ごとに事情を考慮して判断するようです。
年収2,000万円以上の婚姻費用の一例
東京高裁平成29年12月15日決定では、夫の年収が約1億5000万円で、収入がゼロである専業主婦に対する婚姻費用として、月額75万円と判断しました。算定表による算定は困難であり、同居時及び別居当初の各生活水準、生活費支出状況等その他の諸般の事情を踏まえて算定した事案です。
高額所得者(年収2,000万円以上)の財産分与
財産分与は基本的に夫婦が婚姻生活を送る中で協力して築いた財産を分けることをいいます。そのため、現在の高額な財産(貯蓄や不動産など)が、相手方と結婚してから二人で築き上げたものである場合には2分の1ずつになるのが一般的です。
必ずしも2分の1ずつとは限らない
ただし、どちらか一方が結婚前にためていた預貯金や、結婚後に自分の親族から相続したもの(特有財産)の場合は、財産分与の対象にはなりません。また、スポーツ選手のように、才能(能力)や努力によって共有財産を築いた場合、その配偶者の財産分与は2分の1以下になる可能性があります。
財産が多岐にわたる
高額取得者の場合,財産の内容が多岐にわたります。預貯金,自宅不動産,保険などのほかにも、株式,ゴルフ会員権,投資用不動産などがあるからです。また、自営業者、会社 経営者などの場合には自社株も財産分与の対象となり,株式の評価も問題となります。
高額所得者の離婚におけるポイント
養育費や婚姻費用は、最終的には裁判官の判断
前述のように養育費用、婚姻費用の算定は単純に計算式にあてはめられません。金額が裁判で争われる場合、その額は、夫婦・家族の生活実態などによるため最終的には裁判官の判断となります。このように、高額所得者の場合、個別的・具体的な事情を考慮して決定されるため、専門家である弁護士等に相談することをお勧めします。
財産分与の対象を把握することを忘れない
夫が高額所得者の場合、株式などのほか、輸入車などの高級車や絵画、高価な家具や食器、高価な宝石などを所有している場合もあるでしょう。これらの物についても、財産分与の対象となる可能性があります。このように、夫が高額所得者である場合、調べておかなければならない特有の問題があります。知らずに資産を隠され、不利な条件で離婚することがないように、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。
職業別のポイント
よくあるご質問
財産分与に関するご相談は丸の内ソレイユへ
夫が高額所得者の場合、奥様が受け取れる財産は単純な2分の1ルールではないことがあります。ご自身に不利な離婚を進められないためにも、一度ご相談下さい。
高額所得者との離婚では、一般的な離婚事案以上に、お金の問題が複雑になります。離婚後の生活を安定させるためにも、離婚に強い弁護士に相談し、財産分与や養育費をきちんと取り決めましょう。丸の内ソレイユ法律事務所では、開業以来、高額所得者の夫との離婚する女性からのご依頼を多数受けてまいりました。まずは、お一人で悩まずお気軽にお問い合わせください。
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